シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

片づけ=リソースの最大化 DaiGo流 片づけの心理法則

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メンタリストDaiGo氏による片づけ術の本がこちら。片づけの本というよりは、集中力向上の本という位置付けに近い内容だった。本の分量が多くないわりに、DaiGo氏の片づけに対する考え方や取り組み方が具体的に書かれているので、読んでいる側にとってはありがたい本だった。

私も実際に休日の1日を使い、本書を読み進めながら片づけを行った。そのおかげで今ではものすごく快適な生活を過ごすことができている。

人生を思い通りに操る 片づけの心理法則

人生を思い通りに操る 片づけの心理法則

 

片づけ=リソースを集中できる環境をつくる

この本が他の片づけ本と違う点は、片づけの位置付けである。DaiGo氏は冒頭で片づけの目的をこのように語っている。

片づけとは、

自分のリソースを目標に向かって集中できる環境をつくること。片づけをすることによって、自分の時間や集中力や注意力を最大化できる。言い換えると、自分の人生を思い通りに操れるということになる。

時間は有限である。有限である時間をたとえば探し物に費やしてしまうと、その分、取り組みたいことへつぎ込む時間が減る。ある研究によると、サラリーマンは年間で150時間を探し物に費やしているという。

さらには勉強などといった、少し気合いを入れないと取り組めない作業をする場合には、その作業をする環境を準備する時間がハードルとなることもある。そのハードルのために、取り組むことさえできなくなってしまうことも多い。学生の頃、勉強をする前に無駄に部屋の掃除を行い、その最中で漫画を発見し、結果的に一日中漫画を読んでしまうなんてこともよくあった。

片づけをすることによってこういった障害も避けることができる。だから片づけをマスターすれば目標も達成できるよ、というのが本書の主題だ。

本書は、片づけの目的と基本の3原則をまず紹介し、その後で具体的な片づけの取り組み方やエリア別の片づけ方法を教えてくれている。

片づけの基本3原則

繰り返しになるが、片づけの目的は、自由な時間を増やし、人生を最大化するためである。そのためには、以下に述べる3つの原則に従えばいいという。

原則1 「3択」の原則

選択肢を3つに絞る。人間の認知能力には限界があり、きちんと比較できる選択肢は3つが限度。これを超えてしまうと迷ってしまい即決ができなくなる。なので、この原則にしたがい、あらゆる行動の選択肢を3択まで絞っておくことを心がけるとよい。

たとえば買い込んでしまった英語の教材。どの教材も最後まで終わらせてない人は多いのではないだろうか。そんなときはまず残しておきたい教材を3つだけ選び、あとは処分してしまおう。こうすることで、残った教材に集中して取り組めるはずだ。

片づけの天敵である「モノが捨てられない」感情の正体は「現状維持」にある。これを避けるために、人が正しく判断できる選択肢は3つまでということを覚えておこう。

原則2 「初速最大化」の原則

行動にとりかかるまでの時間を最短にする、そのために片づけをしよう。ある研究で立証されているのは、行動にとりかかるための手順を減らすと、その行動から生まれるアウトプットが向上するという。また「20秒ルール」と言って、たった20秒時間を短縮するだけで、習慣化できるという研究結果もある。つまり、習慣をやめたい場合は、20秒余計にかかるように設計してやればいいというわけだ。

この原則を常に意識し、片づけができていれば、いざ勉強するぞ、と思ったときに、他の誘惑に目もくれずに取り組むことができるのだ。

原則3 「ローコスト管理」の原則

管理コストの高いものを減らそう。整理に手間がかかったり、メンテナンスが面倒だったりするモノを減らすだけで大きな時間が生まれるからだ。片づけができたとしても、そのメンテナンスに多大な時間を費やさなければならないとなると、片づけの目的である「リソースの最大化」に矛盾する。

これを達成するためには、モノを減らすのはもちろん、必要なモノであっても極力管理する手間がかからないモノを選ぶことが求められる

片づけから得られる莫大なメリット

これらを実践することによって得られるメリットは何か。まず常に自分の人生の目的に向き合える。何に自分のリソースをつぎ込みたいのかがわからないと片づけができないからだ。そしてその目的達成に向けて、「何が大切で、何が大切でないか」の判断を常に行うことになるので意思決定力も磨かれる。これを繰り返し行なっていると自然と有意義な時間を使うことになるので、自然とハッピーにもなれるというわけだ。


モノが勝手に減っていく7つの質問

この片づけへの取り組みを続けるとで何が自分にとって何が大切で、何が大切ではないかが明確になる。これがハッキリすると、捨てるべきものが判断できるので結果としてモノが減る。モノが減ると集中を阻害するものが減ることになるので、結果として大切なモノやフォーカスしたいコトに集中して取り組めるようになり、目標が達成しやすくなる。

しかしながら、この思考に慣れてない人は、そんな簡単に判断してモノを捨てられない。そんな人たちのために、DaiGo氏は7つの質問を用意してくれている。これに答えていけば、自然と「何が大切か」がわかる仕組みだ。いちいち全部の質問に答える必要はなく、自分に合うものを3つくらいチョイスし、迷った時に行うとよい。個人的には買い直し思考、ネットオークション思考とタイムトラベル思考が自分に合っていた。

質問1:「いったん捨てたとして、これを買い直すか?」(買い直し思考)
質問2:「長期旅行に持っていきたいモノか?」(トラベラー思考)
質問3:「誰かが買ってくれるとしたら、売るか?」(ネットオークション思考)
質問4:「あの日に戻れたとしたら、やはり買うか?」(タイムトラベル思考)
質問5:「お金が無限にあったら、本当にこれを買うか?」(大富豪思考)
質問6:「これを何回我慢すれば、ほしいモノが買えるか?」(ほしいモノ変換思考)
質問7:「3年、5年、10年経っても必要か?」(ロングスパン思考)

私の場合は、質問1をもっとハードにして「一旦捨てちゃえばいい思考」を試してみた。片づけを始めると「安価だけど持っていたら便利かもしれないモノ」が多くあったので、思い切ってそれらを捨ててみた。今では何を捨てたかも覚えていない。こんな感じで自分の所有物に合わせてアレンジしていくと、より効果が出やすいのではないだろうか。

本書では他にも、エリア別に片づける方法も紹介してくれている。デスクまわりでの「アフォーダンスの最適化」はものすごく簡単なわりにものすごく効果が出る方法だ。ビジュアルの力ってものすごいんだなと改めて納得。その他、片づけ以外にも時間管理術にまで触れており、最後まで読み応えのある本だった。

冒頭にも触れているが、この本は片づけのノウハウが分かるというよりも、自分の本当にやりたいことは何なのか、どんな生活をするとハッピーになれるのかなど、自分と見つめ直す時間を提供してくれている本だったと今が感じている。折をみて(部屋が散らかったら)読み直しては、自分を見つめ直したい。