シマウマ de 考察

ニューヨークで見たもの、感じたこと、考えたこと

スポーツってやっぱええなって話

The Economist 5月26日号で、エジプト出身のフットボーラー(サッカーのこと)、サラー選手が母国を元気づけているっていう記事を読んで、スポーツってやっぱええな、と思った。

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サラー選手は、サッカーで世界最高峰といわれるイングランドプレミアリーグに加盟する、リバプールFC所属のフォワード。1年前にイタリアリーグ・セリエAASローマから移籍してきた。他リーグから移籍した場合は適用が特に難しいと言われるプレミアリーグで、移籍1年目から得点王を獲得するほどの活躍をし、世界のフットボールファンに驚きを与えた。

彼の活躍に一番心揺さぶられてるのはもちろんエジプトの人々。サラー選手の顔写真がTシャツ、車のバンパーのステッカーやビルの壁画など至る所にあるという。普段は渋滞が酷いカイロの街中も、リバプールの試合が中継されている時間帯だけは空いているという。

アラブの春」が失敗に終わり、今まで以上に自由を奪われたエジプトの人々は、言論の自由を奪われた今、天気の話でさえできないという。サラー選手のイングランドでの活躍は、そんな彼らの唯一と言っていいほどの楽しみとなっているのだ。

 

一流選手と観客の関係

スポーツをする選手の目的は、もちろん試合に勝つことだ。選手はそのために練習するし、そのために真剣に試合に取り組む。もちろん試合中は観客をエンターテインすることなんて考えていない。それでも真剣なプレーは観ている人を魅了する、興奮させるし、心を強く揺さぶる。しかもその人数が圧倒的に多い。これはすごいことだ。人を喜ばせるためにやっているわけじゃないのに、結果として人を喜ばせてるって、考えてできるものではない。

そしてもっと良いなって思うのは、第一線で活躍している選手は、自分たちのプレーが観客に勇気を与えることを理解していることだ。そしてそれが自分たちの果たすべき役割だと認識している。つまり彼らがプレーするのは勝つためでもあるし、それと同時に人に勇気を与えるためでもあるのだ。だから今まで以上に真剣に練習に取り組めるし、試合にも今まで以上に臨むことができるのだ。そしてその姿を観て人はまた心を揺さぶられる。一線の選手はこのループに入るから一線にいるのだ。

5/26に欧州の世界一のフットボールクラブを決めるCL決勝がありサラー選手率いるリバプールFCはスペインのレアル・マドリードと対決する。そのあとはロシアW杯も控えておりエジプト代表も28年ぶりに出場する。サラー選手には今後ももっと活躍して世界中の人々に勇気を与えて欲しいし。

住宅産業のゆくえ

建築・設計情報をディープなところまで取り扱う10+1 web siteの特集で、吉村靖孝建築設計事務所の吉村靖孝氏と、株式会社スピーク共同代表「東京R不動産」ディレクターの林厚見氏が、今後の住宅産業あり方についての対談をしている様子が掲載されていた。

10plus1.jp

戦後から現在までの住宅産業の歴史に触れながら、今後の住宅産業がどのように変遷して行くのかをユーザー・顧客のニーズに触れながら話されており、興味深い内容だった。以下はその対談を簡単にまとめつつ、考察している。

 

住宅産業の変遷

これまではプレファブリケーションの時代だった。戦後から1970年代にかけては、国の政策、国民の状況、技術の進歩によって住宅産業が成長・拡大していく。1980年代になると、大手ハウスメーカーの量産型住宅の普及により住宅産業が成熟期に入る。それからも住宅メーカーは量産型物件を排出し続け、大手の「信頼」を頼りにユーザーもそういった物件を購入し続けた。

しかしながら、2000年に入るとこの流れが緩やかに変わっていく。取り巻く環境が変化に引っ張られるかたちで、ユーザーのニーズにも変化が見られるようになってきたからだ。その結果、従来の量産型住宅を扱う大手ハウスメーカーは苦戦するようになってきた。理由は以下に挙げる3つ。

1. 人口減少により住宅購入する総人口が減少した。むしろ、空いている物件がとくに地方で増えている。総務省によると、2013年時点で全国の住宅に占める空き家の割合は13.5%。この数字は今後上がり続けるという。

2. 景気悪化に伴い「価格が高い」量産型住宅を買える人数が減った。本来は量産効果で低価格化が見込めるはずであるが、大企業が供給するため経費が嵩み、さらに本来は工期も短縮できる構想であった工期の短縮も不発に終わったため、安くはない価格の提供せざるを得なくなっている。

3. 従来の量産型住宅に満足しなくなった人が増えた。ユニークな物件を紹介する「東京R不動産」では、サービス開始してから10年で6,000件以上のマッチングを行ってきた事実もある。

これらの要因が重なり、大手メーカーが提供する量産型物件の需要が落ち込んできたのである。そしてこれらの変化に対応できるひとつのソリューションがポストファブリケーションだと吉村氏は語る。

 

ポストファブリケーションとは?

ポストファブリケーションとは吉村氏の造語である。プレファブリケーションの対となる言葉で、プレファブリケーションがoff-site(敷地や現場でないところ)で物をつくるという考え、それに対して、ポストファブリケーションはon-site(敷地のなか、現場や現場の工程)で物をつくるという考え。

ポストファブリケーションで代表的なのはリノベーションやDIY。今の時代、物件のストックはあるし、もちろん物件を購入するよりもリノベーションは安く済む、さらに住み手のユーザーのニーズ沿ったデザインや間取りを変更できるので、結果としてユーザーが満足できるユニークな物件ができる。

また、ハウスシェアもこれに当てはまる。経済的なのはもちろん、もともと1世帯として使用する物件を多世帯で使用するように加工する住み方は、ポストファブリケーションのあり方のひとつなのだ。

 

今後の住宅産業で求められるもの

対談では、住宅産業の今後の展望にも触れている。大きく分けて方向性は2つ。究極のプレファブリケーション達成と多様なポストファブリケーションの提供である。

大手メーカーのプレファブリケーションが失敗に終わりつつあるのは、前述している通り、コストが高いから。逆に言うと、これを下げることができれば、1,000 - 2,000万円の格安モデルで提供できるようになれば、今後も需要はある。そのためには究極のプレファブリケーションが必要になる。それを実現するために、有効打になりえるのが在来工法とデジタルファブリケーションの2つ。特にデジタルファブリケーションは新しい技術であり、今後も発展して行く技術なので、これをいかに現行の生産工程に融合させるかが鍵となる。

先に述べた通り、リノベーションなどすでに一般化しつつありマーケットも広がっている。さらにそれを憧れる層などを加えるとそれ以上に潜在ニーズがあると言われている。その一方で、それを実現するためのソリューションがまだまだ限られているのが現状である。コストをかけずに内装を変えようと思ったときに、建築家やデザイナーに頼むのは敷居が高い、かといってDIYでつくるのは大変、と考え諦めてしまうユーザーはまだまだ多い。かといってユーザーとコミュニケーションがはかれて融通をきかせられる内装業者も少ないし、そもそもリノベーションを歓迎しない物件のオーナーも多い。つまり、小さくない潜在ニーズはあるものの、そのニーズを満たすソリューションはまだまだできていないのだ。ユーザー、建築家・デザイナー、オーナー。この三者間をつなげることがポストファブリケーション実現の肝になる。

それを実現している仕組みが林氏の提供するtoolboxというサービス。具体的なイメージを持ちにくいユーザー、コミュニケーション力や提案力のない職人や業者、商品数が過剰なメーカーやプロダクトをつなぐ仕組みである。また、AIを用いたWebサービスの登場や先にあげているデジタルファブリケーションの技術の発展により、より多くの情報やもものづくりの手段がユーザー側で手に入るようになっていくので、ますますポストファブリケーションの流れが増していくだろう。

 

皇室で進む少子高齢問題

アメリカ人の友人に日本の皇室のことで質問を受けた。しかし説明をしようにも、頭の中で漠然としか理解していないので、言葉が出てこない。正直に言うと、そのときは天皇陛下皇位を継承なさる正確な日さえ分からずにいた。そんな自分に少し恥ずかしくなってしまったため、皇室のことについてネットで調べてみた。今後外国人に皇室について説明する機会があるかもしれない人に向けて、調べたことを文章に残しておく。

2019年4月30日に現天皇陛下である明仁(Akihito)様が、現皇太子様である徳仁(Naruhito)様に皇位を継承される。それに伴い日本の元号も平成から新しい元号に変わる。元号とは特定の年代に付けられる称号のことで、明治元年以来一世一元、つまり天皇陛下ひとりにひとつの元号とすることに決められた。もちろん日本では元号とともに西暦も普段から使われている。

今回の皇位継承は、生前退位のかたちとなる。従来のルールであれば、天皇陛下がお亡くなりになられてから皇位継承が行われるのが普通であるが、今回は特例で生前退位が認められることとなった。齢84歳(2018年5月現在)であり、前立腺がんや心臓バイパス手術をご経験された陛下の健康状態を鑑みて、今後も引き続き公務を行うのが難しいと判断されたからである。

明仁様は公務に熱心に取り組んでこられたことで有名。年間約1,000件の書類に目を通して署名・捺印するだけでなく、宮中内外の各種行事におよそ200回以上出席され、20件近くの祭儀を精力的に執り行ってこられたという。このように国民のために真摯に公務に取り組んでこられた陛下の「おことば」を聞いてしまうと、内閣府も国民も認めざるを得なかったのだろう。このようなわけで、2019年5月1日に皇位継承順位第一位である徳仁様(57歳)が皇位を継がれることに決まったのである。

この様子は海外のニュースにも取り上げられた。英The Economistでは、さらに今後の君主制度存続の危機にも触れている。

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現行の皇室典範では、皇族資格、皇位継承資格が嫡出子(正室の子)の男系に限定されており、現在皇位継承の資格があるものは徳仁様を除けば3人のみになる - 現天皇陛下の弟君にあたる正仁様(82歳)、 徳仁様の弟君にあたる秋篠宮文仁様(52歳)、そして秋篠宮文仁様の第一男子である悠仁様(11歳)。ご年齢を考えると、事実上徳仁様の跡を継げるのは悠仁様に限定される。悠仁様に皇族の運命が委ねられていると言っても過言ではないのだ。皇位継承資格者の不足という問題を解決するために、史上前例のない女系天皇を容認すべきか否か、皇位継承について定める「皇室典範」を改正すべきか否か、皇位継承順位をどのように定めるべきかということに関心が置かれている。というのが記事の内容。

徳仁様は今回の即位で126代目の天皇陛下になられる。BC 660から2600年以上続いた世界最古の皇族の血が、今後どのようになっていくのかに世界中から注目が寄せられている。

皇室典範日本国憲法第2条および第5条に基づき、皇位継承および摂政に関する事項を中心に規律した皇室に関する法律

科学的な外国語学習方法

英語ができるようになりたい!でもどんな勉強をしたらいいのか分からない。

ネットや書店で効果的な勉強方法を探してはみるものの、おススメされている学習方法が多すぎて、どれがいいか迷う。加えて、書かれている本や記事って、体験の紹介が多くて、自分に向いているのかどうかが不安。そんな人におすすめなのが、こちらの本。

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

 

第二言語習得とは、学習者が母語の次に言語を学ぶ過程を科学的に解明する学問で、心理学、言語学、教育学などの学際領域。そんな第二言語習得のエキスパートに書かれた本には、第二言語を学ぶプロセスや、なぜ日本人が英語が苦手なのかなど、興味のあるトピックが取り上げられており、新書にも関わらず非常に読みごたえがあった。実際、引用文献も数多く使われており、引用文献の紹介ページが全体の3分の1を占めていたほどだ。

そんな読み応えのある本から今回は「どういった勉強方法が効果的なの?」という疑問に答えられるように、以下にポイントをまとめてみた。

国語学習に必要な勉強・作業は大きく分けると以下の3つである。
・言語間の距離を埋める勉強
・インプットでデータベースを構築する
・アウトプットを繰り返し行う

具体的にみていこう。


言語間の距離を埋める勉強
第二言語母語には距離が存在する。距離とは、ひとつは言語間のルールの違いである。文法はもちろん、発音の種類、リズムなどである。

加えて、文化的な違いもこの距離に当てはまる。コミュニケーションの仕方や、その状況で相応しい語句を選んでいるかなど、社会的・文化的背景から言語に影響するものである。

これらの距離が大きければ大きいほど習得が難しい。たとえば日本語と英語は距離が大きい言語である一方、スペインと英語には距離が少ないと言われている。したがって多くの日本人は学校で学んだにも関わらず、英語を話せないが、多くのスペイン人は学校で学んだだけで、ある程度英語が話せるのである。

言語間の距離が大きいほど習得が難しくなるのは、外国語は母語を基礎に学ぶという特性があるからだ。したがって、言語間の違いがあることを知ることがまず重要で、その違いを強制的に正す必要があるのだ。
でなければ、いつまでたっても習得できない。たとえば日本に長く住んでいる外国人タレントンの日本語が上達しないのは、この点を理解せずに放置しているからだ。


インプットでデータベースを構築する
言語間の距離の違いを認識できたら、次にやることはインプットである。ここで大事なのは、インプットしたものを理解しようとすること。理解したインプットでないと脳内のデータベースに蓄積されないからだ。脳内に第二言語のデータベースが構築されていけば、理解できることが増える。たとえば同じことをインプットした場合は、もちろんすぐに意味が理解できるし、知らない言葉に関しても、意味を推測することが可能になる。逆に言うと、集中せずにインプット、つまり聞き流しなどはあまり意味がない。データベースが構築されないので、文字通り右から左に聞き流れていくだけなのである。
このプロセスは、幼児の言語習得プロセスと重なる。幼児は生まれた直後から大量のインプットをしているため、彼らの脳内にデータベースが構築されていき、最終的に母語を扱えるようになるのだ。


アウトプットを繰り返し行う
もうひとつは、アウトプットを繰り返し行うことである。脳内データベースが構築されたとしても、それだけではアウトプットできない。データベースからアウトプットに変換するプロセスは別にあるからだ。理論だけでスポーツができないように、脳内データベースだけで英語は使えないのである。それを使いこなすための処理に慣れる必要がある。そのためには、実際に数多くのアウトプットをしなければならない。

アウトプットを繰り返す利点はもう一つある。インプットの質が高くなる点だ。正確には、アウトプットの準備をすることで、インプットしたものの理解度が深まるのが利点。アウトプットするためにはインプットしたものの情報を整理する必要があり、それが理解度を飛躍的に向上させる。

 

科学的根拠の利点

以上が外国語学習に必要な勉強・作業を紹介した。最後にもう一点だけこの本を読んで良かったことを説明する。タイトルにもある通りこの本は、科学的な根拠を基に効果的な勉強方法が書かれているので、体験談が書かれている本よりも信憑性が増す。外国語学習には信憑性が大事で、なぜならば外国語学習は、上達がなかなか感じられないから。上達がなかなか感じられないので、自分のやっていることに疑心暗鬼になり、続けるのが億劫になる。だから、このように信頼に置けるデータに基づいた勉強方法の紹介は非常にはありがたい。まだまだ解明できてない点も多いという第二言語習得の分野。今後の展開にも注目していきたい。

1分で話すことに慣れれば自然とロジカルになる

英語で自分の意見を主張できるようになる。そのために必要な能力は2つある。ひとつは英語で文章を構築する力、もうひとつは文章を論理的に構築する力。たまには後者も意識的に伸ばさないとな、ということでこの本を手にとった。

「伝える力を世界で一番簡単に習得できることを目指している」と冒頭で筆者が伝えているように、本当にシンプルで分かりやすく「伝える技術」をどう習得するのかが書かれている。習得とあるように、具体的な方法も書かれているのも特徴。ただ、文章が分かりやすすぎるため、スラスラ読めてしまい、結果として記憶の定着にならない恐れがあるので、この本を読んだ方は、ぜひともノートにまとめて実践に活かしてほしい。以下にポイントとなる部分を簡単に説明しておく。


・人はあなたの話の80%は聞いていない
・聞き手をイメージせよ
・結論+根拠+たとえばで考える癖をつけよ

 

人はあなたの話の80%は聞いていない
人は他人の話の80%は聞いていないと筆者は言う。序章にあるこの部分が、かなりインパクトがあった。実際にそうだと思う。人の話はほとんど聞いていない、聞いていたとしても覚えてない。たとえば、小学校の朝礼の話なんて全く聞いてなかったし、対面している相手の話さえ聞いていない時がある。だからこそ、簡潔に分かりやすく伝える必要があるというのが筆者の見解。そこからくるのが「1分で話せ」ということだ。常にこの意識(人は話を聞いてないから、できるだけ短く1分くらいで話せ)を持っておけば、提案するときや、人に何かを説明する際に、劇的に分かりやすい話ができるようになるだろう。

 

聞き手をイメージすること
伝えるためには、相手をイメージすることが大切である。”イメージ”という言葉がポイント。単にステータスをなぞるのだけでなく、その人になりきってみて、どんなことを聞きたいのかということを具体的に想像するくらいまで熱心にやると効果が高くなる。具体的こんなことから考えていくとい想像しやすい。
・どういう立場にいるのか
・どんなことに興味があるのか
・どんなことをこのプレゼンに求めているのか
・専門的な要素にどのくらい理解できるか
聞き手になりきるぐらいまでイメージすることで、伝えるポイントが明確になる。それは結果として伝え手の作業効率も上がるので、このプロセスを省く理由がないのである。

 

結論+根拠+たとえば
この3点セットを考えておくと、伝わりやすい話し方ができる。コツはピラミッドで考えを整理すること。ピラミッドの頂点が結論(主張)。結論の根拠がピラミッドを支える下部にくる。そしてその根拠をそれぞれ補足するように具体例を加えていけば、結論+根拠+たとえばの3点セットが完成。このとき主張はもちろん、根拠も短くシンプルなほうがよい。ここで長くなってしまうと、聞き手が話についてこれなくなってしまう。詳しく説明する、相手にわかってもらう瞬間は、具体例の説明を出すとき、くらいのスタンスがベター。


以上の3つを意識して凝縮すると「1分で話せ」ということになるのだ。このコアとなる1分をしっかり詰めることに全力を注げ。このコアとなる1分を補強するために残りの時間は使え。というのが本書の強いメッセージ。常に心がけておきたい。

大量の文章を書いて考えを整理する

英語で意見がスラスラ言えない

アメリカに住んでもーすぐ3年が経つ。しかしながら英語のレベルが渡米前に想定していたレベルに達していない。3年も生活していれば相手の話していることはほぼ聞き取れるし、自分の言いたいことも淀みなく言えるようになる。そんな淡い期待を持っていたのだが、現実はそんなに甘くはなかった。

特にスピーキングにまだまだ感が強い。なぜ話せないのか。ということを改めて考えてみる「自分の考えが整理できてないから」話せないのではないかという結論に至った。

すごく当たり前のように聞こえるが、この考えは、自分の中では納得感がものすごくあった。もちろん英語のセンテンスを即座に作る能力だとかっていう純粋な英語力も必要になるが、それと同時に、「自分の頭で考え、意見を構築し、言葉としてアウトプットする力」が圧倒的に足りていない。だから、英語で意見をスラスラ言えないのだ。つまりは、問題は英語力だけでなく、主張力が乏しいからなのである。

ではその主張力を鍛えるにはどうするのがいいか。その解はシンプル。主張するというアウトプットの量を増やすことだ。そしてアウトプットしたものにフィードバックをかけて次に活かす。これを繰り返し行えば、アウトプットの質が高まり、主張力が身につく。その結果、英語での意見がはっきり言えるようになるのである。

アウトプットの方法は2つある。話すことと、書くこと。しかし考えてみてほしい。話すことと書くことでは圧倒的に書くことの方が簡単な作業なのだ。なぜなら、書く作業では、時間に余裕があるからだ。話す場合は、瞬間瞬間で文章を構築しなければならないが、書く場合は文章構築に好きなだけ時間を使える。書いたものを振り返ることができるというメリットもある。

How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing (LifeTools: Books for the General Public)

How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing (LifeTools: Books for the General Public)

 

そんなわけで書くアウトプットをどんどん増やそうと思った今日この頃であるが、そんな自分に最適な本を見つけた。心理学の研究者Paul J. Silvia, PhD著の「How to Write a Lot」という本で、書くことに困っている研究者向けに書かれている。実際、研究者向けに書かれているChapterも存在するが、大事なエッセンスは一般人にも当てはまるので、書くというアウトプットを増やしたい人にはオススメである。

筆者の言いたいことはとてもシンプル。書く量を増やすには、書く行為を1日のスケジュール割り当てることである、と著者は言う。ここで重要なのは「書く時間を見つける」のではなく「書く時間を割り当てる」ということだ。著者曰く、時間を探したっていつになっても見つからない。だから事前にスケジュールに組み込んでしまうことが求められる。筆者がオススメしているのは朝の30分、書く時間を割り当てることだ。

これを達成するためのコツもいくつか教えてくれているのがこの本の素晴らしいところ。ひとつは、明確なゴールを持つこと。なぜ書く量を増やしたいのか?何について書きたいのか?を明確にし、その明確にしたゴールを活字にして表すこと。そうすることで毎日書くことへのモチベーションが保てるのだ。もう一つは、フィードバックの仕組みを作ること。自分がどれだけ書いたのか、ということを具体的な数値で振り返ることができると、モチベーションにつながるのだ。他にも、スモールゴールの設定や、実際に筆者が導入しているモニタリングの方法の説明など、かなり実践的な方法を教えてくれているので、すぐに行動に移しやすい。それが筆者の目的なんだろうけど。

よくある「どうやって分かりやすく論理的に書くか」の内容ではなくタイトル通り「どうやって大量に書くか」に重きをおいている点が他の本と差別化されていてな面白い。特に筆者が、「書くことはハードな作業であり、たとえ大量に書けるようになったとしてもそのハードさが消えることはない」と言っていたのが印象的。つまりは、書く作業はハードな作業として工夫して取り組まないといけないのだ。これは最近読んだ「How to Read a Book」で言っている「本を読むことは、複雑な知的作業である」と少し似ている。要するに、日常生活で自然に身につけた行為、つまり書くことや読むこと、もっと言うと歩くこと、走ることや呼吸もそうであるが、そういった行為はできてるようで、実は上手にはできてない。だからそういった行為に対して、簡単ではないと言う認識を持ち、基本から学んでいくことが必要なのである。

この本で好きなフレーズは、「Clear writing requires clear thinking」。直訳すると、「明瞭な文を書くには、明瞭な思考を必要とする」となる。自分が文章を書きたいと思った理由が、思考を整理したかったから、ということなので、その考えに一致することが書かれているこの本を手にとって良かったと思う。多くのものを書きたい人、考えを整理したい人、自分の意見を言いたい人にオススメの本であるが、残念ながら洋書しかない。ただ、ページ数も150ページほどだし、平易な単語で分かりやすく書かれているので、英語の勉強も兼ねると思って、ぜひとも手にとって読んでもらいたい。

Homo Deusが面白い

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20万年前から地球に登場したホモ・サピエンスが3つの革命を経て地球を支配するようになった。今に至るまでの大きなテーマであった飢饉、疫病、戦争も科学進化や資本主義などの新たなエコシステムを生み出すことで乗り越えようとしている。ではこれからは先の未来において、ホモ・サピエンスという種族はどのように進化していくのだろうか?というのがこの本の大きなテーマ。

イスラエル出身の歴史学者であるハラリ氏であるが、歴史・考古学の分野以外にもコンピュータ・サイエンスや生物学、脳科学、遺伝、経済学などさまざまな分野に幅広く触れながら彼なりの洞察を説明している本。前作のサピエンスも含めて、今の世界の成り立ちを歴史の事実よりも広い視点で述べられているのがとても面白いし刺激的である。

特に興味深かったのは、宗教の話である。日本人が宗教と聞くと、少し後ずさりをしてしまうが、世界のマジョリティは今でも根強く宗教を信仰している。その宗教についての彼の観点がものすごく惹かれた。これを読んだ後に、再度歴史の勉強をすると、かなり違った視点で歴史的に起こった事実を鑑みることができるのではないだろうか。

ホモ・デウスの副題はA Brief Histry of Tomorrowであるが、何も未来のことだけでなく、今現在において世界で何が起こっているのか、それがなぜ起こっているのかを理解できる。ここで得た知識を自分の中に落とし込んで、今後の生きる糧としたい。

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