シマウマ de 考察

NY駐在4年目サラリーマンが洋書のレビューを中心に書いていきます。最近は生産性を高めることにもハマっていて、脳の働きや睡眠についても研究中。他にもニューヨークで感じたことなどもたまに書いてます。

命の危険がある暑さ - 日本の全小中学校にエアコンを

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「命の危険がある暑さ」

全国各地で記録的な猛暑が続き、7月23日午後の気象庁会見にて、「命の危険がある暑さ。ひとつの”災害”と認識している」ことが表明された。気象庁によると、7月中旬の平均気温は統計を開始した1961年以来、もっとも暑くなった。

しかし、この現象は日本列島だけでなく、地球規模に発生している。

7/28付けの英Economistでも世界各地で見舞われている異常な酷暑に題材に取り上げている。

www.economist.com

要約すると、

今夏、各地で観測されている高温現象は、滅多に起きない特別なイベントではなく今後も頻繁に起こる。これは地球温暖化が原因であるが、温暖化は産業革命以後の人間の営みがもたらした結果だ。

したがって、各国がこのことを自覚し、温暖化対策に真剣に取り組むべきである。さもなくば、地球温暖化が引き起こす刃は、野生の生態を破壊するのみならず、国の経済にも影響を与え、ゆくゆくは人命をも奪っていく。

 

世界で何が起こっている?

記事では日本の「災害宣言」にも触れているが、世界各地の状況も次のように紹介している。

フィンランド:例年より12度も気温が高い夏となる。1908年以来初めて。
アテネギリシャ):山火事で少なくとも80人が死亡
・シベリア(ロシア):80,000ヘクタールの森林が焼ける。東京ドーム約16,800個分
・ロサンゼルス:最低気温が26度を下回らない日を7/7に観測。平均最低気温17度
オマーン:1日の最低気温が42.6度という日を記録。平均最低気温31度
・地球:産業革命以後おおよそ1度気温が上昇

地球温暖化は人間の責任?

この温暖化現象は人間の責任なのだろうか?

上述した通り、フィンランドの1908年は酷暑であった。地球史上最も暑かったのも1913年にDeath Valley(アメリカ)で記録した56.7度だそうだ。どちらも100年前の極めて二酸化炭素の排出が少なかった時期の話だ。すると、二酸化炭素の上昇、つまり近代の産業化とこの異常気象は関連があるのか?という疑問が出てきくる。

そんなわけで、その科学的根拠を出すために、多くの研究者が知恵を絞ってこの謎の解明を行った。やがてあらゆる気象情報を集めてデータベース化し、そのデータを元にコンピュータがシミレーションする方法が使われるようになる。この計算で、人間有りバージョンの気象状態と人間無しバージョンの気象状態を比較することができる。

この計算は2004年に初めて行われた。その結論は、やはり人間の営みが異常気象に影響を及ぼしているということなった。

2003年に(ヨーロッパ限定ではあるが)144回観測された異常気象現象のうち、酷暑が記録されたのは48回。そのうちの41回に人間の関与がある、というデータがはじき出された。実に85%の確率である。ちなみに「Carbon Brife」というポータルサイトでこれらの詳しい情報は入手できる。

それ以降「World Weather Atrribution」など他にもさまざまな研究が行われて、今後の気象状態も人間の振る舞いによって大きく変化するという結論になっている。このような結論を元に、2015年にパリ協定の採択がなされた。

 

気温が上昇し続けるとどうなるのか?

このまま気温が上昇し続けると、特に湿度が高い環境下においては人体にかなりの悪影響を与えてしまう。たとえば、*湿球黒球温度が30度以上の場合、30代の健康体でも6時間以上その場に居続けると死んでしまうそうだ。日陰で扇風機に当たっている状態でもである。つまり室内でも命の危険となるのだ。

今日においてはこの湿球黒球温度が31度を上回ることは滅多にないが、このまま二酸化炭素が増え続ければ、2100年までに、まずペルシア湾の地域で31度以上の観測がされるようになる。それ以後、南アジアの一部地域から全体に広がっていく。

貧困削減に熱心に取り組む世界銀行も温暖化現象に警鐘を鳴らす。インドでは気温上昇やモンスーンの影響でGDPの2.8%の損失が起こり、およそ6億人が暮らす地域が酷暑地として分類されると予測している。世界に目を向けると約10兆ドルの損失被害を被るという試算がされている。

 

結論 

過去の過ちから学び、各国が地球温暖化を食い止める努力をするべきだ。というのが本記事の括り。

パリ協定に参加した国々に対して、削減目標の達成を促すとともに、今回の記事ではなかったが、「離脱」を宣言した米国に向けた発言であることも容易に想像がつく。

この酷暑を切り抜けるサバイバル術として、経済成長を遂げたインドが、各地にエアコンをつけることを勧めている。しかし自分としては、経済的には余裕のある(インドよりは)日本に、速やかにすべての小学校と中学校にエアコンをつけて欲しいなと切に願う。

 

*湿球黒球温度:酷暑環境下での行動に伴うリスクの度合いを判断するために用いられる指標である。熱中症のリスクを事前に判断するためにアメリカで開発された。日本の環境省では、暑さ指数(WBGT)と称している。湿度、熱放射、気温の3要素から計算される。 

Carbon Brifeのサイト

www.carbonbrief.org