シマウマ de 考察

NY駐在4年目サラリーマンが洋書のレビューを中心に書いていきます。最近は生産性を高めることにもハマっていて、脳の働きや睡眠についても研究中。他にもニューヨークで感じたことなどもたまに書いてます。

記憶力のプロに学ぶ、名前の覚えるための戦略

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海外に住んでいると記憶力の重要性を感じる。英語力を向上させるには英単語の暗記はもちろん、会話フレーズや動詞の活用方法も覚えていかなければならないからだ。

それに加えて、最近特に悩んでいるのは外国人の名前を覚えることである。外国人の名前なんてまるで耳馴染みがないので、一度聞いただけではとてもじゃないが覚えられない。さらには、たまに顔も同じような感じに見えるときでさえある。

そんなわけで、最近は記憶力をどう向上させられるのか?ということに関心がある。そして見つけたのがコチラの本だ。 

 今回紹介する本は、記憶マイスター、言わば”記憶力のプロ”によって書かれている。記憶をする上で脳がどのように働くのかの仕組みに簡単に触れながら、記憶力を高める実践的な方法を紹介してくれている。

彼が提唱する、記憶力を高める3つの原則と、具体的な手法のひとつである名前の覚えるためのコツ・戦略を今回は紹介する。

 

記憶力を高めるには?

記憶力には2種類ある。短期記憶と長期記憶だ。短期記憶には量に限界があるし、寝ると忘れるものがほとんど。一方、長期記憶には量に限界がない上、長期的なスパンで記憶を保持できる。

つまり、記憶力を上げるには、覚えたい情報を、短期記憶から長期記憶に効率的に変換させればいいのである。そのための戦略が必要となる。筆者は本書でしきりに次のように述べている。

頭の良し悪しに関係しているのではなく、良い戦略を使っているかどうかによるのだ。

 短期記憶を長期記憶に結びつける戦略

この戦略を実践する上で大事な原則がある、著者はSEEプリンシプル(原則)と名付けている。

  • S - Sense 5感を使って記憶する

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    この感覚が多ければ多いほど記憶に定着しやすい。”horse”という単語を覚えたい際に、字面を見て覚えるよりも、実際に馬に乗った方が確実に記憶に残る。これは、より多くの5感(ここでは視覚、嗅覚、聴覚、触覚)を使っているからに他ならない。
  • E - Exaggeration 誇張して記憶する

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    普通サイズのリンゴよりも、巨大なリンゴの方を見たときのほうが確実に記憶に定着する。何か覚えたいものがあればそれを頭の中で誇張したものを想像してみるとよい。
  • E - Energize イメージしたものに動きをつけて記憶する

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    文字より絵、絵より動画のほうが記憶に残る。昨今は動画広告が増えているが、その理由は動画の方が人々の記憶に残るからだ。

これらを見て分かるのが、2つのEは頭の中でそのイメージを創造しないといけないということであうる。

「記憶の作業は創造性を求められる。創造性を高めると自動的に記憶力も高くなり、記憶力を高めると自動的に創造性も高くなる」

このように考えると、暗記とは決して退屈な作業ではなく、クリエイティブな作業である、という考えになる。この考え方になると暗記作業も案外楽しくなるし、この楽しさがまた創造性を生み出す良いサイクルを生み出す。

 

名前の覚え方

上記原則の他に、本書では記憶力を高める具体的な戦略を6つほど教えてくれている。
ここではその中から「名前の覚え方」を紹介する。この戦略を使いこなすことができれば、どんな名前でも一瞬で記憶することができるようになる。

キーとなる作業は、次の4つである。

「集中」「創造」「連想」「繰り返し」

  1. 集中

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    紹介される人の名前と顔を覚えるために全神経を研ぎ澄ますこと。人の脳はひとつのことしか集中することができない構造になっている。だから、このときにその日の晩御飯のことを考えていてはいけないし、仕事のことを考えてはいけない。
    名前を聞き取れなかった場合は、もう一度確認しよう。全く失礼ではない。聞きなれない名前であれば漢字を、英語の名前ならスペルを教えてもらうのも良いだろう。曖昧にしか聞き取れなかったものは確実に記憶できない。そんなわけでまずは全身全霊で正確に名前を聞き取ろう。

  2. 創造

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    音よりイメージを覚えやすいように脳はできている。だから音をイメージに変換すると記憶力向上につながる。実際に、プレゼン時に図を入れるだけで、その説明を覚えている確率が65%も上がるといういう研究結果もあるそうだ。

    ではどのように名前からイメージを創造するのか?その名前と同じ人がいるのならば、その人の顔を思い浮かべよう。友達でもいいし、芸能人でもいい。

    はじめて聞く名前の場合は、音から無理やりイメージを創る。たとえば「ホースリー」と名乗る男性に会った場合は、「ホース」にまたがり爆走するブルース・「リー」を思い描いてみる。このように、現実では滅多に見ない光景を創造すると記憶力のアップにつながる。

    日本人の場合だと、漢字がも良いツールとなる。漢字自体が実際の形を現しているものが多いからだ。たとえば「山里さん」という人がいたとすると、自分が訪れたことがある「山」と「里」を思い浮かべればいいのである。

  3. 連想

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    ここで短期記憶から長期記憶につなげる行程となる。すでに知っている人の名前の場合は、その人の顔と、新しく覚えたい人の顔の部位を比較する。この本では「ジョージ」を例にあげている。

    まず既存のジョージとして「ジョージ・クルーニー」を連想する。そして目の前のジョージと、髪の色や、鼻のかたち、目の色などできるだけ多くの箇所を比較するのだ。そうすることで、新しいジョージの顔と、既存のジョージをセットにできるので、結果として長期記憶につながるという。

    音から無理やりヴィジュアルを作った場合はどうだろう?
    「ホースリー」を例にとると、まず目の前のホースリーの顔の特徴的な部分を見つける。そしてそれをコミカルになるくらい大げさになるようにイメージしよう。たとえば鼻に特徴があるとしたら、鼻が大きくなったバージョンのホースリーをイメージするのだ。次に、先ほど音から作り上げた「馬に跨って爆走するブルース・リー」を、特徴的な鼻から登場させる。このコミカルなイメージが長期記憶につながるのである。

    ここでひとつ著者が注意しているのは、このイメージの創造を他言しないほうがいいということである。中には気分を害する人がいるからだ。

  4.  繰り返し

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    3で創ったイメージを思い出す作業を繰り返す。思い出す行為が多ければ多いほど長期記憶につながる。たとえばその人と話している傍ら、創り出したイメージを何度か想像するのもいい。会話の中で名前の由来などを話すことも、覚えるためのひとつの良い方法である。iPhoneのメモ帳にその日あった人の名前と、創り上げたイメージを書いてみるのもいい。

集中して名前を聞き取り、その名前からイメージを創り出す。創り出したイメージと顔を連想し、その連想したものを繰り返し思い出してみる。この一連の作業を行うことで、名前を忘れる確率が劇的に下がるだろう。

このような記憶力を高める具体的な戦略が、他にもいくつも紹介されている。数字の効率的な覚え方や、文章をまるまる覚える方法などだ。もちろん語学の勉強にも活かせる。記憶力を高める戦略を用いて、人生を豊かにしよう。

 

筆者について

記憶力のプロと言っても想像つかない人が多いと思うので、最後にこの筆者の凄さを感じてもらえる動画を載せておいた。ランダムに書かれた18の数字で一瞬で記憶するところをぜひ確認してもらいたい。


Instantly recalling understanding: Kevin Horsley at TEDxPretoria