シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

コンピュータはなぜ動くのか?

ずっとブラックボックスだったコンピュータについてそろそろ理解してたほうがいいんじゃないかと思ったので、コンピュータがどう動くかについて勉強することにした。

本のタイトルが自分の欲求と完全にマッチングしていたので、この本で勉強することに決めた。

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早速第一章の重要な点と言葉の意味を忘れないために記載しておく。

 

第一章 コンピュータの3大原則とは

コンピュータを取り扱ううえで絶対的な基礎となることはたった3つだけである。これを「コンピュータの3大原則」と呼ぶことにする。早速紹介しよう。

  1. コンピュータは、入力、演算、出力を行う装置である
  2. プログラムは、命令とデータの集合体である
  3. コンピュータの都合は、人間の感覚と異なる場合がある

現在では高度に複雑化してしまったように思えるコンピュータだが、その基本的な仕組みは驚くほどシンプルであり、初期のコンピュータの時代からは何も変わっていない。だからここで紹介した3大原則を頭に入れて考えると、複雑に見えるものもシンプルに理解できるようになるのだ。

ここからは個々のワードを紹介していく。

コンピュータ:ハードウェアとソフトウェアから構成されている。

ハードウェア:入力、演算、出力を行う装置であり、たくさんの「IC (Interegrated Circuit、集積回路)」から構成されている。個々のICには数多くのピンがついており、入力用または出力用のいずれかである。ICは外部から入力された情報を内部で演算し、その結果を外部に出力する。

ソフトウェア:すなわちプログラム(同じものとして捉えてよい)。命令とデータの集合体。どんな高度で複雑なプログラムであっても、その内容は命令とデータから構成されている。

命令:入力、演算、出力をコンピュータに指示するもの。コンピュータに対する命令を書きならべたものがプログラムである。

プログラミング:プログラムを書きならべる行為。プログラミングでは、ひとかたまりの命令群に名前を付け、「関数」「ステートメント」「メソッド」「サブルーチン」「副プログラム」などと呼ぶことがある。どれも同じ意味であるが、コンピュータ業界では同じことを表すのにさまざまな用語があることが多くある。注意が必要。

データ:命令の対象となる入力情報または命令の結果によって得られる出力情報のこと。プログラミングでは、データに名前を付け、これを「変数」と呼ぶ。

コンピュータの都合:何でも数値で表すこと。すべての情報を数値で表すのである。一般の人がコンピュータを敬遠する原因のひとつである。たとえば、人間は色の情報を「青い」とか「赤い」という言葉で表す。これをコンピュータに置き換えるなら、青色は「0,0,255」、赤色は「255,0,0」、青色と赤色を混ぜた紫色は「255,0,255」のように数値で表されるのだ。

コンピュータが進化を止めない理由:まだ完成の域に達していないから。コンピュータ技術が進化する目的はただ一つ「人間に近づくこと」である。人間に近づくには、コンピュータの都合で人間の感覚に合わなくなっている部分を解消する必要がある。MS-
DOSからWindowsに進化した理由も、二足歩行ロボットをわざわざ開発するのも、すべてはこの目的に近づくためである。ちなみに現状のWindows以上に人間に近いユーザー・インターフェースを目指すことを「ユーザー体験(ユーザー・エクスペリエンス)」と呼ぶ。

プログラミング手法:プログラミング手法にも進化がある。コンポーネント・ベース・プログラミング(Component Based Programming)やオブジェクト指向プログラミング(Object Oriented Programming)と呼ばれるものだ。これも人間がモノづくりをするのと同様の感覚でプログラミングできることを目的とした進化の結果である。

 

本書で紹介されているクイズも記載しておく。

初級問題
Q. ハードウェアとソフトウェアの違いは何ですか?

A. コンピュータ本体、ディスプレイ、キーボードなどのように、目に見える装置となっているものがハードウェア。コンピュータによって実行されるプログラムの命令とデータがソフトウェアである。ソフトウェア自体は目に見えない。

中級問題
Q. 「リンゴ」という文字列は、半角文字で何文字ですか?

A. 4文字。

上級問題
Q. コード(code)とは何ですか?

A. コンピュータで取り扱うために数値化された情報をコードと呼ぶ。コンピュータは、本来数値でない情報であっても、内部的に数値として取り扱う。

生涯学習を求められる世の中になってきた

1月14日版The EconomistのLeaderは、生涯学習について述べている。主張はこうだ。

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学校教育はもはや技術革新のスピードについていけなくなってしまった。その結果生まれるのが機会の不平等。高等教育を受けられる人は、社会構造が変わろうとも新しい要求に応えられるような教育を受けられるが、それが受けられない人はどんどん置いていかれる。自動化技術の発達やAI技術の進化でこの流れはますます加速するだろう。これが続いてしまった場合、政策としてすべての人々が生計を立てる手段を学べる仕組みを構築しなければならない、と警鐘を鳴らしている。

インターネットの登場とともにMOOCSなどの新しい教育のかたちが生まれてきた。安いしネットさえつながれば世界中のどこにいても学問を学べる仕組みである。しかしながら、それらを享受しているのはもともと高等教育を受けてきていた人々に絞られている。

mooc.org

もしこの新しい学び方が教育機会の不平等解消のために一役買うのならば、政府はラディカルにこの教育モデルを広げなければならない。教育の始まりは従来の教育方針を支持する。勉強する方法と考える方法を教える取り組みだ。しかしながら、問題はその先、社会に出てから必要とされる高度なスキルをどう身につけるかである。どんな環境下であろうと社会に出てからも継続して平等に学びの機会を与える仕組みが必要なのだ。シンガポールで試みているVouchers制度を用いてもよいだろう。ライセンス規制の撤廃もNew Comerには好意的に働くだろう。これらの取り組みを国家として取り組み、時代の変化に置いていかれる人を減らすことが求められるのだ。

TOEICの点数を伸ばしたい人に向けて書いてみる

TOEICの点数を伸ばしたい人に向けて、何をすればいいかを書いてみた。

自分の立ち位置を理解する
まず、自分がどの程度のレベルなのかを把握しよう。自分の居場所がどのあたりにいるのかを知らなければ次に進めない。現状と理想とのギャップを把握し、ギャップを埋めるための取り組みを行うことが必要だ。
そのためには、以下のステップを踏んでもらうのがベスト。

  1. TOEIC公式問題集に取り組む。できれば通しの時間を厳密に測って解く。
  2. 答えを見ずにもう一度取り組む。今度は時間は気にせずに解く。

問題を答える際に注意してほしいことがある。以下のステップを踏んでほしい。後ほどの勉強に大変必要となるので、必ず従ってほしい。

○ 完璧にわかったもの
△  なんとなく分かったもの
× 分からなかったもの

こうすることで、どの問題が解けなかったか、その理由は何なのかをあとで確認するためです。足りてないのは、時間なのか、ケアレスミスをしない慎重さなのか、はたまた文法自体を理解していないのかを分別できるのだ。

この作業をやることによって、以下のことを分類できると考えている。

  1. 完全に理解できて正解した問題 一回の復習でOK
  2. なんとなく分かって正解した問題 復習が必要
  3. 理解できなかったけど正解した問題 復習が必要
  4. 理解できなかって間違った問題 
  5. 理解できていてけど間違えた問題(ケアレスミス

点数を上げるということは、これらの間違えを正解に変えることが求められる。だから基本的な方向性としては、自分が間違ったところをいかに正解に変えていくかという方向で進んでいくということを認識しておいて欲しい。

 

具体的な取り組みの説明

腕試しと苦手な部分が理解ができたところで、具体的な勉強方法の説明に移る。

TOEICはリスニングとリーディングの2つのパートに分かれているので、勉強する場合もパートごとにわけていく。具体的にパートを絞って取り組む方がはるかに効率的だからだ。

Listening Section

苦手意識が高いリスニングのパート。リーディングよりも基礎的な力を試される要素が多い。話していることはそんなに難しくないので、聞き取りさえできれば半分はクリアしたようなものと考えてもらって構わない。一方、聞き取りに問題がある場合は、かなりの時間を要する。基礎能力を向上させなければならないからだ。だからこのパートであんまり点数が取れない人はその覚悟を持って欲しい。他方、音は拾えているけど、なんとなく分からないくらいの場合は、比較的楽である。なぜなら問題の傾向に慣れるだけで、かなり点数が上がるからだ。

リスニングパートの点数が250点以下の人、つまり半分も点数が取れてない人は、基礎能力を上げる必要がある。遠回りのようでこれが一番の近道だったりする。ここで身につけたことはTOEIC以外にももちろん効いてくるので、時間はかかるがめげずに頑張ろう。

リスニングができない原因は大きくわけて二つある。音を拾う能力が足りてないか、拾った音を理解できていないかの二つだ。半分以下の人は前者ができていない可能性が極めて高いので、まずこの能力を引き上げる必要がある。後者もハイレベルな英語力を目指す場合は集中的に鍛える必要があるが、TOEICのリスニングパートの点数を上げるためには必要にならないので、今回での説明は割愛させていただく。

音を拾う能力を身につける

シンプルに言うと、1. 英語の発音を理解して、2.英語のスピードになれる、同時並行して 3. 分からない単語や言い回しをを地道に覚えていく。という3つの作業が求められる。

Step 1: 英語の発音の理解。日本語にはない発音が英語にあることを理解しなければならない。そのことを理解するための一番の近道は発音記号の勉強だ。まず発音記号を覚えて個々の発音を自分でできるようにする。発音記号は全部で44個しかないので、比較的簡単に覚えられる。個人的には一番費用対効果が高い学習だと思うので、地味に捉えられるが踏ん張って頑張って欲しい。自分が発せられない音は、聞き取れない。という考えをもとに頑張ろう。

Step 2: 発音記号を理解して、英語独特の発音があることが分かったら、この時点で英語のシャワーを聞くのがよい。勉強する前と後で、聞こえ方が全然違うことに気付くだろう。それでも聞こえないものが出てくる。それはリエゾンといって、単語と単語のつながりによって消える音や新しい音が生まれたりするからだ。それらを理解するには覚えるより慣れるほうがいいと考える。というわけでここで必要になってくる作業が英語のシャワーを浴びることだ。シャワーを浴びるといってもやたらめったらいろんな英語を聞くのではなく、ピンポイントで同じ教材をひたすら聞き込むのだ。自分が内容まで理解している教材をひたすら聞くということが求められる。ここは本当にひたすら地味な作業を淡々と毎日やらないといけないし、効果は現れにくい。でも辛抱して続けて欲しい。もちろん気晴らしに海外ドラマを見たり英語のニュースを聞くのもいいが、この段階でそのことをしてもあまり効果はない。あくまで気晴らしとして活用して欲しい。

Step 3: 英語の音に慣れるということで同時並行してやって欲しいのが、シャドーイングだ。シャドーイングとは影のようについていって繰り返し呟くこと。これをやりこめば英語のリズムに慣れることができる。英語の聞き方が身につけられると同時に、スピーキング力の向上にもつながるから、おすすめの訓練方法。Step 2と同様、ひとつの教材をやりこむことが求められる。Step 2と繰り返しやる。

ここまでくれば、TOEICレベルの英語はほぼ聞き取れるようになるだろう。前述したとおり、TOEICのリスニングパートではそこまで複雑な文章は出てこないから、音が聞き取れるようになればもうこっちのもの。あとは点数を取るテクニックを身につけさえすれば、大幅に点数のアップが見込める。

リスニングパートの点数を上げる

ここからは実際にどのように点数を伸ばすかを説明していく。レベルとしては600, 700点とれる、なんとなく音は聞き取れるけど不正解が多い人を対象に話していく。 

音は拾えるし、何を言っているかも分かるのに間違いが多いという人は、まず問題に慣れよう。問題の内容自体はそんなに難しいものではないので、慣れれば大幅に点数が上がる。慣れ方はこうだ。
Step 1. はじめに解いた公式問題集でわからなかったところを明確にする。
Step 2. その後で、再び同じ問題を解く。それでもわからなかったところがあれば理解に努める。
Step 3. 三たび同じ問題を解く。
Step 4. プラスして合計10回くらいは同じ問題を聞こう。間違えがなくなった時点で問題は解かなくていい。
Step 5. この作業を他の問題でも繰り返す。少なくとも4回くらい繰り返せば問題に慣れたと思っていい。

以上。この作業を根気よく続ければ音の理解→問題に慣れるという目標が達成され、必ずやリスニングパートで350点くらいはとれるようになるでしょう。

 

Reading Section

さてリーディングセッション。リスニングパートよりも抵抗のない人が多いのではないだろうか。これは日本の学校での英語教育のたまものでしょう。リーディングパートもリスニングパートと同様、ある程度の文法基礎能力があれば、問題になれるだけで大幅な点数向上が見込まれる。逆に文法基礎能力が低い場合は、そこから勉強する必要があるので、ある程度の地味な作業と時間を要する。ただリスニングパートでの音を拾う能力と同様、文法知識はTOEIC以外の場合でも必要になる能力なので、これを機に一からやり直すことをおススメする。一方、基礎能力がある程度ある人は、問題の傾向に慣れるだけでよいので、短期間で点数upが可能。900点以上を目指すとなると、間違いが許されなくなるので、重箱の隅をつつく様な問題にも対応できる様かなり多くの語彙力が必要になるがそれ以下を目指す場合は、前述した通り、問題の傾向に慣れるだけでよい。

まずリーディングパートで250点以下をマークしている人に対して説明する。文法の基礎知識が欠如しているので、文法の勉強をしよう。必要です。勉強の仕方は簡単。中学高校までの英語を復習しようちっくな文法本を購入して短期間で仕上げよう。できれば2周して欲しい。2周した後も参考書代わりに手元に置いておこう。これが終わればあとは、問題に慣れるという目標に向けてひたすら時間を費やすのみ。TOEICのリーディングパートは文法穴埋めと長文読解の二つがあるのでそれぞれ分けて説明する。

PART 5, 6

文法知識と語彙が試されるパート。もう気づいているかもしれないが、リスニングの勉強と同じで問題を解く→わからないところを復習→もう一度問題を解くの繰り返しである。3回ほど繰り返したところで、PART 5, 6に絞ったTOEIC強化本をこれまた2周くらいやり込んで欲しい。傾向がわかると同時に文法の勉強にもなるからだ。それが終わった時点で一度新しい公式問題集に取り組む。そして問題を解く→復習→問題を解く。3回くらい繰り返せば慣れるので、自然と点数が上がっている。 

PART 7

ここでは文法や語彙とともに速読力が必要になります。早く読める力と英語を読む体力が求められるので、このパートはとにかく精読と多読の繰り返しが必要になります。文法力はPART 5, 6の勉強で鍛えられるので、ここは本当に繰り返し。

精読→速読 x 4 →精読→速読 x4 のリズムで10回は読みましょう。これやってれば600点まではいくと思います。それからは単語強化と組み合わせることが必要とされる。

TOEICの点数を上げるための具体的な取り組みについて書いてみた。冒頭にも話したとおり、一番大切なのは自分の現状の立ち位置と目標とのギャップを把握して、それを埋めるために取り組むことである。その際には具体的に細かくステップを刻むとよい。この方法を分かっていれば、TOEICでも何でも目標達成がかなうでしょう。

社会で求められるもの

昨今、社会から求められる要求が高くなってきたため、学校の教育だけではその要求にこたえることが難しくなってきた。そんな時代に求められるのが生涯勉強の考え方である。社会に出て働いたとしても、新しい要求にこたえるために、時代の変化についていくために日々学びを続けなければならない。TOEICの点数をあげることを通じて、日々学ぶということを少しでも癖づいてくれる人が増えればなと切に思う。

グーグルがディープマインド社に求めるもの

The Economist12月17日号のBusinessでは、Alphabet社(グーグルの持株会社)が2014年の1月にロンドンにあるArtificial-intelligence (AI)を研究する会社、ディープマインド社を買収した理由を紹介している。

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なぜグーグルはディープマインド社を買収したのだろうか。もちろん魅力があったからだ。一つ目の理由は、人材が確保できるから。グーグルは400人の優秀な情報工学専門家と脳科学者を一気に手にいれた。二つ目は、ブランドネームを得られるから。ディープマインド社は科学分野ではすでに有名であり、この2年でNatureの表紙を2度飾った実績もあった。そんな会社を手に入れることで、化学分野での立ち位置も手に入れることに成功した。

最後は、高い理念と目標に惹かれたから。"Solve Intelligence"がMissionのもと、3人の脳科学者によってディープマインド社は創立された。最終的な目標は人間の脳の再現。これが実現すればグーグルは大喜びである。なぜなら無限のデジタル従業員が手に入るからだ。さらに志半ばでもメリットはある。deep learningの研究に役立つのだ。すでにグーグルのデータセンターを効率的に冷やす方法をdeep learning systemで見つけ出した。deep learningシステムをエネルギーインフラ、ヘルスケアシステム、綺麗な水へのアクセス方法探索などにも応用して、そこから利益を出すプランを立てている。

買収される側にもメリットがある。資金が豊富になったことはもちろんあるが、それ以上に実世界のデータへのアクセス権を手に入れたことである。卓越したプログラミング技術や深い脳科学の知識はAI技術の発展上、欠かせない要素である。しかし実世界へのデータを扱えるようになることも同様に必要だ。そういった生のデータを提供できるのが、グーグルである。しかしながら越えるべき壁もまだ存在する。AI実現のために必要となるデータは、パーソナルな情報である。そういった情報を企業が使えるようになるには、個人の承諾が必要になのだ。もしこの壁を乗り越えることができれば、ディープマインド社にとってのブレークスルーとなり、そのときはグーグルにとって莫大な価値を得られる瞬間となるのだ。

カジノはオワコンなのかもしれない

一時期前に大阪にカジノを作ろう。という話が盛り上がっていた。経済発展のため外国人を呼び込むツールとして。当時は良い試みやって思ってたけど、実際のところはどうだったんだろう?今考えてみると、結果的にカジノ建設には失敗の終わってよかったのかもしれない。

The Economistに掲載されてたカジノに関する記事を読んでそんなことを思った。記事の主旨は、カジノ事業者たちが若年層を取り込むために新しい試みをやりつつある。でも幸先は不透明である。って話。

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今のカジノ業界は景気が良くない。

1990年の$ 2 billionから2008年には$ 7billionにまで成長していたラスベガスのカジノもそれ以降成長はストップ。米国で第二位の規模と言われているAtlantic cityに至っては2008年の$ 5 billionから今では半分までに落ちた。マカオでも2002年の$ 2 billionから急成長して2012年には$45billionまで到達したけど、2015年は一気に$ 30 billionまで減っている。2008年の金融危機が引き金になったのは明白だが、それ以前の水準まで戻すのに四苦八苦しているんだ。

 

その原因は何なのか?

若年層の取り込みが成功していないことが原因。スマートフォンやゲーム機が近年著しく魅力的になったので、カジノの魅力が相対的に下がってしまった。インターネットが登場したときのレンタルビデオ屋さんのように、スマフォの登場でカジノがブロックバスターになってしまいかねない。その結果、特にアメリカでは、カジノの収入は高齢者に頼らざる得ない構図になってしまったんだ。実際、今年の9月にアトランティックシティに行ってきたけど、確かにスロットに興じるご年配の方はたくさんいたけど、若者はあんまり見なかったか。収益の7割を高齢者に頼る業界がこの先10年、20年後にはどうなるかを想像するのは容易い。

そんなわけで、カジノ事業者は若年層取り込みのためのアプローチを始めた。場所の魅力を持たせるために、無重力空間を作ってみたり、LED装飾でインテリアが一瞬で変わったように見える仕掛けを作ったり。ゲーム自体も新しいものを導入している。ゲームをクリアできたらお金が得られるような、運ベースではなくスキルベースのギャンブルを遊べたり。AR技術を駆使したゲームを導入している。イノベーティブなことに関しては、スタートアップ企業に一日の長があるので、そういった企業とタイアップしているカジノ事業も増えてる。

一方でこういった取り組みに懐疑的な人々もいる。若年層が興味を持つかも懐疑的ではある上、取り込めたとしても収益は大きくならないのではないかと考えているから。むしろ、今の顧客層を失うリスクも増えるんじゃないかさえ思っている。10年後にアメリカのカジノ業界がどうなっているかが楽しみではある。

グローバリゼーションの功罪

10月1月号のThe EconomistのLeader記事ではグローバリゼーションの功罪について述べている。

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この記事では、昨今のグローバリゼーションに対する批判は正しくないと指摘している。なぜならグローバリゼーションは人々により多くの機会を提供してくれるから。一般的に多くの機会がある方が良いとされているので、グローバリゼーションは良ものである。だから、グローバリゼーションそのものを批判するのではなく、そこから生まれるマイナスな部分を解決するように取り組むべきなのだと。

貿易の自由化から世界は数々の恩恵を得てきた。自由貿易が始まった1950年以降地球規模で生活水準は向上し、かつては8%だった貿易の占めるGDPの割合が今では20%までに上昇している。40カ国で実施された研究結果によると、保護貿易を実施した場合、富裕層の購買力は28%失う。一方で、貧困層の購買力は63%失うと言われている。移民が移民ホスト国に与える経済効果も小さくない。イギリスでは2001年から2011年の10年間で34億ドル以上の経済効果を英国に与えたのだ。

グローバリゼーションにも問題はある。自由貿易によって雇用を失う人々も存在するし、移民受け入れによって起こる弊害もある。企業が税率の低い国に流れてしまう脱漏問題が起こっている。だから、これらのマイナスの部分に対して議論を重ねながら解決していくことが重要なのである。雇用の問題に関しては、雇用を奪われた人々を救う政策を考えるべきなのだ。しかしアメリカではGDPの0.1%しかそういった対策に費やしていない。これは富裕国の平均の6分の1の割合となる。移民問題に対しては、うまく政策を行っている国の政策を見習えばいい。たとえばデンマークを見習い、地方自治と連携して対応するのも一つの手段であろう。企業の税金脱漏問題に関しても、政府と企業でどのようにして課税するかを話し合いお互いが納得できる点を見出すべきなのだ。

1840年代から自由貿易支持者は保護貿易は弱者ではなく強者に有利に働くと提唱してきた。彼らは今までも正しかったし、今も、これからも正しいだろう。自由貿易を続けるべきなのだ。

 

トピック:グローバリゼーションについて

問題:グローバリゼーションってお金持ちしか恩恵を受けられないんでしょ?

解決:そんなことはない、むしろ逆。グローバリゼーションは多くの人に恩恵をもたらすので続けるべきである。課題点に対しては政治家は積極的に解決に向けて取り組むべき。

若年層の投票率を上げて、政界のインセンティブを生み出そう

若年層の投票率を上げなければならない。でなければ、長期的な視点に立った政策を政府はいつまでたっても行わないからだ。今のままであれば、高齢者を意識した短期的な政策に終始してしまう。なぜならば政治家は高齢者の票を意識した政策を打ち立てるからだ。 

ここに日本における投票者の数を年齢別に表しているグラフがある。日本の年齢別人口にこれまた年齢別の投票率を掛け合わせて算出したものだ。

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 出所:総務省ホームページより著書作成

見て分かる通り、若年層(20代)の投票人口総数が圧倒的に少ない。比率で言うと、8%しかない。30代を合わせても22%にしかならない。一方、高齢者(70代以上)の投票人口総数は、16%。60代を合わせると40%にまで比率が上がる。こうなってしまうと、選挙で選出されるために、高齢者に支持されるような政策を考えるのは当たり前といえば当たり前だ。そして高齢者が支持するのは、自分たちに利益のあることが聞こえがいいはず。その結果、短期的な政策をメインに掲げることが多くなってしまうのだ。

 

もちろん短期的な政策がすべて悪いわけではないが、あまりにも目先のことを考えることに偏っているに思えてならない。大事なのはバランスだ。ではどうすればいいのか?長期的な視点に立った政策を考えることがインセンティブとなるようにすれば良い。つまり、若年層の影響力を政界への高めればいいのだ。一番手っ取り早いのが、選挙に行くこと。若年層の投票率を高めること。仮に、若年層の投票率が90%になれば、全体での割合が20%にまで上がる。30代の投票率も90%まで上昇するとすれば、20, 30代が占める割合は40%となり、60代以上の割合は31%にまで下がる。仮にこのような投票率分布になると、若年層の今は将来を考えた政策を考えるのも当然だろう。

 

「魅力的な政治家がいない」「どの政党もなんか信用できない」

 

言っていることは分かる。実際に自分も同じようなことを言って、投票に行かなかったこともなくはない。でも魅力的な政治家がいない(もしくは目立たない)のは当然で、それは彼らが高齢者を考えて政策を立てているから、ということも一つの理由である。そしてそうさせてしまっているのは、若年層自身の振る舞いが原因なのだ。卵が先か、鶏が先かということになるが、どっちが先でもいいじゃないか。とりあえず選挙に行きましょう。若年層の投票率を上げましょう。