シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

脳とコンピュータが会話する世界を想像した結果

今日もThe Economistの記事。2019年7月18日号のScience and technologyで、イーロン・マスク氏らによって創立されたNeuralinkが明らかにしたBMI(Brain-machine interface: ブレイン・マシン・インターフェース)について伝えている。彼らが開発した新しいデバイスや手法の登場で、BMIの実用化がまた一歩前進したようだ。

 

https://www.economist.com/science-and-technology/2019/07/18/elon-musk-wants-to-link-brains-directly-to-machines


BMIのを簡単に説明する。BMIとは、脳とコンピュータとでダイレクトに交信ができるようにする手法のことを指し、脳から発生する脳波を検出(レシーバー)したり、逆に脳に信号を送る(サーバー)ことができる装置(電極)を脳に埋め込んだり、頭に設置することで実現する。視覚や聴覚といった感覚器を介さず、直に脳とコンピュータがやりとりができるので、パーキンソン病等の運動機能に障害が現れている患者への治療法のひとつとして使われ始めている。

 

このBMI自体は数年前から取り上げられており、タイプとしては侵襲と非侵襲、つまりレシーバーとなる電極を直接脳に接触させるか否かで分かれている。侵襲の方が精度の高い交信が可能あが、感染症や脳の損傷といったリスクがあるので、なかなか人に対しては実用されてこなかった。だがもちろん、世界一リスクをとることで有名なこの起業家は、侵襲式の開発を進めてきた。

 

そうして今回発表されたのが”neural lace”と言われる装置。超薄いメッシュ状(メロンのカバーに使われてる白いやつが分かりやすいイメージ)の電極を脳の中に入れることでBMIを実現させる。言うまでもなくハードルは非常に高い。なぜなら、脳に損傷を与えないくらい柔らかい素材でいて、長期間劣化しない強度・耐久性も必要。加えて数万を超える電気信号(情報)を拾い・受け取れるキャパシティがいるので、数千の電極を埋め込まないといけない。しかも素材や数だけでなく、その電極を埋め込むための手術を痛みを伴わないでいて、かつ寸分の狂いなく正確に、それでいて素早く行わなければならない。

 

ただ、流石といいますかNeuralinkはそのハードルを超えてくる。今回のプレゼンテーションで見せたのは、ロボットが人の髪の毛の1/4まわりの直径しかない”Threads(糸)”を超精密に、高速でインプラントしていくところだ。それぞれのThreadsには32の電極が含まれており、1分間で6つ埋め込むことができる。Neuralinkはすでにラットやマウスを使ったテストは実施済みで、スクリーン上のカーソルを動かすことに成功している。FDAの許可が降りれば今後は人間でのテストに移る予定だそうだ。

 

このBMIの開発は医療分野で大いに貢献するはずであるが、マスク氏の野望はそれだけには留まらない。将来的には脳内に埋め込んだneural laceあるいはそれ同等の働きをするチップと、イヤホン型のレシーバー(AppleAir podsみたいなもの)が反応して交信できるようにすることである。さらには、ゆくゆくは埋め込んだチップがAI systemと統合させること。こうすることにより、ようやく人類はコンピュータが席巻するであろう先の未来でも生き残ることができる、というのが彼の信念である。さもなければ、人類はArtificial Intelligenceに置き去りにされてしまう。

 

 

正直なところかなりSF染みており現実感に欠けてしまうが、おそらく私が思っている以上に実用化は近いのだろう。シンギュラリティやらホモ・デウスの登場などともリンクする話題であり、興味は惹かれる。この話題の中心には常にイーロン・マスク氏がいるので、彼には畏敬の念すら抱く。グーグル創業者のラリー・ペイジ氏が「自分の遺産は寄付するよりも、イーロン・マスクに渡す」といった趣旨の発言をしたそうだが、その気持ちも納得である。

 

さて、これが実現するとなると、どういった使い方を自分はしたいだろうか。今は英語やオランダ語の勉強で単語やフレーズの記憶作業中なので、たとえばそういった情報が一発で頭の中にインストールしたいな、なんて思う。他には、楽器を演奏できるソフトウェアをインストールしてみたり、見たまんまの景色を保存・シェアできる機能も欲しい。そうすれば旅行で新しく触れた景色を家族や近しい友人とすぐにシェアできるからめちゃくちゃ便利になる。

 

こんなことを考えていくと、おそらくほとんどのスキルや知識を身に着ける努力が必要なくなるのだろう。身に着けるというよりも集める・コレクトするという感覚に近いんじゃないだろうか。遊戯王ポケモンのレアカードを集めるみたいな風に。そうなると勉強すること自体も心から楽しめる作業ではなくなっちゃうんだろうな。なんてことも考えると、努力して身につけたいことを身につける過程や結果を楽しめる時代は今しかないので、今のうちにいろいろ勉強してスキルを磨くことを楽しもう。そんなわけで、明日からもがんばろ。

 

覚えておきたい事柄
・Parkinson disease
・neural lace

 

覚えておきたい英単語
・pronouncement: 表明
・symbiosis: 共生
・intelligible speech: 分かりやすいスピーチ
・electrodes: (発音)
・bandwidth: (発音)
・sewing: (発音)
・plausible: もっともらしい

 

使っていきたい英語表現
・stretch the bounds of credibility
・unveil
・imply
・long-standing aspiration
・albeit
・unsurprisingly
・hurdles abound
・at random
・Conversely
・be clearly aiming for a bigger goal
・The firm has also designed something
・thus
・enabling the species to survive
・a habit of doing something
・fear
・the biggest obstruction to this happening

日本の住宅価格からみる「失われた30年」

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今日はWebに掲載されていた記事から。2019年5月11日号のThe Economist、Daily Chartにおいて、世界の住宅価格の指数推移を30年スパンで掲載。いつを起点に比較するか、どの都市を比較するかなど、フレキシブルに調査できる上、グラフィックスもすっきりしているのが秀逸。

https://www.economist.com/graphic-detail/2019/03/11/global-cities-house-price-index?date=1990-03&index=real_price&places=TOK&places=LON

今回の記事はここ数十年ほとんど多くの都市で上昇してきた物価がそろそろピークを迎えつつあるという内容。「プライム期間」の終了だそうだ。マリオの「スター状態」が終わってしまった感じ。物価の上昇が叫ばれていたニューヨーク、ロンドンやシドニーといったメガシティも実は物価指数でみると直近の2年ほどは落ち目にあるとか。

昨今の世界の住宅価格は株や債権のように海を越えても関連しているため、一つの都市の価格が下がれば、別の都市もつられて下がるようになってきている。としているのはIMFの見解。とくに注意が必要になるのは、下降傾向にある場合。各国の住宅価格下落がシンクロして、景気後退の引き金になってしまうからだ。

他国がスター状態でコインを稼ぎまくっていた一方で、我らが首都・東京の住宅価格は1990年と2018年とを比較すると56%下落していることが分かる。同期間のロンドンは194%の上昇。失われた「20年」というワードをよく耳にしていたが、あれから10年。今では、失われた「30年」になる。綺麗でシンプルなグラフィックだからこそ、それが直接的に理解できるところが残酷だな。

正直なところ、この「ずっと経済が下火な状態」はこの先の10年後も変わらないと思う。これからも失われた「40年」「50年」「60年」と呼ばれ続ける可能性が高い。呼ばれないとするならば、逆にこの状態が平常という認識になったときだけだろう。

今まであればこの失われた「30年」を生み出した原因はバブル世代のせいだったり、今定年退職逃げ切りモードに入っている人びとのせいにできた。しかしながら、今後10 - 20年間はそうわいかないだろう。むしろもっと若い世代から非難の矢面に立つターンになる。そう、近い未来は自分たちの世代にかかっているといっても過言ではない。のかもしれない。そんなわけで、ひたすら上の世代に対してぐちぐち文句を言うのではなく、まずはできる範囲で最大限自分のリソースを使っていければなと、そういう風に生きて、次の世代が営む社会を少しでもいいものにできればな、なんて思うのです。

さっ、もっともっと勉強しよっと。

 

覚えておきたい事柄
IMF: International Monetary Fund国際通貨基金)1944年7月のブレトン・ウッズ会議で創立が決定、3年後の1947年に業務を開始した国際機関。2019年9月末時点の加盟国は189ヵ国。主な目的は加盟国の為替政策の監視や国際収支が著しく悪化した加盟国に対して融資を実施することなどを通じて、国際貿易の促進、加盟国の高水準の雇用と国民所得の増大、為替の安定、などに寄与することになっている。会合は原則2回。
日本はIMFへの出資が第2位であり、IMFのNo.2である副専務理事ポストを4つの内1つを確保しているとか、そんなこともあり日本政府に逆らえずに、件の「消費税15%まで上げないと」発言が出たなども言われている。

 

覚えておきたい英単語
・a housing bust: 住宅価格の崩壊(ここではサブプライムローン問題のこと)
・exuberance: 活気
・a synchronized downturn poses
・median: 中央値
・outstripe the income: 追い越す
・hostile to overseas investment: 敵意がある
・space-constrained city

 

使っていきたい英語表現
・Interactive guide/graph
・a decade ago
・substantially
・reach new highs
・The rise has been particularly pronounced
・defined as .....
・since their peak in 2014
・increasingly correlated
・risk of causing a recession
・could affect financial stability
・to help determine whether housing is fairly valued or not
・benchmark
・on this basis
・whatever the outcome
・likely to slow down in the coming years
・wealth creation
for the moment
・be drawing to a close

 

考えておきたい日本の移民問題

「Japanese schools are struggling with foreign pupils」の画像検索結果

2019年12月12日号のThe EconomistのAsiaのカテゴリーで、日本の外国人労働者の子供に対して行う教育について話がされていた。

https://www.economist.com/asia/2019/12/12/japanese-schools-are-struggling-with-foreign-pupils

ここ数年海外から労働力として日本にやってくる移民が増えているが、その移民たちと一緒にやってくる子供たちに対する教育の仕組みや、それを実現するリソースが十分でないということを伝えている。

日本に外国人労働者が増えてきたのは、国の政策である。深刻な人材不足が嘆かれている業種に対してであれば外国人に日本での就労を認める条件を緩和するように法を改正したのだ。改正されたのが2019年4月1日のことである。猫の手でも借りたいほど困窮している企業には良いニュースであるが、そのしわ寄せを受けているのが、先に述べた移民の子供たちだ。日本人の子供でさえ学ぶのが難しい漢字を、言語のバックグラウンドが全くない外国人のこどもが学ぶとなれば、そのハードさはとてつもないだろう。教える側もまたしかりである。

このような問題に対して今まで政府は全く取り組んで来なかった。現場の市町村・学校に丸投げ状態。しかしながら、2019年6月になってようやく日本語教育を行う責任の所在についても政府や地方自治体が負うようになった。加えて外国人労働者を雇う企業にも、実際の労働者のみではなく、その家族にも日本語教育をしなければならないという義務が設けられた。

だがしかし、これらの取り組みでは何も変わらないだろうと予測する識者は多い。なぜなら現・安部首相の考えでは、この新しいビザでやってくる外国人は永年移民者ではなく、あくまで一過性の労働力の穴を埋めるリソースでしかないのだ。このビザでやってくる外国人を「移民」ではなく「労働力」としか見なしていないのだ。彼だけでなく、これと同じ考えを持った人々が日本には他にも無数にいると考えるので、このマインドセットを変えることができない限りは、今後も日本にやってくる外国人労働者やその子供たち対して行われる教育も変わることはないだろう。

 

 

久々に書いた記事のテーマがやや重すぎた感があるが、興味深いテーマだったし、日本人が知っておくべき実情なのかと。やや日本にダメバイアスをかけようとしている魂胆が見える記事ではあったが。海外の人間から見た景色はこれと相違ないように感じる。 

さて、この外国人労働者を単なる労働力と見なす問題をどう解決するか?

解決には段階を踏んで行う必要がある。まず日本の国力(経済力)が衰えている事実を知るべき国民が知るべき。超少子高齢社会である日本では、近い将来は内需の拡大は期待できないし、かといって「Made in Japan」パワーで海外にモノを今までのように輸出するのも難しい。であるゆえに、これからは海外からお金を落としてもらうことを考えるべき。そういう意味では政府が打ち出した目標、日本に超ラグジュアリーなホテルを建設する、というものは理にはかなっている。だから、日本国民に、日本に来てもらうのってありがたいんです、ってマインドになってもらう必要があるのだ。そのために日本の経済的な面での将来性がよくないことを知るべきなのだ。

また移民の子供に行う教育においては、そもそも日本語を教えるのではなく英語を教えていくように切り替えていけばよい。インターナショナルスクールみたいな感じで。さらに、日本人の子供も日本語で授業を受ける学校か、英語で授業を受ける学校かを選べるようにすればよい。一定の割合で幼い頃から子供に英語力を身につけて欲しいと考える親も増えるだろうから、そうなってくると日本人の英語力も伸長する。これで国力も上がるはず。

少子高齢の問題は長期的に取り組まないといけない問題なので、それに付随したかたちで発生する日本移民問題もこの先ずっと存在していく。だからすべてを政府に任せきりにするのではなく、問題に対して自分の頭で考えることが大事なんだと思う。

 

覚えておきたい事柄
・日本の外国人登録者数 124,000人。2014年から30%up。
・日本語レッスン数は51,000回
・40%の地方自治体は外国人家庭に学校入学の仕組みを教えていない。
・2019年4月1日に外国人材受け入れ拡大に向けた在留資格「特定技能」制度がスタート

 

使っていきたい英語表現
・derive from
・as a part of the program called “
・it marks a 30% rise from 2014
・meant to lure blue-collar workers into industries
・make up more than half of all those teaching Japanese to foreign pupils
・Whether the immigrant children can receive the education they need also depends on
・in place with
・tackle the problem

 

覚えておきたい単語
・pupil: (発音チェック)
・remedial: 補習の
・200-hour crash course
・fend: 避ける
・municipality: (発音チェック)
・lay out the responsibility: 責任を定める
transient worker: 一時的な

わかりやすい説明のコツは伝える順番にあった:一番伝わる説明の順番

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「相手が理解しやすいように順序立てして説明する」というのが説明を上手にするための一つの要素であるということは前回もお伝えしたが、 この「順序立て」で躓いてしまうことが少ないくない。

shimauma-house.hatenablog.com

 

そこで手に取ったのが本書である。

一番伝わる説明の順番

一番伝わる説明の順番

 

 

本記事の構成


説明はコミュニケーション(情報伝達)

わかりやすい説明のカギは「説明はコミュニケーション(情報伝達)である」ということを理解することにある、と本書は主張する。したがって説明をする際には「相手の頭を整理しながら伝える」ということが必要になる。これを実現するのに「説明の順番」を意識することが欠かせない、と言うのが本書のテーマ。

では「説明の順番」をどう決めればいいのか?

本記事ではその点に絞って明らかにしていく。

 

わかりやすい説明の順番

相手の頭を整理できる説明の順番に組み立てる。以下の通りに順番を並べると、聞き手の理解が高くなる。

  1. 前提・範囲をそろえる
    前提とは、話す内容についての聞き手の知識レベルである。つまり、前提をそろえるとは、これから話す内容に対する、聞き手との知識レベルのギャップを埋めるため作業なのだ。とはいっても、具体的にどうすればいいのか?本書でオススメしているのは、「小・中学生に説明するぐらいのつもりで話す」というもの。
    それに加えて「話の範囲」を揃えることも大切になる。今回はどこまで深く掘り下げて伝えるかということも話しておくと、相手の理解がスムーズになる。

  2. 結論・主張・本質
    結論・主張・本質を一言で伝える。説明を受けた聞き手に何らかのアクションを求める場合は、先に「期待する行動」も伝えておくと聞き手は楽になる。
    本質を伝えるとは「その事象をうまく表した一言」のことを言う。枕詞で書くとイメージしやすくなる。「要するに、つまり、一言で言うと、端的に言えば、シンプルに言えば、すなわち」というように、一言で要約した言葉で表すことである。

  3. 根拠・理由・事実
    前提をそろえて、結論や主張を一言で伝えることができたら、次にそれを支える根拠や理由、事実を伝える。ここでのポイントは3つ。
    ・これから理由を伝えることを示す:EX.(主張は)OOです。その理由は、、、
    ・理由を3つに絞る:EX. その理由は3つあります。、、、
    ・理由や根拠は客観的事実で構築する:数字やデータを用いる
    ここが客観的事実でなく主観的思想になってしまうと、聞き手は腑に落ちない状態になる。つまり、聞き手の納得感を高めるには、どれだけ事実を調べられるかにかかっているのだ。

  4. 補足情報
    主に「根拠の根拠」や「根拠を補足する背景」といった類がここに当てはまる。ただし、根拠や理由は多すぎても意味がない、むしろ混乱を招きかねないので、注意が必要。

  5. 結論・相手に促したいアクション
    最後にもう一度、結論や主張を伝える。これで完結。

 

具体的な状況を想起させるキーワードで、結論を一言にまとめる

結論は一言。とは言うものの、一言への集約は簡単ではない。抽象的すぎると薄っぺらなものになってしまうし、かといって具体的すぎると一言に収まらなくなる。

たとえば、次の話がある。

週末に彼女と新宿駅で待ち合わせして、白いロマンスカーVSE)に乗って、ガンダムみたいだね、と盛り上がったあとで、車内で景色を見ながらビールで乾杯して、箱根湯本で川沿いを10分ほど上流に歩いた店で蕎麦を食べてから、ケーブルカーで強羅に行く途中、彫刻の森美術館で足湯に入りながらシャンパン飲んでから、強羅温泉で一泊し、翌日はロープウェイで大涌谷を経由して芦ノ湖の海賊船に乗り、その後、バスで箱根湯本に移動し、ロマンスカーで帰ってきました。 

この話を要約すると「週末に旅行に行った」という感じになってしまうことが多い。これでは具体性がなくなり、抽象的な情報になってしまう。要約としては最悪レベル。

同じ文章量でサマライズするとしたら「彼女と箱根旅行」とか、あるいはもっと思い切って「ロマンスカーで生ビール」にすべきである、と本書は指摘する。

ポイントは「具体的な状況をイメージさせるキーワードを選んだまとめを作る」こと。具体的な情景が思い浮かぶキーワードを選んで、相手にイメージを想起させる要約でないと伝わらない。

仕事の例でいうと「発注業務の効率性が向上」や「在庫量を最適化」というのは要注意。こういった仕事の改善活動のサマリーであれば具体的な「HOW」に踏み込んで説明する方が望ましい。

今回の例でいうと「推奨値の提示、発注対象外商品の非表示機能等により、高効率な発注業務の実現」くらいまで説明すべきなのである。

まとめ

本記事では、伝わる説明をするための順序を立てる方法を解説し、一言で結論を述べるためのコツを紹介した。 

本書では、物事を説明する力に主眼を置いているが、その裏側には「考え方を、考える」という思想が流れている、と著者は語る。

たしかに、人にわかりやすく説明する行為は、そもそもは相手に伝わりやすくするために行う行為であるが、それとともに自分の思考を整理できる行為である、ということが本書を通して気づいた点でもある。これからも本書の方法を用いてどんどん人に説明し、思考をシャープにしていければと思う。

説明下手からの脱却へ:説明力があがる3つのコツ

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「どんなときでもバッチリ伝わる!説明力があがるコツ」は説明力をあげたい人に向けて書かれた本。説明力がある著者によって書かれた本なので、非常に読みやすい本であった。

ちなみに、今なら(2018/9/16)およそ300円で入手できる。 

どんなときでもバッチリ伝わる!説明力があがるコツ

どんなときでもバッチリ伝わる!説明力があがるコツ

 

はじめに触れておくと、自分も説明が苦手である。

知っていることが多い分野の説明ほど、難しいと感じてしまう。言いたいことで溢れてしまうからだ。話している途中、要するに何を伝えたいのかが分からなくなり、結果的に相手も自分も混乱させてしまうことがある。

本書では、説明力をあげる52のコツを提示しているが、本記事では上述した症状(言いたいことがありすぎて説明が下手になる)を解決となるもののみにフォーカスしている。

 

説明が下手な原因は?

ダメな説明は、総じて「説明の道筋を明らかにすることができていないから」と著者は主張する。その主な原因は以下である。

・聞き手が求めているものを理解できていない
・話す順序が整理されていない
・聞き手と全体像の共有ができていない
・具体的な詳細に入りすぎてしまっている

ここで冒頭に挙げた自分のケースを引き合いに出してみる。

「言いたいことが溢れてしまう」というのは聞き手の求めているものを無視しているし証拠であるし、「知っていることが多い」せいで、具体的な詳細に入りすぎている可能性が高い。

また、そもそも自分の話したいことベースなので、全体像の共有も欠けがちだし、話す順序も整理されていない傾向が高い。

本書では説明を「道案内」に例えている。説明上手な人は道案内が上手い、とよく耳にする。というわけで、自分の説明を道案内に当てはめてみた。

まず、行き先の情報が曖昧。ルートをを設定した後でも、何度も勝手にルート変更される。さらに縮尺がものすごいズームになってしまっているので、ルートの全貌が見えない状態。といった感じだろうか。

どおりで、説明が下手なわけだ。。。。

説明力をあげる方法

この状態から脱却するにはどうすればいいか?いかにして説明の「道筋」を明らかにできるのだろうか?本書から見つけたポイントは以下の3つになる。

  • 目的を考える
    説明をする目的は何なのか?聞き手は何を聞きたいと思っているのか?を明確にする。
  • 情報を絞り込む
    説明する目的に沿って、情報を一つに絞り込む。知っているからといって情報を詰め込みすぎてはいけない。相手を混乱させてしまうだけである。
  • 説明前の準備をする
    事前に論理構造を整理しておく。頭の中は意外と論理的にはなれないので、紙に書き出すのがベスト。相手が理解しやすいような順序を事前に導き出しておく。

これら3つのポイントを常に意識する癖をつけることで、説明下手から脱却できるようになる。仕事の報告はもちろん、プライベートの会話でも有効。
 

まとめ

本記事では、説明が下手な原因は道筋を明らかにできていないからであり、その道筋を明らかにするための3つの方法を述べた。

これを常に心がけることによって、説明力が向上する。安心して聞き手を目的地へナビゲーションできるようになるのだ。

冒頭の症状に悩む人は、情報を絞り込む、というのが特に欠けている部分なので、その点を意識して、物事の説明やアウトプットを続けてみて欲しい。

本の内容を忘れてしまう人にオススメする「10分で読書感想を書く方法」:アウトプット大全の書評

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本記事の構成


アウトプットが記憶に良いことは知ってるけど

「本を読むけど、読んだ内容をすぐ忘れてしまう」「本を読んだことは覚えているけど、内容を聞かれてもうまく説明できない

という人は少なくないと思う。自分もまさにそれで悩んでいる。 

さらには「本を読んでも記憶に定着しないから、本を読むこと自体が億劫になる」といった次なる次元に突入してしまい、本を読むこと自体が辛くなる。という人も中にはいるのではないだろうか。

自分がまさにそれだ。

ここでの問題は、本の内容が記憶に定着していないことにある。でも、その解決策を知っている人は多い。本で得た知識をアウトプットすればいいのだ。つまり、読書感想文や書評を書けばいいのである。

しかしながら、ここでもうひとつの壁にぶち当たる。

読書感想文や書評を書くのが苦手なのである。

その一番の原因は何か?時間がかかることだ。本から得られる知識は多い。もちろん良本ほどその傾向が高い。そうなると、やたらめったらその内容を書きたくなってしまう。

最初はやる気を出して書評を書き始めるが、2章あたり、最悪の場合1章の途中で挫折する。ものすごく時間がかかってしまう一方で、終わりが見えないからだ。

この状況から脱却するには、「ひたすら書き続けて書くことに慣れる」か、「短時間で読書感想文や書評を書く方法」を身につけることだ。できるなら後者を選びたい。


アウトプット大全に書いていること

そんなわけで手に取ったのが、こちらの本「アウトプット大全」。ここに答えが載っていた。

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

 

本書では、まずアウトプットの重要性を語っている。この段階で「アウトプットする」モチベーションを高めてくれるので、それだけでも今の自分には価値があった。

それから順に、話す・書く・行動する、の三つの形での具体的なアウトプットのメリットや手順を紹介してくれている。「書く」ことが自分には参考になった。

最後の章では、アウトプットを実践するためのトレーニング方法もいくつか紹介してくれており、これが非常にありがたかった。

本記事ではここで紹介されていたトレーニング方法の中でも、非常に有効かつ簡単に実践できそうな「10分で読書感想を書く方法」を紹介する。


10分で読書感想を書く方法

結論から入ると、その方法は「ビフォー」+「気づき」+「To Do」を意識することである。順を追って説明する。

「ビフォー」:本を読む前に自分がどんな悩み、どんな問題や疑問を解決したいのかを明確にする。本を買ったのはなぜか?本を読んで自分をどんな状態になりたいのか?ということを自問すれば、それが自然と明確になる。

「気づき」:本を読んだ後の作業。「ビフォー」で明確にした悩みや問題・疑問の答えを書く。読んでいる間、常に答えは何か?と意識しておくと見つけるのは比較的楽にできる。副次的効果として読むスピードが圧倒的に速くなる。これは情報の取捨選択をしているから。

「To Do」:気づきで見つけた答えを実際の行動目標に落とし込む。具体的にすればするほど取り組みやすくなる。

 

本書で紹介しているテンプレートは以下である。

ビフォー:この本を読む前の私はOOでした。

気づき:この本を読んで私は、△△について気づきました。

To Do:今後、××を実行していこうと思います。

最初から長文を書くのは難しいので、まずは3行でまとめる。

ビフォー:読書感想文を書くのが億劫

気づき:読む目的、その答えを探す読書をすると意外と簡単に書ける。

To Do:「ビフォー」+「気づき」+「To Do」で10冊の読書感想文を書く

この3行構成からどんどん肉付けしていったものが、本記事となる。

 

本記事を書くのに費やした時間は20分。その後で推敲に60分費やして完成。実践して感じたのは、確かに圧倒的に速いスピードで執筆できたこと。加えて、内容が記憶にも定着している。試しに友人に口頭で説明してみたが、ここで書いた内容はつまらずに説明することができた。

情報収集目的でない読書の場合はこのテンプレートが当てはまらないかもしれない。けれども今回の私のように「本を購買する時点で、情報収集したい内容がある程度かたまっている場合」は、この方法が圧倒的に効果が出ると感じている。

ぜひこの方法を試して、読書で得た情報を己の血肉にしていただきたい。

命の危険がある暑さ - 日本の全小中学校にエアコンを

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「命の危険がある暑さ」

全国各地で記録的な猛暑が続き、7月23日午後の気象庁会見にて、「命の危険がある暑さ。ひとつの”災害”と認識している」ことが表明された。気象庁によると、7月中旬の平均気温は統計を開始した1961年以来、もっとも暑くなった。

しかし、この現象は日本列島だけでなく、地球規模に発生している。

7/28付けの英Economistでも世界各地で見舞われている異常な酷暑に題材に取り上げている。

www.economist.com

要約すると、

今夏、各地で観測されている高温現象は、滅多に起きない特別なイベントではなく今後も頻繁に起こる。これは地球温暖化が原因であるが、温暖化は産業革命以後の人間の営みがもたらした結果だ。

したがって、各国がこのことを自覚し、温暖化対策に真剣に取り組むべきである。さもなくば、地球温暖化が引き起こす刃は、野生の生態を破壊するのみならず、国の経済にも影響を与え、ゆくゆくは人命をも奪っていく。

 

世界で何が起こっている?

記事では日本の「災害宣言」にも触れているが、世界各地の状況も次のように紹介している。

フィンランド:例年より12度も気温が高い夏となる。1908年以来初めて。
アテネギリシャ):山火事で少なくとも80人が死亡
・シベリア(ロシア):80,000ヘクタールの森林が焼ける。東京ドーム約16,800個分
・ロサンゼルス:最低気温が26度を下回らない日を7/7に観測。平均最低気温17度
オマーン:1日の最低気温が42.6度という日を記録。平均最低気温31度
・地球:産業革命以後おおよそ1度気温が上昇

地球温暖化は人間の責任?

この温暖化現象は人間の責任なのだろうか?

上述した通り、フィンランドの1908年は酷暑であった。地球史上最も暑かったのも1913年にDeath Valley(アメリカ)で記録した56.7度だそうだ。どちらも100年前の極めて二酸化炭素の排出が少なかった時期の話だ。すると、二酸化炭素の上昇、つまり近代の産業化とこの異常気象は関連があるのか?という疑問が出てきくる。

そんなわけで、その科学的根拠を出すために、多くの研究者が知恵を絞ってこの謎の解明を行った。やがてあらゆる気象情報を集めてデータベース化し、そのデータを元にコンピュータがシミレーションする方法が使われるようになる。この計算で、人間有りバージョンの気象状態と人間無しバージョンの気象状態を比較することができる。

この計算は2004年に初めて行われた。その結論は、やはり人間の営みが異常気象に影響を及ぼしているということなった。

2003年に(ヨーロッパ限定ではあるが)144回観測された異常気象現象のうち、酷暑が記録されたのは48回。そのうちの41回に人間の関与がある、というデータがはじき出された。実に85%の確率である。ちなみに「Carbon Brife」というポータルサイトでこれらの詳しい情報は入手できる。

それ以降「World Weather Atrribution」など他にもさまざまな研究が行われて、今後の気象状態も人間の振る舞いによって大きく変化するという結論になっている。このような結論を元に、2015年にパリ協定の採択がなされた。

 

気温が上昇し続けるとどうなるのか?

このまま気温が上昇し続けると、特に湿度が高い環境下においては人体にかなりの悪影響を与えてしまう。たとえば、*湿球黒球温度が30度以上の場合、30代の健康体でも6時間以上その場に居続けると死んでしまうそうだ。日陰で扇風機に当たっている状態でもである。つまり室内でも命の危険となるのだ。

今日においてはこの湿球黒球温度が31度を上回ることは滅多にないが、このまま二酸化炭素が増え続ければ、2100年までに、まずペルシア湾の地域で31度以上の観測がされるようになる。それ以後、南アジアの一部地域から全体に広がっていく。

貧困削減に熱心に取り組む世界銀行も温暖化現象に警鐘を鳴らす。インドでは気温上昇やモンスーンの影響でGDPの2.8%の損失が起こり、およそ6億人が暮らす地域が酷暑地として分類されると予測している。世界に目を向けると約10兆ドルの損失被害を被るという試算がされている。

 

結論 

過去の過ちから学び、各国が地球温暖化を食い止める努力をするべきだ。というのが本記事の括り。

パリ協定に参加した国々に対して、削減目標の達成を促すとともに、今回の記事ではなかったが、「離脱」を宣言した米国に向けた発言であることも容易に想像がつく。

この酷暑を切り抜けるサバイバル術として、経済成長を遂げたインドが、各地にエアコンをつけることを勧めている。しかし自分としては、経済的には余裕のある(インドよりは)日本に、速やかにすべての小学校と中学校にエアコンをつけて欲しいなと切に願う。

 

*湿球黒球温度:酷暑環境下での行動に伴うリスクの度合いを判断するために用いられる指標である。熱中症のリスクを事前に判断するためにアメリカで開発された。日本の環境省では、暑さ指数(WBGT)と称している。湿度、熱放射、気温の3要素から計算される。 

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