シマウマ de 考察

NY駐在4年目サラリーマンが洋書のレビューを中心に書いていきます。最近は生産性を高めることにもハマっていて、脳の働きや睡眠についても研究中。他にもニューヨークで感じたことなどもたまに書いてます。

大量の文章を書いて考えを整理する

英語で意見がスラスラ言えない

アメリカに住んでもーすぐ3年が経つ。しかしながら英語のレベルが渡米前に想定していたレベルに達していない。3年も生活していれば相手の話していることはほぼ聞き取れるし、自分の言いたいことも淀みなく言えるようになる。そんな淡い期待を持っていたのだが、現実はそんなに甘くはなかった。

特にスピーキングにまだまだ感が強い。なぜ話せないのか。ということを改めて考えてみる「自分の考えが整理できてないから」話せないのではないかという結論に至った。

すごく当たり前のように聞こえるが、この考えは、自分の中では納得感がものすごくあった。もちろん英語のセンテンスを即座に作る能力だとかっていう純粋な英語力も必要になるが、それと同時に、「自分の頭で考え、意見を構築し、言葉としてアウトプットする力」が圧倒的に足りていない。だから、英語で意見をスラスラ言えないのだ。つまりは、問題は英語力だけでなく、主張力が乏しいからなのである。

ではその主張力を鍛えるにはどうするのがいいか。その解はシンプル。主張するというアウトプットの量を増やすことだ。そしてアウトプットしたものにフィードバックをかけて次に活かす。これを繰り返し行えば、アウトプットの質が高まり、主張力が身につく。その結果、英語での意見がはっきり言えるようになるのである。

アウトプットの方法は2つある。話すことと、書くこと。しかし考えてみてほしい。話すことと書くことでは圧倒的に書くことの方が簡単な作業なのだ。なぜなら、書く作業では、時間に余裕があるからだ。話す場合は、瞬間瞬間で文章を構築しなければならないが、書く場合は文章構築に好きなだけ時間を使える。書いたものを振り返ることができるというメリットもある。

How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing (LifeTools: Books for the General Public)

How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing (LifeTools: Books for the General Public)

 

そんなわけで書くアウトプットをどんどん増やそうと思った今日この頃であるが、そんな自分に最適な本を見つけた。心理学の研究者Paul J. Silvia, PhD著の「How to Write a Lot」という本で、書くことに困っている研究者向けに書かれている。実際、研究者向けに書かれているChapterも存在するが、大事なエッセンスは一般人にも当てはまるので、書くというアウトプットを増やしたい人にはオススメである。

筆者の言いたいことはとてもシンプル。書く量を増やすには、書く行為を1日のスケジュール割り当てることである、と著者は言う。ここで重要なのは「書く時間を見つける」のではなく「書く時間を割り当てる」ということだ。著者曰く、時間を探したっていつになっても見つからない。だから事前にスケジュールに組み込んでしまうことが求められる。筆者がオススメしているのは朝の30分、書く時間を割り当てることだ。

これを達成するためのコツもいくつか教えてくれているのがこの本の素晴らしいところ。ひとつは、明確なゴールを持つこと。なぜ書く量を増やしたいのか?何について書きたいのか?を明確にし、その明確にしたゴールを活字にして表すこと。そうすることで毎日書くことへのモチベーションが保てるのだ。もう一つは、フィードバックの仕組みを作ること。自分がどれだけ書いたのか、ということを具体的な数値で振り返ることができると、モチベーションにつながるのだ。他にも、スモールゴールの設定や、実際に筆者が導入しているモニタリングの方法の説明など、かなり実践的な方法を教えてくれているので、すぐに行動に移しやすい。それが筆者の目的なんだろうけど。

よくある「どうやって分かりやすく論理的に書くか」の内容ではなくタイトル通り「どうやって大量に書くか」に重きをおいている点が他の本と差別化されていてな面白い。特に筆者が、「書くことはハードな作業であり、たとえ大量に書けるようになったとしてもそのハードさが消えることはない」と言っていたのが印象的。つまりは、書く作業はハードな作業として工夫して取り組まないといけないのだ。これは最近読んだ「How to Read a Book」で言っている「本を読むことは、複雑な知的作業である」と少し似ている。要するに、日常生活で自然に身につけた行為、つまり書くことや読むこと、もっと言うと歩くこと、走ることや呼吸もそうであるが、そういった行為はできてるようで、実は上手にはできてない。だからそういった行為に対して、簡単ではないと言う認識を持ち、基本から学んでいくことが必要なのである。

この本で好きなフレーズは、「Clear writing requires clear thinking」。直訳すると、「明瞭な文を書くには、明瞭な思考を必要とする」となる。自分が文章を書きたいと思った理由が、思考を整理したかったから、ということなので、その考えに一致することが書かれているこの本を手にとって良かったと思う。多くのものを書きたい人、考えを整理したい人、自分の意見を言いたい人にオススメの本であるが、残念ながら洋書しかない。ただ、ページ数も150ページほどだし、平易な単語で分かりやすく書かれているので、英語の勉強も兼ねると思って、ぜひとも手にとって読んでもらいたい。