シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

グーグルがディープマインド社に求めるもの

The Economist12月17日号のBusinessでは、Alphabet社(グーグルの持株会社)が2014年の1月にロンドンにあるArtificial-intelligence (AI)を研究する会社、ディープマインド社を買収した理由を紹介している。

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なぜグーグルはディープマインド社を買収したのだろうか。もちろん魅力があったからだ。一つ目の理由は、人材が確保できるから。グーグルは400人の優秀な情報工学専門家と脳科学者を一気に手にいれた。二つ目は、ブランドネームを得られるから。ディープマインド社は科学分野ではすでに有名であり、この2年でNatureの表紙を2度飾った実績もあった。そんな会社を手に入れることで、化学分野での立ち位置も手に入れることに成功した。

最後は、高い理念と目標に惹かれたから。"Solve Intelligence"がMissionのもと、3人の脳科学者によってディープマインド社は創立された。最終的な目標は人間の脳の再現。これが実現すればグーグルは大喜びである。なぜなら無限のデジタル従業員が手に入るからだ。さらに志半ばでもメリットはある。deep learningの研究に役立つのだ。すでにグーグルのデータセンターを効率的に冷やす方法をdeep learning systemで見つけ出した。deep learningシステムをエネルギーインフラ、ヘルスケアシステム、綺麗な水へのアクセス方法探索などにも応用して、そこから利益を出すプランを立てている。

買収される側にもメリットがある。資金が豊富になったことはもちろんあるが、それ以上に実世界のデータへのアクセス権を手に入れたことである。卓越したプログラミング技術や深い脳科学の知識はAI技術の発展上、欠かせない要素である。しかし実世界へのデータを扱えるようになることも同様に必要だ。そういった生のデータを提供できるのが、グーグルである。しかしながら越えるべき壁もまだ存在する。AI実現のために必要となるデータは、パーソナルな情報である。そういった情報を企業が使えるようになるには、個人の承諾が必要になのだ。もしこの壁を乗り越えることができれば、ディープマインド社にとってのブレークスルーとなり、そのときはグーグルにとって莫大な価値を得られる瞬間となるのだ。