シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

カジノはオワコンなのかもしれない

一時期前に大阪にカジノを作ろう。という話が盛り上がっていた。経済発展のため外国人を呼び込むツールとして。当時は良い試みやって思ってたけど、実際のところはどうだったんだろう?今考えてみると、結果的にカジノ建設には失敗の終わってよかったのかもしれない。

The Economistに掲載されてたカジノに関する記事を読んでそんなことを思った。記事の主旨は、カジノ事業者たちが若年層を取り込むために新しい試みをやりつつある。でも幸先は不透明である。って話。

www.economist.com

 

今のカジノ業界は景気が良くない。

1990年の$ 2 billionから2008年には$ 7billionにまで成長していたラスベガスのカジノもそれ以降成長はストップ。米国で第二位の規模と言われているAtlantic cityに至っては2008年の$ 5 billionから今では半分までに落ちた。マカオでも2002年の$ 2 billionから急成長して2012年には$45billionまで到達したけど、2015年は一気に$ 30 billionまで減っている。2008年の金融危機が引き金になったのは明白だが、それ以前の水準まで戻すのに四苦八苦しているんだ。

 

その原因は何なのか?

若年層の取り込みが成功していないことが原因。スマートフォンやゲーム機が近年著しく魅力的になったので、カジノの魅力が相対的に下がってしまった。インターネットが登場したときのレンタルビデオ屋さんのように、スマフォの登場でカジノがブロックバスターになってしまいかねない。その結果、特にアメリカでは、カジノの収入は高齢者に頼らざる得ない構図になってしまったんだ。実際、今年の9月にアトランティックシティに行ってきたけど、確かにスロットに興じるご年配の方はたくさんいたけど、若者はあんまり見なかったか。収益の7割を高齢者に頼る業界がこの先10年、20年後にはどうなるかを想像するのは容易い。

そんなわけで、カジノ事業者は若年層取り込みのためのアプローチを始めた。場所の魅力を持たせるために、無重力空間を作ってみたり、LED装飾でインテリアが一瞬で変わったように見える仕掛けを作ったり。ゲーム自体も新しいものを導入している。ゲームをクリアできたらお金が得られるような、運ベースではなくスキルベースのギャンブルを遊べたり。AR技術を駆使したゲームを導入している。イノベーティブなことに関しては、スタートアップ企業に一日の長があるので、そういった企業とタイアップしているカジノ事業も増えてる。

一方でこういった取り組みに懐疑的な人々もいる。若年層が興味を持つかも懐疑的ではある上、取り込めたとしても収益は大きくならないのではないかと考えているから。むしろ、今の顧客層を失うリスクも増えるんじゃないかさえ思っている。10年後にアメリカのカジノ業界がどうなっているかが楽しみではある。