シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

パレオダイエットを取り入れて加工食品を絶つ

f:id:TAC-0008:20180601201527j:plain

ダイエットに失敗する原因は何だろうか?

理由は単純。ダイエットをするのに負荷がかかるから。負荷がかかるから短期間しか続けられないし、短期間しか続かないからダイエットをやめたときにリバンドがくる。結果、ダイエットに失敗となる。

ある研究では、少なくとも1年間ダイエットを続けないと長期的な効果は得られないと証明している。また身体に負荷をかけてしまうことで、体内でコルチゾールという物質を分泌する。それが脳や細胞に悪影響を与え、ストレスの原因となってしまう。つまり、負荷のかかるダイエットはオススメできない。

したがって、本当に必要としているのは、精神的、身体的に負荷の少ない、一生つづけられるダイエットである。そしてこれを実現できるのが今回紹介する「パレオダイエット」である。 

一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書

一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書

 

パレオダイエットは、ここのところ、アメリカやヨーロッパでもっとも人気の高い健康法のひとつである。「パレオ」は「旧石器時代の」を意味する「パレオリシック」の略。つまり、パレオダイエットとは、旧石器時代の食事法を現代にも取り入れようというものだ。

具体的には「食」「寝」「動」を無理のない範囲で改善するだけ。本記事ではパレオダイエットの概要と、その中で個人的にとくにインパクトの大きかった「食」の改善についての、具体的な取り組み方法について説明する。もっと詳しく知ってみたいという方には、「パレオな男」のブログで有名なYu Suzuki氏著の「パレオダイエットの教科書」を手に入れて読み込んで欲しい。

 

パレオダイエットの概要

é¢é£ç»å

旧石器時代の食事法を取り入れたものがパレオダイエットであると説明したが、より正確に言うと、旧石器時代の狩猟採取型の食事法を参考にした現代風の食事法となる。

基本的には、旧石器時代に食べられていたものだけを食べようというもので、狩猟採取型の食事を参考にする理由は、その方が健康的と考えられているからだ。
 

なぜ狩猟民族の食生活が健康なのか?

人類が誕生した旧石器時代はおよそ260万年前に始まり、1万年前の農業改革により終わりを迎えた。つまり人類は長きにわたって、木ノ実や根菜を集め、動物や魚を狩りながら生活する狩猟採集生活を行なっていたということになる。

このことから、人間の身体はおもに旧石器時代の環境でうまく働くように進化してきたと考えられ、ならばこの原始時代の生活を参考にしたら、人間の持つポテンシャルを引き出せるんじゃなかろうか、という考えが「パレオダイエット」のベースになっている。
 

科学的根拠は?

é¢é£ç»å

実際、狩猟民族には肥満体の人はいなかったし、もちろん彼らは現代病と言われる糖尿病や、がんとは無縁だった。しかも、日中の疲れはその日に回復するし、鬱などのメンタルの問題もなかったと言われている。

彼らの生活習慣に最初に注目し、ダイエット法として昇華したのがメルボルン大学の研究チームであり、今から約30年前のことだと言う。その効果はピッツバーグ大の研究チームや、2015年に行われたコクラン共同研究など多くの科学者によって立証されている。
 

加工食品を食べない、ただそれだけ。

パレオダイエットのルールは実に簡単。旧石器時代に食べられていたであろうものを食べようというものだ。逆に言うと、その時代には存在し得なかったものは食べてはいけないということでもある。

具体的に何を食べてはいけないかというと、筆頭にあげられるのが加工食品。冷凍食品やコンビニ弁当、スナック菓子、ファーストフードなど誰もが日常的にお世話になっているものがそれにあたる。

ではなぜ加工食品を避けるのか、それは我々の身体にある体重管理システム「セットポイント」に関係している。

セットポイントとは?

é¢é£ç»å

本来、人間の身体は、生まれつき太らないようにできている。これは遺伝子に組み込まれている「セットポイント」が働くからである。このセットポイントが正常に働けば、仮に食べ過ぎたとしても、その摂取カロリーに応じて代謝が上がり、結果的に体重がコントロールされるのである。これにはレプチンという物質が影響しており、これが脳に作用して食欲を減らすホルモンを分泌し、体重の急激な増減を防ぐのである。

ところが,この体重管理システムにエラーが生じると、我々の体はそれとは逆の方向に向かう。つまり、どれだけ食べても空腹感がおさまらない一方で、そのくせ代謝は大幅に下がってしまい、どんどん体脂肪は燃えにくくなる。この悪循環に入ってしまうと、なかなか体重は減らなくなってしまう。

このセットポイントにエラーをもたらす最大の原因が加工食品ということなのだ。加工食品には、消費者に継続的に購買させるための最先端の現代科学が詰め込まれている。その研究の賜物が、消費者のセットポイントを狂わせ、中毒性を高めるのである。

結果、加工食品を食べる→セットポイントのエラーが発生→加工食品の継続購入→セットポイントのエラー、という無限ループに入ってしまうというわけだ。

加工食品を絶って健康になろう

そんなわけで、パレオダイエットではとりあえず加工食品をやめることをオススメしている。そうすれば自然と食べる量が減り、その結果体重も減っていくというわけだ。

身体も軽くなるし、それに伴いココロも軽くなる。これに加えて本書で紹介されている「寝」や「動」を組み合わせれば、期待している以上に身体の調子が良くなるし、脳も活性化する。ただすべてをいきなり同時に行うにはハードルが高いかもしれないので、とりあえずは1番簡単で続けやすい方法である、「加工食品を極力食べない」を実践して、セットポイントを取り戻してみてはいかがだろう?

歩きながら勉強して記憶力を高める

f:id:TAC-0008:20180528230737j:plain

最近どハマりしているニコニコ動画のDaigo氏のチャンネル、メンタリストDaigoの「心理分析してみた!」で、記憶力を高める方法が動画で紹介されていた。読んだ本の内容や勉強したことが全然頭に残らない、という悩みを抱えていた自分にとっては目からウロコの内容だったので、簡単にではあるが紹介しておく。

ニコニコ動画のリンクも貼っておくが、この動画は月額540円支払っている会員しか視聴することができないので、本家の話を聞きたい人は540円払って会員になる必要がある。Daigoさんの動画では、日々の活動 - 仕事、勉強、読書 - の効率を上げるための方法や効果的なコミュニケーション術が紹介されている。更新は月に8回くらいのペースで、一回の動画の長さは60分を超えるものがほとんど。すべての話が科学的根拠に基づいているので、ものすごく信憑性があるし、何より話を聞いているだけでも面白いので本気でオススメする。というわけで、効率性を高める方法 - 具体的には時間管理術、集中力を上げる方法、記憶力を高めるノート術 - を知りたい人は、1ヶ月だけでもいいから入会してみてはどうだろうか。

http://www.nicovideo.jp/watch/1527175041

さて本題に入る。今回の動画では、記憶力を高める方法を教えてくれている。結論から言うと、記憶力を高めるには軽い運動をしながら記憶の作業をするといい。運動することによって記憶や論理を司る大脳の一部が活性化するからだ。理解しやすいようにまずは脳の働きを説明し、その後で具体的な取り組み方も紹介する。 

脳の仕組み

脳は大脳、小脳、脳幹に分けることができるが、大脳がその大半となる80%を占めている。この非常に大きな脳の部分が、見る、聞く、触るなどの感覚や、言葉、記憶、思考など高度な働きを司る。運動をすることで、大脳が活性化するのだが、特に活性化するのが以下の3つの場所。

10野:論理、優先順位、効率性な作業を司る場所
46野:ワーキングメモリ、記憶がどこにあるかを管理したり、コミュニケーションの流れを作ったりする場所
44野:共感する能力を司る場所

次に、運動すると大脳が活性化する仕組みを説明する。運動すると、まず脳の側坐核(そくざかく)という部分が活性化し、そこから腹側被蓋野(ふくそくひがいや)という部分に刺激がいく。この腹側被蓋野ドーパミンという神経伝達物質が分泌し、この分泌されたドーパミンが、大脳の一部である前頭前野や運動野、海馬が活性化するという仕組みだ。もちろんこのときに先程挙げた3つの箇所も活性化されている。

これらの現象が、運動をすることによって脳内で引き起こされ、その結果、記憶力や論理的能力、コミュニケーション能力が高まるというわけだ。

また、ドーパミンは「快楽」や「やる気」にもおおきく影響すると言われている。走った後に気持ちよくなるのは、このドーパミンが分泌されるからでもある。そんなわけで、運動するとドーバミンが分泌されるので気分が良くなるし、また記憶力や論理を司る部分も刺激されるので、勉強の効率性も上がるのである。 

歩きながら勉強する方法

しかし、運動しながら勉強する、なんてことはやったことない人が多いだろうし、聞いただけだと難しいそうだ。そんな人たちのためにDaigo氏はオススメの勉強法を具体的に教えてくれている。

簡潔に言うと、運動中に覚えたい箇所を見つけたら、その箇所の要約をスマートフォンのメモアプリに書いていく、というやり方だ。記憶を定着させるのに一番効果があるのは「思い出す」ことと「要約する」ことである。この作業を繰り返し行えば、記憶が定着するという。Daigoさんが紹介している、具体的な方法をみていこう。ここでは速歩きもしくは、軽めのジョギングを運動の一例として紹介している。場所は室内のトレッドミルでも屋外で行うのでもどちらでもいいが、通行人とぶつかる心配のないトレッドミルで行うことを個人的にはオススメする。具体的な方法をみていこう。

用意するもの:勉強したい本、スマートフォンスマートフォンのメモアプリ

  1. 速歩きしながら本を読む
  2. 覚えたい箇所に遭遇する
  3. 一旦本を閉じる
  4. 覚えたい箇所の要約をする ←自分の言葉に置き換えるのが大事
  5. 要約したものをスマートフォンのメモアプリに書き出す

要約の書き出し部分でうまくいかない場合は、1に戻る。ここでのポイントは本を一旦閉じること。繰り返しになるが「思い出す」ことと「要約する」ことが記憶の定着への近道。だから必ず本を閉じて、自分の言葉で記憶を定着させたい箇所の要約を書かないといけないのだ。

 

脳が刺激されている状態で勉強するので、勉強の効率が本当に上がるし、記憶にも間違いなく残っている。そんなわけで、効率的な勉強をしたい人は、明日から実践してみて欲しい。

スポーツってやっぱええなって話

The Economist 5月26日号で、エジプト出身のフットボーラー(サッカーのこと)、サラー選手が母国を元気づけているっていう記事を読んで、スポーツってやっぱええな、と思った。

www.economist.com

サラー選手は、サッカーで世界最高峰といわれるイングランドプレミアリーグに加盟する、リバプールFC所属のフォワード。1年前にイタリアリーグ・セリエAASローマから移籍してきた。他リーグから移籍した場合は適用が特に難しいと言われるプレミアリーグで、移籍1年目から得点王を獲得するほどの活躍をし、世界のフットボールファンに驚きを与えた。

彼の活躍に一番心揺さぶられてるのはもちろんエジプトの人々。サラー選手の顔写真がTシャツ、車のバンパーのステッカーやビルの壁画など至る所にあるという。普段は渋滞が酷いカイロの街中も、リバプールの試合が中継されている時間帯だけは空いているという。

アラブの春」が失敗に終わり、今まで以上に自由を奪われたエジプトの人々は、言論の自由を奪われた今、天気の話でさえできないという。サラー選手のイングランドでの活躍は、そんな彼らの唯一と言っていいほどの楽しみとなっているのだ。

 

一流選手と観客の関係

スポーツをする選手の目的は、もちろん試合に勝つことだ。選手はそのために練習するし、そのために真剣に試合に取り組む。もちろん試合中は観客をエンターテインすることなんて考えていない。それでも真剣なプレーは観ている人を魅了する、興奮させるし、心を強く揺さぶる。しかもその人数が圧倒的に多い。これはすごいことだ。人を喜ばせるためにやっているわけじゃないのに、結果として人を喜ばせてるって、考えてできるものではない。

そしてもっと良いなって思うのは、第一線で活躍している選手は、自分たちのプレーが観客に勇気を与えることを理解していることだ。そしてそれが自分たちの果たすべき役割だと認識している。つまり彼らがプレーするのは勝つためでもあるし、それと同時に人に勇気を与えるためでもあるのだ。だから今まで以上に真剣に練習に取り組めるし、試合にも今まで以上に臨むことができるのだ。そしてその姿を観て人はまた心を揺さぶられる。一線の選手はこのループに入るから一線にいるのだ。

5/26に欧州の世界一のフットボールクラブを決めるCL決勝がありサラー選手率いるリバプールFCはスペインのレアル・マドリードと対決する。そのあとはロシアW杯も控えておりエジプト代表も28年ぶりに出場する。サラー選手には今後ももっと活躍して世界中の人々に勇気を与えて欲しいし。

住宅産業のゆくえ

建築・設計情報をディープなところまで取り扱う10+1 web siteの特集で、吉村靖孝建築設計事務所の吉村靖孝氏と、株式会社スピーク共同代表「東京R不動産」ディレクターの林厚見氏が、今後の住宅産業あり方についての対談をしている様子が掲載されていた。

10plus1.jp

戦後から現在までの住宅産業の歴史に触れながら、今後の住宅産業がどのように変遷して行くのかをユーザー・顧客のニーズに触れながら話されており、興味深い内容だった。以下はその対談を簡単にまとめつつ、考察している。

 

住宅産業の変遷

これまではプレファブリケーションの時代だった。戦後から1970年代にかけては、国の政策、国民の状況、技術の進歩によって住宅産業が成長・拡大していく。1980年代になると、大手ハウスメーカーの量産型住宅の普及により住宅産業が成熟期に入る。それからも住宅メーカーは量産型物件を排出し続け、大手の「信頼」を頼りにユーザーもそういった物件を購入し続けた。

しかしながら、2000年に入るとこの流れが緩やかに変わっていく。取り巻く環境が変化に引っ張られるかたちで、ユーザーのニーズにも変化が見られるようになってきたからだ。その結果、従来の量産型住宅を扱う大手ハウスメーカーは苦戦するようになってきた。理由は以下に挙げる3つ。

1. 人口減少により住宅購入する総人口が減少した。むしろ、空いている物件がとくに地方で増えている。総務省によると、2013年時点で全国の住宅に占める空き家の割合は13.5%。この数字は今後上がり続けるという。

2. 景気悪化に伴い「価格が高い」量産型住宅を買える人数が減った。本来は量産効果で低価格化が見込めるはずであるが、大企業が供給するため経費が嵩み、さらに本来は工期も短縮できる構想であった工期の短縮も不発に終わったため、安くはない価格の提供せざるを得なくなっている。

3. 従来の量産型住宅に満足しなくなった人が増えた。ユニークな物件を紹介する「東京R不動産」では、サービス開始してから10年で6,000件以上のマッチングを行ってきた事実もある。

これらの要因が重なり、大手メーカーが提供する量産型物件の需要が落ち込んできたのである。そしてこれらの変化に対応できるひとつのソリューションがポストファブリケーションだと吉村氏は語る。

 

ポストファブリケーションとは?

ポストファブリケーションとは吉村氏の造語である。プレファブリケーションの対となる言葉で、プレファブリケーションがoff-site(敷地や現場でないところ)で物をつくるという考え、それに対して、ポストファブリケーションはon-site(敷地のなか、現場や現場の工程)で物をつくるという考え。

ポストファブリケーションで代表的なのはリノベーションやDIY。今の時代、物件のストックはあるし、もちろん物件を購入するよりもリノベーションは安く済む、さらに住み手のユーザーのニーズ沿ったデザインや間取りを変更できるので、結果としてユーザーが満足できるユニークな物件ができる。

また、ハウスシェアもこれに当てはまる。経済的なのはもちろん、もともと1世帯として使用する物件を多世帯で使用するように加工する住み方は、ポストファブリケーションのあり方のひとつなのだ。

 

今後の住宅産業で求められるもの

対談では、住宅産業の今後の展望にも触れている。大きく分けて方向性は2つ。究極のプレファブリケーション達成と多様なポストファブリケーションの提供である。

大手メーカーのプレファブリケーションが失敗に終わりつつあるのは、前述している通り、コストが高いから。逆に言うと、これを下げることができれば、1,000 - 2,000万円の格安モデルで提供できるようになれば、今後も需要はある。そのためには究極のプレファブリケーションが必要になる。それを実現するために、有効打になりえるのが在来工法とデジタルファブリケーションの2つ。特にデジタルファブリケーションは新しい技術であり、今後も発展して行く技術なので、これをいかに現行の生産工程に融合させるかが鍵となる。

先に述べた通り、リノベーションなどすでに一般化しつつありマーケットも広がっている。さらにそれを憧れる層などを加えるとそれ以上に潜在ニーズがあると言われている。その一方で、それを実現するためのソリューションがまだまだ限られているのが現状である。コストをかけずに内装を変えようと思ったときに、建築家やデザイナーに頼むのは敷居が高い、かといってDIYでつくるのは大変、と考え諦めてしまうユーザーはまだまだ多い。かといってユーザーとコミュニケーションがはかれて融通をきかせられる内装業者も少ないし、そもそもリノベーションを歓迎しない物件のオーナーも多い。つまり、小さくない潜在ニーズはあるものの、そのニーズを満たすソリューションはまだまだできていないのだ。ユーザー、建築家・デザイナー、オーナー。この三者間をつなげることがポストファブリケーション実現の肝になる。

それを実現している仕組みが林氏の提供するtoolboxというサービス。具体的なイメージを持ちにくいユーザー、コミュニケーション力や提案力のない職人や業者、商品数が過剰なメーカーやプロダクトをつなぐ仕組みである。また、AIを用いたWebサービスの登場や先にあげているデジタルファブリケーションの技術の発展により、より多くの情報やもものづくりの手段がユーザー側で手に入るようになっていくので、ますますポストファブリケーションの流れが増していくだろう。

 

皇室で進む少子高齢問題

アメリカ人の友人に日本の皇室のことで質問を受けた。しかし説明をしようにも、頭の中で漠然としか理解していないので、言葉が出てこない。正直に言うと、そのときは天皇陛下皇位を継承なさる正確な日さえ分からずにいた。そんな自分に少し恥ずかしくなってしまったため、皇室のことについてネットで調べてみた。今後外国人に皇室について説明する機会があるかもしれない人に向けて、調べたことを文章に残しておく。

2019年4月30日に現天皇陛下である明仁(Akihito)様が、現皇太子様である徳仁(Naruhito)様に皇位を継承される。それに伴い日本の元号も平成から新しい元号に変わる。元号とは特定の年代に付けられる称号のことで、明治元年以来一世一元、つまり天皇陛下ひとりにひとつの元号とすることに決められた。もちろん日本では元号とともに西暦も普段から使われている。

今回の皇位継承は、生前退位のかたちとなる。従来のルールであれば、天皇陛下がお亡くなりになられてから皇位継承が行われるのが普通であるが、今回は特例で生前退位が認められることとなった。齢84歳(2018年5月現在)であり、前立腺がんや心臓バイパス手術をご経験された陛下の健康状態を鑑みて、今後も引き続き公務を行うのが難しいと判断されたからである。

明仁様は公務に熱心に取り組んでこられたことで有名。年間約1,000件の書類に目を通して署名・捺印するだけでなく、宮中内外の各種行事におよそ200回以上出席され、20件近くの祭儀を精力的に執り行ってこられたという。このように国民のために真摯に公務に取り組んでこられた陛下の「おことば」を聞いてしまうと、内閣府も国民も認めざるを得なかったのだろう。このようなわけで、2019年5月1日に皇位継承順位第一位である徳仁様(57歳)が皇位を継がれることに決まったのである。

この様子は海外のニュースにも取り上げられた。英The Economistでは、さらに今後の君主制度存続の危機にも触れている。

www.economist.com

現行の皇室典範では、皇族資格、皇位継承資格が嫡出子(正室の子)の男系に限定されており、現在皇位継承の資格があるものは徳仁様を除けば3人のみになる - 現天皇陛下の弟君にあたる正仁様(82歳)、 徳仁様の弟君にあたる秋篠宮文仁様(52歳)、そして秋篠宮文仁様の第一男子である悠仁様(11歳)。ご年齢を考えると、事実上徳仁様の跡を継げるのは悠仁様に限定される。悠仁様に皇族の運命が委ねられていると言っても過言ではないのだ。皇位継承資格者の不足という問題を解決するために、史上前例のない女系天皇を容認すべきか否か、皇位継承について定める「皇室典範」を改正すべきか否か、皇位継承順位をどのように定めるべきかということに関心が置かれている。というのが記事の内容。

徳仁様は今回の即位で126代目の天皇陛下になられる。BC 660から2600年以上続いた世界最古の皇族の血が、今後どのようになっていくのかに世界中から注目が寄せられている。

皇室典範日本国憲法第2条および第5条に基づき、皇位継承および摂政に関する事項を中心に規律した皇室に関する法律

科学的な外国語学習方法

英語ができるようになりたい!でもどんな勉強をしたらいいのか分からない。

ネットや書店で効果的な勉強方法を探してはみるものの、おススメされている学習方法が多すぎて、どれがいいか迷う。加えて、書かれている本や記事って、体験の紹介が多くて、自分に向いているのかどうかが不安。そんな人におすすめなのが、こちらの本。

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

 

第二言語習得とは、学習者が母語の次に言語を学ぶ過程を科学的に解明する学問で、心理学、言語学、教育学などの学際領域。そんな第二言語習得のエキスパートに書かれた本には、第二言語を学ぶプロセスや、なぜ日本人が英語が苦手なのかなど、興味のあるトピックが取り上げられており、新書にも関わらず非常に読みごたえがあった。実際、引用文献も数多く使われており、引用文献の紹介ページが全体の3分の1を占めていたほどだ。

そんな読み応えのある本から今回は「どういった勉強方法が効果的なの?」という疑問に答えられるように、以下にポイントをまとめてみた。

国語学習に必要な勉強・作業は大きく分けると以下の3つである。
・言語間の距離を埋める勉強
・インプットでデータベースを構築する
・アウトプットを繰り返し行う

具体的にみていこう。


言語間の距離を埋める勉強
第二言語母語には距離が存在する。距離とは、ひとつは言語間のルールの違いである。文法はもちろん、発音の種類、リズムなどである。

加えて、文化的な違いもこの距離に当てはまる。コミュニケーションの仕方や、その状況で相応しい語句を選んでいるかなど、社会的・文化的背景から言語に影響するものである。

これらの距離が大きければ大きいほど習得が難しい。たとえば日本語と英語は距離が大きい言語である一方、スペインと英語には距離が少ないと言われている。したがって多くの日本人は学校で学んだにも関わらず、英語を話せないが、多くのスペイン人は学校で学んだだけで、ある程度英語が話せるのである。

言語間の距離が大きいほど習得が難しくなるのは、外国語は母語を基礎に学ぶという特性があるからだ。したがって、言語間の違いがあることを知ることがまず重要で、その違いを強制的に正す必要があるのだ。
でなければ、いつまでたっても習得できない。たとえば日本に長く住んでいる外国人タレントンの日本語が上達しないのは、この点を理解せずに放置しているからだ。


インプットでデータベースを構築する
言語間の距離の違いを認識できたら、次にやることはインプットである。ここで大事なのは、インプットしたものを理解しようとすること。理解したインプットでないと脳内のデータベースに蓄積されないからだ。脳内に第二言語のデータベースが構築されていけば、理解できることが増える。たとえば同じことをインプットした場合は、もちろんすぐに意味が理解できるし、知らない言葉に関しても、意味を推測することが可能になる。逆に言うと、集中せずにインプット、つまり聞き流しなどはあまり意味がない。データベースが構築されないので、文字通り右から左に聞き流れていくだけなのである。
このプロセスは、幼児の言語習得プロセスと重なる。幼児は生まれた直後から大量のインプットをしているため、彼らの脳内にデータベースが構築されていき、最終的に母語を扱えるようになるのだ。


アウトプットを繰り返し行う
もうひとつは、アウトプットを繰り返し行うことである。脳内データベースが構築されたとしても、それだけではアウトプットできない。データベースからアウトプットに変換するプロセスは別にあるからだ。理論だけでスポーツができないように、脳内データベースだけで英語は使えないのである。それを使いこなすための処理に慣れる必要がある。そのためには、実際に数多くのアウトプットをしなければならない。

アウトプットを繰り返す利点はもう一つある。インプットの質が高くなる点だ。正確には、アウトプットの準備をすることで、インプットしたものの理解度が深まるのが利点。アウトプットするためにはインプットしたものの情報を整理する必要があり、それが理解度を飛躍的に向上させる。

 

科学的根拠の利点

以上が外国語学習に必要な勉強・作業を紹介した。最後にもう一点だけこの本を読んで良かったことを説明する。タイトルにもある通りこの本は、科学的な根拠を基に効果的な勉強方法が書かれているので、体験談が書かれている本よりも信憑性が増す。外国語学習には信憑性が大事で、なぜならば外国語学習は、上達がなかなか感じられないから。上達がなかなか感じられないので、自分のやっていることに疑心暗鬼になり、続けるのが億劫になる。だから、このように信頼に置けるデータに基づいた勉強方法の紹介は非常にはありがたい。まだまだ解明できてない点も多いという第二言語習得の分野。今後の展開にも注目していきたい。

1分で話すことに慣れれば自然とロジカルになる

英語で自分の意見を主張できるようになる。そのために必要な能力は2つある。ひとつは英語で文章を構築する力、もうひとつは文章を論理的に構築する力。たまには後者も意識的に伸ばさないとな、ということでこの本を手にとった。

「伝える力を世界で一番簡単に習得できることを目指している」と冒頭で筆者が伝えているように、本当にシンプルで分かりやすく「伝える技術」をどう習得するのかが書かれている。習得とあるように、具体的な方法も書かれているのも特徴。ただ、文章が分かりやすすぎるため、スラスラ読めてしまい、結果として記憶の定着にならない恐れがあるので、この本を読んだ方は、ぜひともノートにまとめて実践に活かしてほしい。以下にポイントとなる部分を簡単に説明しておく。


・人はあなたの話の80%は聞いていない
・聞き手をイメージせよ
・結論+根拠+たとえばで考える癖をつけよ

 

人はあなたの話の80%は聞いていない
人は他人の話の80%は聞いていないと筆者は言う。序章にあるこの部分が、かなりインパクトがあった。実際にそうだと思う。人の話はほとんど聞いていない、聞いていたとしても覚えてない。たとえば、小学校の朝礼の話なんて全く聞いてなかったし、対面している相手の話さえ聞いていない時がある。だからこそ、簡潔に分かりやすく伝える必要があるというのが筆者の見解。そこからくるのが「1分で話せ」ということだ。常にこの意識(人は話を聞いてないから、できるだけ短く1分くらいで話せ)を持っておけば、提案するときや、人に何かを説明する際に、劇的に分かりやすい話ができるようになるだろう。

 

聞き手をイメージすること
伝えるためには、相手をイメージすることが大切である。”イメージ”という言葉がポイント。単にステータスをなぞるのだけでなく、その人になりきってみて、どんなことを聞きたいのかということを具体的に想像するくらいまで熱心にやると効果が高くなる。具体的こんなことから考えていくとい想像しやすい。
・どういう立場にいるのか
・どんなことに興味があるのか
・どんなことをこのプレゼンに求めているのか
・専門的な要素にどのくらい理解できるか
聞き手になりきるぐらいまでイメージすることで、伝えるポイントが明確になる。それは結果として伝え手の作業効率も上がるので、このプロセスを省く理由がないのである。

 

結論+根拠+たとえば
この3点セットを考えておくと、伝わりやすい話し方ができる。コツはピラミッドで考えを整理すること。ピラミッドの頂点が結論(主張)。結論の根拠がピラミッドを支える下部にくる。そしてその根拠をそれぞれ補足するように具体例を加えていけば、結論+根拠+たとえばの3点セットが完成。このとき主張はもちろん、根拠も短くシンプルなほうがよい。ここで長くなってしまうと、聞き手が話についてこれなくなってしまう。詳しく説明する、相手にわかってもらう瞬間は、具体例の説明を出すとき、くらいのスタンスがベター。


以上の3つを意識して凝縮すると「1分で話せ」ということになるのだ。このコアとなる1分をしっかり詰めることに全力を注げ。このコアとなる1分を補強するために残りの時間は使え。というのが本書の強いメッセージ。常に心がけておきたい。