これから利益の話をしよう 「ゲストハウス編」
ゲストハウスを運営したい。
けど、始めたとしてもうまく運営できるか不安。利益は出せるの?そもそも利益構造ってどうなっているの?
というわけで、今回はゲストハウスを立ち上げたときに得られる利益がどれくらいなのかをシミレーションしてみたいと思います。
より具体的な方が考えやすいので、今回は長野にある知人所有の空き家をモデルケースとして、勝手に妄想して利益構造を考えていくことにしました。
まずは物件の基本情報。
場所:長野県駅と善光寺の間に位置する所。ほぼ中央通り沿いで立地条件◎
占有面積:98.5㎡
物件種目:2F建て木造建築
コンセプトとターゲットの設定。
コンセプト:異文化交流が気軽に楽しめる空間にする 旅行者 x 地元の人
ターゲット顧客:外国旅行者がメイン
さてここから収益の話になってきます。
利益計算の仕方はこのようになります。
利益=売上 - 費用
売上は客数と客単価の掛け算
まず売上から算出すると、
売上=客数 x 客単価
もうちょっと細かく分解すると、
売上= (ベッド数 x 稼働率) x 客単価
となります。
宿泊代オンリーの計算にしたいので、売上構造は上記のようなシンプルなものになります。
客数を考える
お客様が最大で何人泊まれるのか?をはじめに考えます。
1Fはみんながくつろいで集まれる共有スペースも確保したいので、宿泊できる部屋は2Fのみにします。
8畳 x 3部屋あることたします。すると、そのうちの2部屋はドミトリーとして使用。合計で8人の方々泊まれるようにします。
そして残った1部屋は個室にします。
客単価を設定する
ここもあまり難しく考えずに、今回は巷にあるゲストハウスの相場をもとに算出します。
勝手にモデルとさせてもらっている物件がある善光寺付近に、1168 バックパッカーズという素晴らしいゲストハウスがあります。大きさもおおよそ同じくらいなので、そちらの価格帯を参考にさせていただきます。
長野の安宿 1166 バックパッカーズ /長野 ゲストハウス 部屋 rooms
サイトを調べてみると、
ドミトリー 2,600円、個室が1~2人で5,600円、3人だと7,200円になってます。
あくまで妄想ということなので、計算しやすいように端数を修正。
ドミトリー 3,000円、個室で6,000円としちゃいます。
稼働率を調べる
1ヶ月の稼働率については、ドミトリーが60%、個室が50%とします。
都会のように、人で溢れかえる訳ではありませんが、善光寺という秀逸なコンテンツと、3月14日から開通する新幹線のおかげで改善した利便性の良さが長野駅にはあります。だからなんとか頑張れば50 - 60%の稼働率は確保できるんじゃないかなと予想しました。
よって
ひと月の売上は
ドミトリー:8床 x 稼働率(60%) x 3,000円 x 30日 = 432,000円
個室:1部屋 x 稼働率(50%) x 6,000円 x 30日 = 90,000円
合計: 432,000円+ 90,000円 = 522,000円
費用は原価と販管費および一般管理費の和
ここからは費用の計算に入ります。
費用 = 原価 + 販管費および一般管理費で表すことにします。
固定費、変動費の概念は今回はもちこみません。
原価を算出する
一番大きくかかる費用は家賃。
HOME'Sで戸建賃貸の物件情報を見ると、長野駅付近で築40年くらいのものは安くても100,000円くらいはすると推測。よってちょっと多めに見積もって家賃は120,000円。
次に光熱費。ここはざっくりと80,000円と推測しました。
内訳は、水道費 25,000円、電気料金 15,000円、ガス料金 20,000円、通信費 20,000円。
あとは、リネンの取り換え代やらトイレットペーパーや洗剤などの消耗品取り換えで月に10,000円かかるとします。
したがって、原価は家賃120,000円 + 光熱費 80,000円 + 消耗品 10,000円= 210,000円となりました。
つまり、粗利益 312,000円、粗利益60%となるということか。
今回考えられる販管費は、販促費くらい。
販促活動を、Webサイト構築費用のみであるとすると、サーバ運営費で約5,000円くらいかな。
次に一般管理費、一番かかるのは人件費。メインの管理者を一人置くとして、その人の人件費は月に150,000円くらい。アルバイトの方をヘルプで雇ったら、月70,000円くらいかな。
トータルの費用を算出すると、
原価210,000円 + 販管費及び一般管理費 225,000円 = 435,000円と出ました。
最終的に残る利益はいくらになるの?
ここで営業利益が算出できるようななります。
売上 522,000円 - 費用 435,000円 = 87,000円
営業利益は 87,000円、営業利益率 16.7%となるということですね。
営業利益率16.7%っていうのは業界的にはなかなか悪くない数字。(←またこの業界の利益構造もアップしますね。)
しかし、忘れてはいけないのが初期費用。
物件改修費や設備購入費(寝具からそのへんのものすべて)も自分たちの利益から賄わなければいけません。
100㎡未満とそう大きくない物件でも、改修費にはおよそ5,000,000円ほどかかります。設備購入費、つまりベッドや棚、照明器具が仮に1,000,000円かかったとすると、トータルでは6,000,000円。
今回算出した営業利益の80%となる70,000円を初期費用につぎ込むと仮定すると。
返済するのに必要な日数は、
およそ85ヶ月、つまり7年で6,000,000円が返済可能となる。
ちなみに初期費用のために支払う70,000円を営業利益から差し引くと
最終的に手元に残る利益は17,000円、利益率は3%となります。
ここから税金が関わってくるが、長くなりそうなのでその話は今回は割愛。
ん〜なかなか厳しい現実。
初期費用とランニングコストでかかる家賃と人件費を極力抑えることができなければ、利益ぎりぎりの営業体制になってしまいます。もしこのモデルでやる場合は、絶対に潤沢な現預金が必要となるだろうな。
結論は、、、
ゲストハウスを運営する場合、収入源が宿泊代のみからだと、かなり厳しい。それを実現するとしたら、初期費用を含めた費用を抑えることが必要になる。ただあまりにも抑えすぎると、来ていただくお客様の満足度を下げてしまう質の低いサービスを提供していまう可能性が増しそうなので、注意が必要である。それよりも宿泊代以外での収益を確保することを考えた方が懸命である。