シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

スポーツってやっぱええなって話

The Economist 5月26日号で、エジプト出身のフットボーラー(サッカーのこと)、サラー選手が母国を元気づけているっていう記事を読んで、スポーツってやっぱええな、と思った。

www.economist.com

サラー選手は、サッカーで世界最高峰といわれるイングランドプレミアリーグに加盟する、リバプールFC所属のフォワード。1年前にイタリアリーグ・セリエAASローマから移籍してきた。他リーグから移籍した場合は適用が特に難しいと言われるプレミアリーグで、移籍1年目から得点王を獲得するほどの活躍をし、世界のフットボールファンに驚きを与えた。

彼の活躍に一番心揺さぶられてるのはもちろんエジプトの人々。サラー選手の顔写真がTシャツ、車のバンパーのステッカーやビルの壁画など至る所にあるという。普段は渋滞が酷いカイロの街中も、リバプールの試合が中継されている時間帯だけは空いているという。

アラブの春」が失敗に終わり、今まで以上に自由を奪われたエジプトの人々は、言論の自由を奪われた今、天気の話でさえできないという。サラー選手のイングランドでの活躍は、そんな彼らの唯一と言っていいほどの楽しみとなっているのだ。

 

一流選手と観客の関係

スポーツをする選手の目的は、もちろん試合に勝つことだ。選手はそのために練習するし、そのために真剣に試合に取り組む。もちろん試合中は観客をエンターテインすることなんて考えていない。それでも真剣なプレーは観ている人を魅了する、興奮させるし、心を強く揺さぶる。しかもその人数が圧倒的に多い。これはすごいことだ。人を喜ばせるためにやっているわけじゃないのに、結果として人を喜ばせてるって、考えてできるものではない。

そしてもっと良いなって思うのは、第一線で活躍している選手は、自分たちのプレーが観客に勇気を与えることを理解していることだ。そしてそれが自分たちの果たすべき役割だと認識している。つまり彼らがプレーするのは勝つためでもあるし、それと同時に人に勇気を与えるためでもあるのだ。だから今まで以上に真剣に練習に取り組めるし、試合にも今まで以上に臨むことができるのだ。そしてその姿を観て人はまた心を揺さぶられる。一線の選手はこのループに入るから一線にいるのだ。

5/26に欧州の世界一のフットボールクラブを決めるCL決勝がありサラー選手率いるリバプールFCはスペインのレアル・マドリードと対決する。そのあとはロシアW杯も控えておりエジプト代表も28年ぶりに出場する。サラー選手には今後ももっと活躍して世界中の人々に勇気を与えて欲しいし。