シマウマ de 考察

NY駐在4年目サラリーマンが洋書のレビューを中心に書いていきます。最近は生産性を高めることにもハマっていて、脳の働きや睡眠についても研究中。他にもニューヨークで感じたことなどもたまに書いてます。

わかりやすい説明のコツは伝える順番にあった:一番伝わる説明の順番

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「相手が理解しやすいように順序立てして説明する」というのが説明を上手にするための一つの要素であるということは前回もお伝えしたが、 この「順序立て」で躓いてしまうことが少ないくない。

shimauma-house.hatenablog.com

 

そこで手に取ったのが本書である。

一番伝わる説明の順番

一番伝わる説明の順番

 

 

本記事の構成


説明はコミュニケーション(情報伝達)

わかりやすい説明のカギは「説明はコミュニケーション(情報伝達)である」ということを理解することにある、と本書は主張する。したがって説明をする際には「相手の頭を整理しながら伝える」ということが必要になる。これを実現するのに「説明の順番」を意識することが欠かせない、と言うのが本書のテーマ。

では「説明の順番」をどう決めればいいのか?

本記事ではその点に絞って明らかにしていく。

 

わかりやすい説明の順番

相手の頭を整理できる説明の順番に組み立てる。以下の通りに順番を並べると、聞き手の理解が高くなる。

  1. 前提・範囲をそろえる
    前提とは、話す内容についての聞き手の知識レベルである。つまり、前提をそろえるとは、これから話す内容に対する、聞き手との知識レベルのギャップを埋めるため作業なのだ。とはいっても、具体的にどうすればいいのか?本書でオススメしているのは、「小・中学生に説明するぐらいのつもりで話す」というもの。
    それに加えて「話の範囲」を揃えることも大切になる。今回はどこまで深く掘り下げて伝えるかということも話しておくと、相手の理解がスムーズになる。

  2. 結論・主張・本質
    結論・主張・本質を一言で伝える。説明を受けた聞き手に何らかのアクションを求める場合は、先に「期待する行動」も伝えておくと聞き手は楽になる。
    本質を伝えるとは「その事象をうまく表した一言」のことを言う。枕詞で書くとイメージしやすくなる。「要するに、つまり、一言で言うと、端的に言えば、シンプルに言えば、すなわち」というように、一言で要約した言葉で表すことである。

  3. 根拠・理由・事実
    前提をそろえて、結論や主張を一言で伝えることができたら、次にそれを支える根拠や理由、事実を伝える。ここでのポイントは3つ。
    ・これから理由を伝えることを示す:EX.(主張は)OOです。その理由は、、、
    ・理由を3つに絞る:EX. その理由は3つあります。、、、
    ・理由や根拠は客観的事実で構築する:数字やデータを用いる
    ここが客観的事実でなく主観的思想になってしまうと、聞き手は腑に落ちない状態になる。つまり、聞き手の納得感を高めるには、どれだけ事実を調べられるかにかかっているのだ。

  4. 補足情報
    主に「根拠の根拠」や「根拠を補足する背景」といった類がここに当てはまる。ただし、根拠や理由は多すぎても意味がない、むしろ混乱を招きかねないので、注意が必要。

  5. 結論・相手に促したいアクション
    最後にもう一度、結論や主張を伝える。これで完結。

 

具体的な状況を想起させるキーワードで、結論を一言にまとめる

結論は一言。とは言うものの、一言への集約は簡単ではない。抽象的すぎると薄っぺらなものになってしまうし、かといって具体的すぎると一言に収まらなくなる。

たとえば、次の話がある。

週末に彼女と新宿駅で待ち合わせして、白いロマンスカーVSE)に乗って、ガンダムみたいだね、と盛り上がったあとで、車内で景色を見ながらビールで乾杯して、箱根湯本で川沿いを10分ほど上流に歩いた店で蕎麦を食べてから、ケーブルカーで強羅に行く途中、彫刻の森美術館で足湯に入りながらシャンパン飲んでから、強羅温泉で一泊し、翌日はロープウェイで大涌谷を経由して芦ノ湖の海賊船に乗り、その後、バスで箱根湯本に移動し、ロマンスカーで帰ってきました。 

この話を要約すると「週末に旅行に行った」という感じになってしまうことが多い。これでは具体性がなくなり、抽象的な情報になってしまう。要約としては最悪レベル。

同じ文章量でサマライズするとしたら「彼女と箱根旅行」とか、あるいはもっと思い切って「ロマンスカーで生ビール」にすべきである、と本書は指摘する。

ポイントは「具体的な状況をイメージさせるキーワードを選んだまとめを作る」こと。具体的な情景が思い浮かぶキーワードを選んで、相手にイメージを想起させる要約でないと伝わらない。

仕事の例でいうと「発注業務の効率性が向上」や「在庫量を最適化」というのは要注意。こういった仕事の改善活動のサマリーであれば具体的な「HOW」に踏み込んで説明する方が望ましい。

今回の例でいうと「推奨値の提示、発注対象外商品の非表示機能等により、高効率な発注業務の実現」くらいまで説明すべきなのである。

まとめ

本記事では、伝わる説明をするための順序を立てる方法を解説し、一言で結論を述べるためのコツを紹介した。 

本書では、物事を説明する力に主眼を置いているが、その裏側には「考え方を、考える」という思想が流れている、と著者は語る。

たしかに、人にわかりやすく説明する行為は、そもそもは相手に伝わりやすくするために行う行為であるが、それとともに自分の思考を整理できる行為である、ということが本書を通して気づいた点でもある。これからも本書の方法を用いてどんどん人に説明し、思考をシャープにしていければと思う。

説明下手からの脱却へ:説明力があがる3つのコツ

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「どんなときでもバッチリ伝わる!説明力があがるコツ」は説明力をあげたい人に向けて書かれた本。説明力がある著者によって書かれた本なので、非常に読みやすい本であった。

ちなみに、今なら(2018/9/16)およそ300円で入手できる。 

どんなときでもバッチリ伝わる!説明力があがるコツ

どんなときでもバッチリ伝わる!説明力があがるコツ

 

はじめに触れておくと、自分も説明が苦手である。

知っていることが多い分野の説明ほど、難しいと感じてしまう。言いたいことで溢れてしまうからだ。話している途中、要するに何を伝えたいのかが分からなくなり、結果的に相手も自分も混乱させてしまうことがある。

本書では、説明力をあげる52のコツを提示しているが、本記事では上述した症状(言いたいことがありすぎて説明が下手になる)を解決となるもののみにフォーカスしている。

 

説明が下手な原因は?

ダメな説明は、総じて「説明の道筋を明らかにすることができていないから」と著者は主張する。その主な原因は以下である。

・聞き手が求めているものを理解できていない
・話す順序が整理されていない
・聞き手と全体像の共有ができていない
・具体的な詳細に入りすぎてしまっている

ここで冒頭に挙げた自分のケースを引き合いに出してみる。

「言いたいことが溢れてしまう」というのは聞き手の求めているものを無視しているし証拠であるし、「知っていることが多い」せいで、具体的な詳細に入りすぎている可能性が高い。

また、そもそも自分の話したいことベースなので、全体像の共有も欠けがちだし、話す順序も整理されていない傾向が高い。

本書では説明を「道案内」に例えている。説明上手な人は道案内が上手い、とよく耳にする。というわけで、自分の説明を道案内に当てはめてみた。

まず、行き先の情報が曖昧。ルートをを設定した後でも、何度も勝手にルート変更される。さらに縮尺がものすごいズームになってしまっているので、ルートの全貌が見えない状態。といった感じだろうか。

どおりで、説明が下手なわけだ。。。。

説明力をあげる方法

この状態から脱却するにはどうすればいいか?いかにして説明の「道筋」を明らかにできるのだろうか?本書から見つけたポイントは以下の3つになる。

  • 目的を考える
    説明をする目的は何なのか?聞き手は何を聞きたいと思っているのか?を明確にする。
  • 情報を絞り込む
    説明する目的に沿って、情報を一つに絞り込む。知っているからといって情報を詰め込みすぎてはいけない。相手を混乱させてしまうだけである。
  • 説明前の準備をする
    事前に論理構造を整理しておく。頭の中は意外と論理的にはなれないので、紙に書き出すのがベスト。相手が理解しやすいような順序を事前に導き出しておく。

これら3つのポイントを常に意識する癖をつけることで、説明下手から脱却できるようになる。仕事の報告はもちろん、プライベートの会話でも有効。
 

まとめ

本記事では、説明が下手な原因は道筋を明らかにできていないからであり、その道筋を明らかにするための3つの方法を述べた。

これを常に心がけることによって、説明力が向上する。安心して聞き手を目的地へナビゲーションできるようになるのだ。

冒頭の症状に悩む人は、情報を絞り込む、というのが特に欠けている部分なので、その点を意識して、物事の説明やアウトプットを続けてみて欲しい。

本の内容を忘れてしまう人にオススメする「10分で読書感想を書く方法」:アウトプット大全の書評

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本記事の構成


アウトプットが記憶に良いことは知ってるけど

「本を読むけど、読んだ内容をすぐ忘れてしまう」「本を読んだことは覚えているけど、内容を聞かれてもうまく説明できない

という人は少なくないと思う。自分もまさにそれで悩んでいる。 

さらには「本を読んでも記憶に定着しないから、本を読むこと自体が億劫になる」といった次なる次元に突入してしまい、本を読むこと自体が辛くなる。という人も中にはいるのではないだろうか。

自分がまさにそれだ。

ここでの問題は、本の内容が記憶に定着していないことにある。でも、その解決策を知っている人は多い。本で得た知識をアウトプットすればいいのだ。つまり、読書感想文や書評を書けばいいのである。

しかしながら、ここでもうひとつの壁にぶち当たる。

読書感想文や書評を書くのが苦手なのである。

その一番の原因は何か?時間がかかることだ。本から得られる知識は多い。もちろん良本ほどその傾向が高い。そうなると、やたらめったらその内容を書きたくなってしまう。

最初はやる気を出して書評を書き始めるが、2章あたり、最悪の場合1章の途中で挫折する。ものすごく時間がかかってしまう一方で、終わりが見えないからだ。

この状況から脱却するには、「ひたすら書き続けて書くことに慣れる」か、「短時間で読書感想文や書評を書く方法」を身につけることだ。できるなら後者を選びたい。


アウトプット大全に書いていること

そんなわけで手に取ったのが、こちらの本「アウトプット大全」。ここに答えが載っていた。

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

 

本書では、まずアウトプットの重要性を語っている。この段階で「アウトプットする」モチベーションを高めてくれるので、それだけでも今の自分には価値があった。

それから順に、話す・書く・行動する、の三つの形での具体的なアウトプットのメリットや手順を紹介してくれている。「書く」ことが自分には参考になった。

最後の章では、アウトプットを実践するためのトレーニング方法もいくつか紹介してくれており、これが非常にありがたかった。

本記事ではここで紹介されていたトレーニング方法の中でも、非常に有効かつ簡単に実践できそうな「10分で読書感想を書く方法」を紹介する。


10分で読書感想を書く方法

結論から入ると、その方法は「ビフォー」+「気づき」+「To Do」を意識することである。順を追って説明する。

「ビフォー」:本を読む前に自分がどんな悩み、どんな問題や疑問を解決したいのかを明確にする。本を買ったのはなぜか?本を読んで自分をどんな状態になりたいのか?ということを自問すれば、それが自然と明確になる。

「気づき」:本を読んだ後の作業。「ビフォー」で明確にした悩みや問題・疑問の答えを書く。読んでいる間、常に答えは何か?と意識しておくと見つけるのは比較的楽にできる。副次的効果として読むスピードが圧倒的に速くなる。これは情報の取捨選択をしているから。

「To Do」:気づきで見つけた答えを実際の行動目標に落とし込む。具体的にすればするほど取り組みやすくなる。

 

本書で紹介しているテンプレートは以下である。

ビフォー:この本を読む前の私はOOでした。

気づき:この本を読んで私は、△△について気づきました。

To Do:今後、××を実行していこうと思います。

最初から長文を書くのは難しいので、まずは3行でまとめる。

ビフォー:読書感想文を書くのが億劫

気づき:読む目的、その答えを探す読書をすると意外と簡単に書ける。

To Do:「ビフォー」+「気づき」+「To Do」で10冊の読書感想文を書く

この3行構成からどんどん肉付けしていったものが、本記事となる。

 

本記事を書くのに費やした時間は20分。その後で推敲に60分費やして完成。実践して感じたのは、確かに圧倒的に速いスピードで執筆できたこと。加えて、内容が記憶にも定着している。試しに友人に口頭で説明してみたが、ここで書いた内容はつまらずに説明することができた。

情報収集目的でない読書の場合はこのテンプレートが当てはまらないかもしれない。けれども今回の私のように「本を購買する時点で、情報収集したい内容がある程度かたまっている場合」は、この方法が圧倒的に効果が出ると感じている。

ぜひこの方法を試して、読書で得た情報を己の血肉にしていただきたい。

命の危険がある暑さ - 日本の全小中学校にエアコンを

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「命の危険がある暑さ」

全国各地で記録的な猛暑が続き、7月23日午後の気象庁会見にて、「命の危険がある暑さ。ひとつの”災害”と認識している」ことが表明された。気象庁によると、7月中旬の平均気温は統計を開始した1961年以来、もっとも暑くなった。

しかし、この現象は日本列島だけでなく、地球規模に発生している。

7/28付けの英Economistでも世界各地で見舞われている異常な酷暑に題材に取り上げている。

www.economist.com

要約すると、

今夏、各地で観測されている高温現象は、滅多に起きない特別なイベントではなく今後も頻繁に起こる。これは地球温暖化が原因であるが、温暖化は産業革命以後の人間の営みがもたらした結果だ。

したがって、各国がこのことを自覚し、温暖化対策に真剣に取り組むべきである。さもなくば、地球温暖化が引き起こす刃は、野生の生態を破壊するのみならず、国の経済にも影響を与え、ゆくゆくは人命をも奪っていく。

 

世界で何が起こっている?

記事では日本の「災害宣言」にも触れているが、世界各地の状況も次のように紹介している。

フィンランド:例年より12度も気温が高い夏となる。1908年以来初めて。
アテネギリシャ):山火事で少なくとも80人が死亡
・シベリア(ロシア):80,000ヘクタールの森林が焼ける。東京ドーム約16,800個分
・ロサンゼルス:最低気温が26度を下回らない日を7/7に観測。平均最低気温17度
オマーン:1日の最低気温が42.6度という日を記録。平均最低気温31度
・地球:産業革命以後おおよそ1度気温が上昇

地球温暖化は人間の責任?

この温暖化現象は人間の責任なのだろうか?

上述した通り、フィンランドの1908年は酷暑であった。地球史上最も暑かったのも1913年にDeath Valley(アメリカ)で記録した56.7度だそうだ。どちらも100年前の極めて二酸化炭素の排出が少なかった時期の話だ。すると、二酸化炭素の上昇、つまり近代の産業化とこの異常気象は関連があるのか?という疑問が出てきくる。

そんなわけで、その科学的根拠を出すために、多くの研究者が知恵を絞ってこの謎の解明を行った。やがてあらゆる気象情報を集めてデータベース化し、そのデータを元にコンピュータがシミレーションする方法が使われるようになる。この計算で、人間有りバージョンの気象状態と人間無しバージョンの気象状態を比較することができる。

この計算は2004年に初めて行われた。その結論は、やはり人間の営みが異常気象に影響を及ぼしているということなった。

2003年に(ヨーロッパ限定ではあるが)144回観測された異常気象現象のうち、酷暑が記録されたのは48回。そのうちの41回に人間の関与がある、というデータがはじき出された。実に85%の確率である。ちなみに「Carbon Brife」というポータルサイトでこれらの詳しい情報は入手できる。

それ以降「World Weather Atrribution」など他にもさまざまな研究が行われて、今後の気象状態も人間の振る舞いによって大きく変化するという結論になっている。このような結論を元に、2015年にパリ協定の採択がなされた。

 

気温が上昇し続けるとどうなるのか?

このまま気温が上昇し続けると、特に湿度が高い環境下においては人体にかなりの悪影響を与えてしまう。たとえば、*湿球黒球温度が30度以上の場合、30代の健康体でも6時間以上その場に居続けると死んでしまうそうだ。日陰で扇風機に当たっている状態でもである。つまり室内でも命の危険となるのだ。

今日においてはこの湿球黒球温度が31度を上回ることは滅多にないが、このまま二酸化炭素が増え続ければ、2100年までに、まずペルシア湾の地域で31度以上の観測がされるようになる。それ以後、南アジアの一部地域から全体に広がっていく。

貧困削減に熱心に取り組む世界銀行も温暖化現象に警鐘を鳴らす。インドでは気温上昇やモンスーンの影響でGDPの2.8%の損失が起こり、およそ6億人が暮らす地域が酷暑地として分類されると予測している。世界に目を向けると約10兆ドルの損失被害を被るという試算がされている。

 

結論 

過去の過ちから学び、各国が地球温暖化を食い止める努力をするべきだ。というのが本記事の括り。

パリ協定に参加した国々に対して、削減目標の達成を促すとともに、今回の記事ではなかったが、「離脱」を宣言した米国に向けた発言であることも容易に想像がつく。

この酷暑を切り抜けるサバイバル術として、経済成長を遂げたインドが、各地にエアコンをつけることを勧めている。しかし自分としては、経済的には余裕のある(インドよりは)日本に、速やかにすべての小学校と中学校にエアコンをつけて欲しいなと切に願う。

 

*湿球黒球温度:酷暑環境下での行動に伴うリスクの度合いを判断するために用いられる指標である。熱中症のリスクを事前に判断するためにアメリカで開発された。日本の環境省では、暑さ指数(WBGT)と称している。湿度、熱放射、気温の3要素から計算される。 

Carbon Brifeのサイト

www.carbonbrief.org

ネットフリックスのひとり勝ちは続くのか?

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The Economistの6月30日版ではネットフリックス特集記事もしていたので、今回はその話、前回書いた記事の詳細版という位置付け。

本記事の論点は、ネットフリックスは今後も勝ち続けるのか?ということであり、それに対する本誌の結論は、まだどうなるか分からない。なんとも煮え切らない締め方ではあるが、The Economistらしい。この記事では、彼らがこの結論に至った理由を、ポイントを絞って解説する。

www.economist.com

 

ネットフリックスの来歴

まずはネットフリックスの来歴を箇条書きでなぞる。

  • 1997年:カリフォルニアにて創立。当初の事業はDVDレンタルサービス事業。
  • 2006年:パーソナライズ・DVDレコメンド機能のアルゴリズムを開発。一番出来の良いアルゴリズムを開発したデベロッパーに$ 1 million(1億円)の賞金を報酬として用意。←Wikipediaの情報引用
  • 2010年:当時ビデオ配給企業の副社長だったテッド・サランドスがCCO(Chief Content Officer)に就任
  • 2011年:Video Streaming事業に着手。$ 100 million(100億円)をかけて「House of Cards」の放映権を購入
  • 2018年:5月の決算発表で時価総額が$ 170bn(17兆円)となりディズニーを抜き、メディア業界で最大の企業となる。

次に、ネットフリックスがどれだけ成功しているかについて少し触れる。

  • 2018年には年間82本の映画作品を公開する予定。ハリウッドでお馴染みのワーナー・ブラザースは年間23本
  • 現在700を超えるTVプログラムを21ヶ国にまたがって生産中
  • ネットフリックスの購買者は世界で現在1億2,500万世帯。米国内では5,700世帯。米国に限れば、この結果、既存のTVプロバイダーの契約が激減している。
  • 世界のDownstream bandwidthの約5分の1をネットフリックスが占拠。要するに、ものすごく多い人数がネットフリックスのコンテンツを視聴しているということ。この数には中国人が含まれていない(中国ではネットフリックスが規制されている)ので、なおのこと驚きである。


ネットフリックスの成功要因

これほどまでに成功しているネットフリックス。ではその成功の要因は何なんだろうか。大きく分けて3つあると考える。

  1. 莫大なコンテンツ投資
    2018年の1年間で$ 12bn(1兆2,000万円)をコンテンツ投資に行うという。さらには人材の確保にも余念がない。最近ではオバマ米大統領とその夫人ミシェル氏とも契約し、新たな番組を作成中。他にも米国では超著名なプロデューサーたち("Glee"のRyan Murphyや"Grey's Anatomy"のShonda Rhimesなど)と続々契約している。

  2. グローバルマーケティング
    米国のみならず世界的に展開し成功している。実際、ネットフリックスの購読者の半分以上は米国外にいる。成功の秘訣は、各国にてローカルな番組を制作していること。メキシコの「Marcos」、ドイツの「Dark」やブラジルの「3%」など数えれば数多にある。それらローカル作品が文字字幕とともに世界に発信し、さらに人気を加速させているという現象も起こっている。

  3. 超強力なアルゴリズム
    適切な対象に投資し、適切な視聴者に、ネットフリックスのプラットフォームを使ってダイレクトに広告する。これを可能にしているのは、ネットフリックスが超強力なアルゴリズムを開発し続けているからだ。データに基づいた確固たる自信があるから、他社が考えもしなかったような大胆な行動が踏める。ここでの強みはデータが集まれば集まるほど強力になるので、ネットフリックスの牙城はそうそう崩れないだろう。
    DVDレンタル屋時代から、アルゴリズムによるレコメンドシステムで成功した体験も、後押ししているのだろう。

 

ネットフリックスが抱える4つのリスク

これほどまでに好調ななネットフリックスでも将来は安泰ではない。と本誌は主張する。これぞ”盛者必衰”の理である。

  • 競合の存在
    AT&T(米国最大手の電話会社、インターネット接続等のサービスも行う)が$109bn(10兆円)でタイム・ワーナー社を2018年6月に買収。コンテンツ配信事業にも力を入れる形だ。
    さらにはケーブル・メディア最大手のコムキャスト社も、21st Century Foxの買収を画策しているという。その買収額は$80bn(8兆円)にのぼるという。
    もちろん、Amazon PrimeやHuluなど他のストリーミングサービスも虎視眈々とネットフリックスの牙城を崩そうとしている。

  • ファイナンシャルの問題
    ネットフリックスは$8.5bn(8,500億円)の負債を抱えている。もちろん、これは余剰利益を出さずにコンテンツに投資する、戦略的負債であり1億世帯を超える購買者を抱えるネットフリックスにとっては、大きな痛みではない。今の所は。しかし、ひとたび会員数が減ることが起これば、この少なくない負債が、企業の首を絞めかねない。

  • スキャンダル
    100億円かけて権利を勝ち取り、映像ストリーミング事業の創成期に成長するドライバーとなったHouse of Cardsであるが、主演のケビン・スペイシーが2017年に性的暴行の疑いをかけられるスキャンダルに見回れる。このときのネットフリックスの動きは機敏で、即座にケビン氏との関係を断ち、残っていた最終シリーズもこの主演を使用しないと決定した。このためネットフリックスが本件についてバッシングを受けることはなかったが、他の俳優がこのようなスキャンダルを起こさないとは限らないので、今後もリスク要因として大きく残る。

  • 既存TV事業との軋轢
    たとえネットフリックスの事業が上記リスクを乗り越えたとしても、今度は既存事業との覇権争いになる。この場合は、往々にしてネットフリックスのような新規事業は不利なる。なぜなら既存事業は政府との付き合いが深いから。仮にネットフリックスが各国のエンターテイメント事業を独占したとすると、各国で規制がかけられる見込みが高くなる。

 

長期的に見て一番大きなリスクは、既存事業との争いになる。実際、日本ではAirbnbUberなどは厳しい規制をかけられている。それが”タイタン”と呼ばれる超巨大企業の悩みの種となる。事実、FAANGFacebookAmazonAppleNetflixGoogleのどの企業もまだ解を見つけられていない。

というのが本記事の最後の締め。いかにもThe Economistらしい締め方である。

 

前回のネットフリックス記事はこちら↓

shimauma-house.hatenablog.com

 

読書のジレンマからの解放:本の内容を記憶する「マインドマップ読書法」

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本を読むのが好きだ。でもひとつ問題があって、それは読んだ本の内容を忘れてしまうことだ。かといって内容を覚えるためにメモしながら読むと、メモするのに時間がかかりすぎる。その結果、読むこと自体が億劫になってしまう。さらに問題なのは、メモした内容もたいして覚えられてないことだ。

そうなってくると、「たくさん本を読みたいけど、どうせ内容を記憶できないのなら、読んでも意味がない」という読書のジレンマに陥る。英語の本の場合は、読むこと自体に膨大な時間を要するので、そのジレンマが一層強くなる。

こんな読書のジレンマを解決する方法がある。それがマインドマップ読書法」だ。この方法を用いれば、記憶の長期的な保持が可能になる。しかもマインドマップは短時間での作成が可能なので、作業自体が億劫になることもない。

そんなわけで、今回はマインドマップ読書法について書いていく。参考にした本はマインドマップ創始者であるトニー・ブザン氏Mind Map Mastery。この本は2018年3月に発行されたもので、マインドマップの基本ルールから、AIなどの新たなテクノロジーマインドマップがどのように絡んでいくのといった、旬の話もされているので、既にマインドマップを知っている人にもおススメな本になっている。

Mind Map Mastery: The Complete Guide to Learning and Using the Most Powerful Thinking Tool in the Universe

Mind Map Mastery: The Complete Guide to Learning and Using the Most Powerful Thinking Tool in the Universe

 

 

なぜマインドマップが記憶の保持に良いのか?

そもそもなぜマインドマップが記憶の保持に良いのか、という点について簡単に触れる。

乱暴にまとめると「脳の働きをブーストするように工夫されているから」となる。工夫している箇所は以下の二点。

  • 左脳と右脳の両方を使うようにできている

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    左脳と右脳の役割は違う。左脳は文字や論理などを司る一方、右脳は図や色に反応する。マインドマップのルールのひとつは、できるだけ多くの図と色を入れること。つまり、マインドマップのルールに従うことで自動的に脳全体を活用することになるのだ。
  • 情報を記憶する仕組みと同じ仕組みで作られている
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    中心にメインとなるテーマを(図で)添え、そのテーマから連想するもの・ことを放射状に加えていくのが、もうひとつのマインドマップのルール。実は、これは脳が情報を記憶する仕組みと同じなのである。

    赤ちゃんの学習プロセスを例にとる。生後まもない赤ちゃんは20 - 25cmほど先しか見えない。これはちょうど母親の顔の位置になる。赤ちゃんはまず母親という存在を理解し、母親から派生するものを順に覚えていく。「ご飯」であったり、「パパ」だったり、「愛情」だったり。

    この覚える仕組みは大人になっても変わらない。「先週土曜日の晩御飯は何を食べた?」かと聞かれ、すぐに思い出せなかったとする。そんな時は、その日の夕方はどこにいたのか?誰といたか?など、晩御飯に関連されるものから思い出していくと、最後は思い出すことができるのである。

マインドマップを使うことは、左脳・右脳を活性化し、かつ脳が情報を記憶するプロセスを可視化することである。つまり、脳のポテンシャルをできるだけ引き出すことになる。だから記憶力が上がるのである。実際に、科学的にもマインドマップが記憶の保持に効果があると立証されている。

 

マインドマップの描き方

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なぜマインドマップが記憶の保持にいいのかを把握していれば、描くのは造作ない。準備するものは、真っ白な紙と、色のついたペンを3色以上用意するだけ。

必要なステップは以下の3つ。

  1. 紙の中心にメインテーマを象徴するイメージを描く
  2. 中心から放射状に枝を描く。枝の色はそれぞれ変える。
  3. 枝の先に中心から連想するイメージを描く。一言のフレーズでもよい。

以上。

後は、ステップ2, 3を繰り返して、他の枝の先も描けばいいだけ。枝の先から更なる階層となる枝を描いてもいいが、できるだけ複雑にならないように、多くとも3から4階層に抑えておきたい。

 

マインドマップ読書法

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マインドマップも良さを理解し、作り方を知ったところで、自分の生活に取り入れなければ意味がない。情報を保持する脳の場所と、このような手続き記憶を保持する場所は違うのだからマインドマップを描く」という行為を記憶するには、実際に描きつづけるしかないのだ。

というわけで、ここからは「Mind Map Mastery」の内容からは少し逸れ、私が取り入れているマインドマップ読書法を簡単に紹介する。

  1. 本を読む目的を明確にする。
  2. その目的を紙の中心に描く
  3. 本を高速でざっと読む
    目次、まえがき、(あれば結論)はじっくり、後は気になった個所以外は高速で読む。このとき、全部読んで理解するという感覚は排除する。
  4. 設定した目的を理解するのに必要なキーワードを3 ~ 7つ、枝として描く
  5. その枝からさらに必要となる細かな要素を描く

これを徹底して繰り返す。この方法の良い点は、読む目的が毎回明確になること。目的が明確であれば、読むべきところが自然と見えてくる。それができると、全ての文字をじっくり読んで理解しなければいけない、という感覚も排除できる。結果として読むスピードが上がる。

マインドマップに記載する内容もキーワードのみなので、作成するのにあめり時間もかからない。だから続けられる。続けることで、精度も上がる、精度が上がれば理解度も高くなる。

このようにマインドマップ読書はいいことづくめなので、ぜひともトライして頂き「本を読みたいけど、読まない」という読書のジレンマから自分を解放して欲しい。

Netflix(ネットフリックス)作品が面白い理由

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久しぶりのThe Economistからの記事。

少し前になるが、Web版7月4日号のThe EconomistにてNetflix(ネットフリックス)に関する記事が掲載されていた。”How Netflix became a billion-dollar titan”つまり、どのようにしてNetflix企業価値10億ドルの巨大企業になったのか、という話。

www.economist.com

もともとDVDレンタル屋だったNetflixは2011年からビデオ・ストリーミング事業に着手。手始めに「House of Card -野望への階段」の放映権を、およそ1億ドルで購入。今のようにストリーミング事業が隆盛ではなかった当初は、Netflix社のこの行為は周囲にとっては懐疑的であった。逆を言うと、この時点でこの規模の投資ができるNetflixには、かなりの先見の明があったことが分かる。

それ以降もコンテンツへの投資を続けて、爆発的に人気のあるコンテンツを製作、ストトリーミング市場の世界的な成長も合間って、Netflixは”Titan"と表現される程の巨大企業となった。

2018年は年間12 - 13億ドルの投資を行う予定で、82本の映画を公開する予定だとか。この公開本数はとてつもなく多く、たとえばハリウッドでお馴染みのワーナーブラザーズの映画公開本数は23本である。ディズニーは10本。

要するに、Netflixの作品が面白い理由は、

  1. いち早くストリーミング事業に着手し
  2. この事業のキーとなるコンテンツに投資し続けたから。

と言えるのではないだろうか。