シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

「問題解決型ミッション」と「新価値提案型ミッション」 その2

新価値提案型ミッションとは何なのか?


イメージとしては、
「決して現状に不満があるわけではないが、この考え方、価値観を持つようになれば、今より満足度が上がるはずだ」。

要するに新しい価値観を提案して世の中をよりよくしたいというのが起点となっているということ。

具体的な例をあげて、実際にミッションをつくってみる。

 

地方育ちのナタリーさんの場合

生まれも育ちも地方であるナタリーさん。就職してからは東京勤務となり、社会の荒波にもまれていた。
しかしながら、ひとり暮らしをしてちょうど2年くらいたった頃に転機が訪れる。友達と4人でシェアハウスに住むようになったのである。

綺麗に整備されたシェアハウス物件ではなく、ファミリー向けの木造建築。

多少の不便も感じるが、家賃や生活費が安く済むのはもちろん、家族ではない友達と共同生活を営むという経験にとても価値を見出すこととなった。
そうして彼女はこのような考えを持つようになる。

共同生活ってとても楽しい。トラブルが起きないわけではないけど、家賃を下げられるし、光熱費も抑えられる。部屋も広く使えるし、リビングもある。そして何より、違う人と生活を共有することで、いろんな考え方が入ってくる。今までなら拒絶していた考えに対しても、受け入れることができるようになったのは、ここに住み始めてからだろう。人間的に大きくなれるいい機会。もっと多くの人が他人と共同生活する体験をすればいいのになって本気で思う。

ナタリーさんにはこのような強い想いが芽生えてきた。

“もっと共同生活する人が増えればいいのに”っていうのがナタリーさんのミッションとなる。

そして、ナタリーさんは考える。

もっとシェアする環境を整えればいいんだ。私がシェアハウスの体験を広める伝道師となって、この生活スタイルをどんどん増やしてやろう。

彼女のミッションを達成するためにあるべき姿 (To Be)

“共同生活の体験をさせる伝道師になる”

これが彼女にとってのビジョンとなる。

さらに、ナタリーさんは早速行動に出る。

どうやって体験を増やせばいいのやら。とりあえずシェアできる物件を増やしてみようかな。今現在共同生活をしている人たちの声を届けて、シェアする良さを波及させることも大事かも。人間的に大きくなるっていう観点からいくと、学校や会社に対しても、「寮ではなく、成長を望むのならシェアハウス」みたいに進めるのもいいかも。

とういことで、彼女は早速、シェアハウスとして使えそうな物件を探してみたり、シェアハウスの生活実態を紹介するフリーペーパーを作ったり、さらには、教育事業に参入して共同生活の良さを伝播させるようなことをしてみせた。

 

ミッションの作り方

さて、新価値提案型ミッションの作り方の整理をしてみる。

Step 1. 自分がものすごくいいと思っていることを明確にする。
Step 2. その良さを、うまいこと伝えるためにあるべき姿を考える。
Step 3. Step 2の姿を達成できるような事業、サービスをとりあえず考えてみる。
Step 4. とりあえずやってみる。

 

特に世の中が困っているわけではないけれど、「こんなんあればいいのに?」とか「これはめっちゃいいから皆に知ってほしい」という気持ちがあれば、はじめの原動力となるミッションを作り上げるのはたやすい。

ただ難しいのはどうやって人に伝えるか。ということになる。

 

これがうまいこと成功した例といえば、Airbnbである。

彼らは、体験させる垣根を極限まで下げるサービスを生み出した。実際の多くの人がそのサービスを利用するようになった。その結果、彼らの推し進めたい“暮らすように旅するのが最高やで”という価値観を多くの顧客と共有することができたのである。

 

やっているサービスは同じようなことでも、そのサービスがどのように生まれたかを考えると案外面白い。起源が全然違うことがあるからだ。目に見えるサービスのみに焦点を当てるのではなく、そのサービスの原動力となるミッションに焦点をあててみると、サービス自体もちょっと違って見えてくるかも。

全部に対してはもちろん無理だろうけど、自分の大切にしているモノやサービスのミッションくらいは、理解しておいても損はないだろう、なんて思ってみた。