シマウマ de 考察

NY駐在4年目サラリーマンが洋書のレビューを中心に書いていきます。最近は生産性を高めることにもハマっていて、脳の働きや睡眠についても研究中。他にもニューヨークで感じたことなどもたまに書いてます。

自然な英文が書ける - 「実践 日本人の英語」

実践 日本人の英語 (岩波新書)

実践 日本人の英語 (岩波新書)

 

久しぶりに読み直したマーク・ピーターセン氏の「実践 日本人の英語」が良かった。

最近は、日本語、英語問わず書くこと重きを置いているので、そんな自分にとっては目から鱗の情報が満載。優しく話しかける文章スタイルなので、読み物としても十分に楽しめるものであった。

タイトルに”実践”とある通り、本書は著者が吟味した「日本人が間違えやすい英語」を避け、自分の考えが正確に伝わる英文を書く力が身につけられるよう構成されている。

具体的には、日本語を母語とする人間が、日本語で考えた内容を英文で表そうとするときに起こる間違いを各章で取り上げ、正しい考え方を指南してくれているという内容である。

 

「の」の話 - 「AのB」

ピーターセン氏は、日本語の「の」を英訳したいときに「of」をひたすら使う日本人が多いと指摘する。彼は本書でこのような例文を挙げている。

「先日の実験において、パナソニック社の携帯電話の性能の12.5%の向上を確認した」

これを日本人が英訳すると以下のようになるのが大半だと言う。

「an improvement of 12.5% of the performance of the cell phone of Panasonic

私も日本人なので気持ちは分からなくもない、でもどこか不自然な感じがする。本書では、この不自然な英文を、どのように組み替えて自然な英文に変換すればいいかを、ひとつひとつ丁寧に説明してくれている。ちなみに自然な英語はこちら。

「a 12.5% improvment in the Panasonic cell phone's performance」

驚いたのが、ひとつも「of」を使っていないこと。こんな具合に他の章も構成されている。

他にも、第2章のマイ問題 - 「私の~」や、第6章のありえない話 - 「もし~なら」、おわりにで伝授してくれている 3つの「小ワザ」など、どれもが新しい発見となった。

 

日本人が間違えやすい英語

マーク・ピーターセン氏は、明治大学政治経済学部教授を現職とするウィスコンシン州生まれの生粋のアメリカ人。コロラド大で英文文学を専攻していたこともあり、一般的なアメリカ人よりも英語のことに詳しいと考えていいだろう。

大学卒業後はワシントン大学大学院で近代日本文学を専攻、その後1980年にフルブライト留学生として来日。それからはずっと日本で生活している(明確な記載はないがおそらくそう)。

つまりは、英語も日本語もエキスパートなわけで、実際に本書も日本語で上梓している。こんな経歴を持つ彼だからこそ「日本人が間違えやすい英語」が分かるというわけだ。そしてそれをまとめたのが「日本人の英語」「続 日本人の英語」である。

それぞれ1988年、1990年に出版されているにも関わらず、今でもアマゾンで上位にランキングされている名著だ。それから25年の時を経て出版されたのが、この「実践 日本人の英語」というわけだ。 

「日本人が間違えやすい英語」により興味がある人は先に挙げた本を読むのもあり。”実践”だけ知りたいという人は、この実践本のみで良いかと。それくらい内容の濃い本になっている。

 

日本語の解像度を高める

英語を学んでいてつくづく思うのが、英語は話し手に具体性を求める言語である一方、日本語は抽象性が高くても伝わる言語であるということだ。たとえば、第2章のマイ問題 - 「私の~」で取り上げられている例を見ても、英語は日本語に比べていちいち細かいことを要求していることが分かる。

逆に言うと、この英語的思考を身につけることができれば、日本語で考える際にも抽象度を薄められることができる。これは思考の解像度を高めるということでもある。抽象的思考から具体的思考へと具体性を高めて、思考をクリアにすることができるのだ。

思考の解像度を上げるとさまざまな場合において良いことが生まれる。特にビジネスの面では、確実にメリットだ。具体的な行動目標が立てられるので、他者との情報共有に誤解が生じにくい

また先日話したように、具体的な行動目標を立てることは、モチベーションupにもつながる。さらには、不特定多数の人々に文章で何かを伝えるときにも有利に働く。具体性が高い表現をすると主体的な文章から客観的な文章に変わるので、読み手に情報が伝わりやすいからだ。

そんなわけで、英語のネイティブスピーカーがどのような思考で英語という言語を構築しているのかを理解したい人、そしてそれを実際に身につけてアウトプットしたい人、さらには英語的思考を身につけて日本語の解像度を高めたい人にはぜひオススメしたい本である。

 

具体的な行動がモチベーションupにつながる話はこちら↓

shimauma-house.hatenablog.com

マーク・ピーターセン氏が吟味した「日本人の間違えやすい英語」集がこちら↓

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

 
続・日本人の英語 (岩波新書)

続・日本人の英語 (岩波新書)