シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

アレハンドロ・アラヴェナの建築哲学とは?

デザインの持つ力

過去3回にわたって、チリの建築家、アレハンドロ・アラヴェナ氏のTED Talkを解説してきました。


アレハンドロ・アラヴェナ: 私の建築哲学―コミュニティが参加するプロセスを | Talk Video | TED.com

 最後にササッと統括したかったのですが、なかなかまとまらず、、、、結局1週間が経過してしまってました。

「そもそもアラヴェナさんが言いたかったことって何やったんやっけ?」っていう問いを自分に投げかけることで、ようやく整理立てて理解することができました。

アラヴェナ氏の伝えたかったことは、プレゼンの一番始めに言っていました。

If there's any power in design, that's the power of synthesis.

デザインには統合する力がある

 統合=二つ以上のものを合わせて一つにすること by デジタル大辞泉

つまり、ここでアラヴェナ氏が述べていることは、

 

「デザインには二つ以上の問題をいっぺんに解決できる力を持つ」

 

ということなんです。 

彼はその根拠を、3つのプロジェクトの紹介で証明していきます。

 1つ目は”ハーフ・ホーム”プロジェクト。

このプロジェクトで彼は、都市化の増大にともなう3つの問題(Scale, Speed, Scarcity)を”半分の家だけを作る”デザインで3つ同時に解決することに成功しました。

 

2つ目は”知的創造が生み出せるオフィスの建設”プロジェクト。

従来のオフィスでは設計上の問題で欠落してしまいがちな、”適度な環境(温度と新鮮な空気)”と”人同士のコミュニケーション”。そこで彼は、”中心部を空洞にする”オフィスデザインを採用することで、それらを同時に獲得することを実現しました。

 

最後に、”都市の復興”プロジェクト。

コンスティトゥシオンという都市は、洪水問題、劣悪な公共スペースの問題、住民が川を使いない問題をそれぞれ抱えていた。それらの問題をアラヴェナ氏は、”森を作る”という都市デザインで一挙に解決しました。

 

全てのプロジェクトで、彼は2つ以上の問題に対して1つのデザインを提供することで問題解決に取り組みました。これらの事実が、「デザインには統合する力がある」ということの裏付けとなっているのです。

 プレゼンの最後では、彼の建築哲学について少しだけ触れています。

 

アレハンドロ・アラヴェナの建築哲学とは?

彼の活動で特徴的な部分は以下の2つです。

1. コミュニティを解決するプロセスに参加させて、本質的な問題を発見するところ

「ハーフ・ホーム」プロジェクトでも、「街の復興」プロジェクトでも本質的な問題の発見をするために、コミュニティの声を親身になって拾っています。特に「街の復興」プロジェクトではそのことが顕著に現れていました。住民が抱えている問題の本質は、Tsunamiではなく別のファクターがだったのです。

2. デザイン(プラン)を実現する過程で既存のリソースを活用するところ

住民の"住居を建築する力"を利用すること、"昔から存在するアイデア"を採用すること、"自然"を有効活用すること、"都市公共投資資金"も有効に活用していました。

 

デザインを生み出す過程で、

問題を発見するために、コミュニティを参加させること。

解決策を実現する過程で、既存のリソースを活用すること。

この手法が彼の特徴的な部分であり、この手法こそが彼の建築哲学を現しているのではないのでしょうか。

 

あるもの使ってみんなで解決しよう。的なね。

 

アラヴェナ氏は今後も多くの問題に真摯に向き合っていくのでしょう。
彼がますます活躍することを心より期待しております。

 

あとがき

建築関係の仕事をしている知人からアラヴェナ氏の話を聞いたとき、心が躍ったことを今でも覚えています。なぜそんな感情になったかは当時分からなかったのですが、こうして彼の哲学を自分なりに解釈することで、ようやく分かった気がする。

泥臭くみんなを巻き込んで、リソースを最大限有効活用しながら問題を解決する姿勢に惹かれたのだと思います。

ではまた。

 

デザインの統合する力で都市の環境問題を解決 アラヴェナ氏の3つ目の事例紹介

前回の投稿から引き続き、アラヴェナ氏の話第3弾。

チリの建築家、アレハンドロ・アラヴェナ氏はTED Talksで地球規模の問題に対する3つの取り組みについて話していました。

今回のテーマはTsunami(自然災害)について。

地震津波の被害を受けた都市の復興への取り組み

2010年にマグニチュード8.8の地震津波被害を受けたチリ南部のConstitucion(コンスティトゥシオン)という地域がある。

その地域の復興してほしいとの依頼を受けたのがアラヴェナ氏。しかし彼に与えられた期間はわずか100日だった。その期間中に、公共ビルやスペース、道路網、交通、住宅、そして都市の保護(つまり将来の津波からの保護)のすべてを考える必要がありました。

まず導きだした一つ目の案は、震源地には何も建てないという案。しかし、チリという国では、「何もない土地は市民によって不法に占拠されるリスクが高い」との判断からこの案は却下となりました。

次に彼らが思いついた案は、Tsunamiを防ぐために、大きな壁、つまり重厚なインフラを防波堤にするという案でした。この案は、建設に携わる企業や、政治絡みでも好ましかったのですが、最終的には自然の力に抗うことはおそらく不可能だろうという結論に至りました。日本で起きた東北大震災の被害の大きさを見てもそれは明らかでした。

現地の人々(コミュニティ)を巻き込むデザイン

そこでアラヴェナ氏は改めて問題を明確にするために、その土地の人々を巻き込むことにしました。彼が常々意義があると信じ続けた「現地の人々を解決(デザイン)のプロセスに巻き込む」手法を取り入れたのです。彼らは、実際にコンスティトゥシオンに出向いて集会を開きました。
そこでようやく問題の本質を発見することができたと言いま。

問題の本質、つまり今回の場合であると「市民が都市づくりに本当に求めること」とは、何十年後かにやってくるかもしれないTsunami対策をしてほしいのではなかったのです(もちろん大事であることは承知している)。現地の人々にとってより大きな問題とは、毎年直面する洪水問題だったのです。さらにはその洪水が原因となって生み出される公共スペースの最悪な状況であったり、都市のアイデンティティのひとつである川へのアクセス状況もそれぞれ大きな問題であることが分かったのです。

統合する力で資金(乏しいリソース)の確保

それらの本質的問題を解決するためにアラヴェナ氏は「都市と海の間に森を作る」という3つ目の案を出します。このプランが実現すれば、たとえ大量の水が流れてきても、流れ込んだ水を薄く広く分散させることが実現できます。その結果、洪水を防ぐことができるのです。そのことは、洪水が原因となって生み出された最悪な公共スペースの改善される効果もあります。そして公共スペースを生むことで、川への民主的なアクセスも可能となりました。

この参加型デザインの結論は、社会的にはもちろん、政治的にも支持されることとなります。しかし、実現の過程でコストの問題が立ちはだかります。このプランを実現するためには4,800万ドルという費用がかかるのです。このコスト問題を解決するために、彼らは都市の公共投資システムを調査しました。その結果、3つの異なった省庁が、まったく同じ場所に対して別々のプロジェクトを計画していることが分かりました。それもお互いのプロジェクトの存在は知らずに。各省庁のプロジェクト費用を合算すると5,200万ドルとなります。アラヴェナ氏は、それぞれの省庁プロジェクトを統合することによって、4,800万ドルの資金を捻出し、「都市と海の間に森を作る」プロジェクトを進めることに成功しました。

デザインの力=統合する力で都市の環境問題を解決

このプロジェクトを通じてアラヴェナ氏が伝えたいことはとてもシンプルです。

「デザインの力=統合する力は素晴らしいものである」

彼は今回、コミュニティを参加させるプロセスを取り入れるデザインを行うことで、都市そして市民の抱えている本質的な問題(Tsunamiではなく洪水、公共スペース、川へのアクセス)を発見し、その問題を一挙に解決する方法を考えだした。
そのプランを実行するために阻害となる要因(コストの問題)も、既存リソースを最大限有効活用するデザイン(別々の省庁プロジェクトを統合した)を行うことで、排除することに成功したのでした。

やはり、既存のリソースの活用するという観点は、前回と前々回とも同じでしたね。

次回は、今回TED Talkで話していた3つのプロジェクトを包括するとともにアラヴェナ氏の建築哲学について、振り返りたいと思います。

地球規模の問題に対する建築・コミュニティデザインのアプローチを考えてみる アレハンドロ・アラヴェナのプロジェクト その2

前回の投稿から引き続き、アラヴェナ氏の話をしたいと思います。

チリの建築家、アレハンドロ・アラヴェナ氏はTED Talksで地球規模の問題に対する3つの取り組みについて話していました。

1. Cities(都市化)
2. CO2(サステナビリティ
3. Tsunami(自然災害)

今回はその内の CO2(サステナビリティ)問題を解決するための取り組みについて深掘りしていきます。

ちなみに前回の投稿はこちら↓

地球規模の問題に対する建築・コミュニティデザインのアプローチから考えてみる。アレハンドロ・アラヴェナのプロジェクト その1 - シマウマ de 考察

 

知的創造が生み出せるオフィス

2012年に、チリで行われたAngelini Innovation Centerのコンペにアラヴェナ氏は参加しました。課題は「知的創造が生み出せる(クリエイティブな)オフィスを建てる」こと。

彼のチームで考え出した結論は、従来のオフィスでは知的創造の観点から適切でないということでした。フロア一つ一つがが重なり合い、中心部分にコアな要素 - エレベーター、階段、パイプやワイヤといった類のもの - を配置したよく目にするオフィス。フロア毎に区切られているので、知的創造には欠かせないコミュニケーションが欠如してしまう可能性が高い。実際に、中で働いている人は別のフロアが何をしているかすら知らないことも多いとか。表面はガラスに覆われているため、直射日光が当たる屋内では温室効果が起きやすい状況です。

 

逆転の発想

そこでアラヴェナ氏たちは、従来のオフィスのデザインに”逆転の発想”を取り込んだのでした。

コアな要素を配置していた中心部分を空洞化するとともに、フロアの一つ一つには開放的なアトリウムを取り入れるオフィスデザインを提案したのです。そこには複雑なプログラムも最新のテクノロジーも必要としない、いわゆる原始的なアイデアを取り入れたデザインでした。

この原始的なデザインのオフィスは、知的創造活動において重要な要素である、”人と同士のコミュニケーションの確立”と”適切な温度と新鮮な空気の獲得”の両方を効率的に実現することができました。

さらには、当初のコンペの課題であった「知的創造が生み出せるオフィスを建てること」を解決するだけでなく、CO2の削減の観点でも大いなる効果をもたらしました。(CO2の排気量を1㎡あたり年間120kwから1㎡あたり年間40kwまで抑えることに成功したそうです。)

 

既存のリソースを利用する

では、アラヴェナ氏はこのプロジェクトの成功を通して我々に何を伝えたかったのでしょうか??

私の結論はこうです。

「既に存在しているリソース(ここでは原始的なアイデアと表現している)にデザインの力を掛け合わせることで、現状の問題解決や、理想とする目的を達成することができる」ということを言いたかったのではないでしょうか。

これは逆を言うと、我々が既存のリソースをうまいこと使えてないのではないか?という問いかけでもあるのではないでしょうか。前回のプロジェクトと合わせて考えるとそう思わざる得ないです。

 

アラヴェナ氏は、今回のプロジェクトとCO2の削減、つまり”エネルギー問題も解決する可能性を秘めている”という流れに話を持っていきましたが、ちょっとそれは言い過ぎかなぁと個人的には思います。
なぜならば、エネルギー問題を言及する場合、”生活活動において発生するエネルギー消費を削減する”という選択肢よりも、”工場や輸送手段に用いられるエネルギーの運用効率を高める”ことのほうが遥かに影響力が大きいからです。まあ詳しい話は、また今度。

 

さて、次回はプロジェクトその3であるTsunamiに対する取り組みに続きます。

 

 ↓はコンペに勝利して建設したAngelini Innovation Centerの記事になります。


Innovation Center UC – Anacleto Angelini / Alejandro Aravena | ELEMENTAL | ArchDaily

 

 

地球規模の問題に対する建築・コミュニティデザインのアプローチを考えてみる アレハンドロ・アラヴェナのプロジェクト その1

前回紹介させて頂いたイーロン・マスク氏の対談記事を通して、
「デッカい視点でモノゴトを考えることも大事である」という感想を書きました。
でも、地球規模の問題からモノゴトを考え出すと、そもそもがあまりにも大き過ぎて具体的なこと、自分の範囲内でできるようなことに落とし込むことがなかなか難しい。

じゃあ自分の興味のある分野とつなげてみてはどうか?とういことで、今回アレハンドロ・アラヴェナという建築家の考え方、やり方を参考までにみてみることにしました。

アレハンドロ・アラヴェナ

南米・チリを拠点に世界的に活躍する注目の建築家。「単に答えを出すためにではなく、然るべき問いを設定するためにも、十分に時間をかける」という思想の基、従来のアーティスト的な建築家であれば独創性を阻害するものとして排除しがちな「制約と規制」を全て受け入れ、「正しい問い」を設定することから設計を始めている。 

2014年10月TED Talkにて、彼の建築哲学を話しています。


アレハンドロ・アラヴェナ: 私の建築哲学―コミュニティが参加するプロセスを | Talk Video | TED.com

中身をまとめてみます。

 

デザインの力で複雑な問題を解決する

アラヴェナ氏は導入部分でデザインの力を語ります。デザインには複雑な問題をシンプルにする”統合する力(Synthesis)”があるのだと。そしてそれはどんな複雑で大きな問題でも解決することができると。

具体的には、地球規模で問題となっている

1. Cities(都市化)
2. CO2(サステナビリティ
3. Tsunami(自然災害)

を彼がどのようにして解決していくかを、3つのプロジェクトを通して見ていきます。

 

都市化の増大にともなう3つの問題(Scale, Speed, Scarcity)

「今もそうであるが、将来においても都市に移り住む人が増えていく。その一方で、都市という受け皿がその人口増加の規模(Scale)スピード(Speed)対応する手段(Scarcity)の面でますます欠如していくだろう。」とアラヴェナ氏は述べてます。

具体的には、2015年には30億人中の10億人が貧困層であるが、2030年には50億人中20億人がそうなると言われてます。すなわち、都市人口が1週間で100万人増えることになり、仮に平均世帯構成人数が4人とすると、25万世帯が1週間のうちに増加することとなります。貧困層の人々に対して、都市は住居を提供する必要があります。しかしながらその住居設立に要せる資金は多くても1世帯10,000ドルくらいだと言われているそうです。つまり、今後15年で10億人増える貧困層の人々に安価な家を提供しなければならないということです。

 

「ハーフ・ホーム」プロジェクト

そこでこのチリ出身の建築家は、かつて自身が行ったプロジェクトに解があるのではないかと考えました。「ハーフ・ホーム」プロジェクトです。

10年前にチリ北部にあるIquiqueという街で5,000㎡の土地を不法占拠した100世帯に住む場所を与えるというプロジェクトを行いました。助成金10,000ドルで土地の購入、インフラの整備、家屋を建てるという全てを行わなければいけません。都市部のために土地代が高く、選択肢としては小さな部屋に住んでもらうー高層ビルーということになってしまいます。しかし、猛烈な反対を受けてしまいます。

そこで導かれた解決策が半分の家を作るということでした。”小さい家”ではなく”半分の家”と捉えるのです。要するに、一般人が建てるには難しい部分を助成金で建て、残りの簡単な部分は住人自らのお金と労力でまかなってもらうということです。

  • 半分のコストで済ます(規模)
    中産階級での家の面積は80㎡と言われており、10,000ドルでは40㎡の家屋が限界です。しかし、40㎡を家の半分は公的資金で賄い、残り半分の40㎡は住む人自身が建ててもらうようにします。
  • 難しいパートを引き受ける(手段、速度)
    建築デザインの条件を5つ明確にすることで、家を建てる時に困難なほうの部分を公的資金で建てます。そうすることで残りの半分の簡単な部分を住人自身で建てます。実際にこのプロジェクトでは3週間もしなういちに残り半分を作り上げたそうです。

 

コミュニティの力を利用する

「ハーフ・ホーム」プロジェクトでアラヴェナ氏は当事者たち(コミュニティ)の力を利用することによって、不法占拠していた100世帯の限られたリソースで彼らの満足できる住居を提供することに成功しました(半分ですが)。
”人々が自分の手で家を建てる”という力を利用することで、規模、速度、手段の問題に解決したのです。逆に言うと、このコミュニティを利用するアプローチをデザインできなければ、1週間に100万人(25万世帯)という地球規模での都市化問題を解決する術はないのではないのだろうか。と彼は語るのでした。

↓ は今回紹介した「ハーフ・ホーム」プロジェクトで建てられた集合住宅「Quinta Monryo」の特集記事です。実際に住人たちが建てたパートの写真もあります。ユニークで面白いですね。


Quinta Monroy / ELEMENTAL | ArchDaily

 

というわけで、ちょっと長くなってしまったのでその1は終わりです。
まだ3つのプロジェクトの1つ目しか紹介してませんが、ここで一息。

 

ではまた。

イーロン・マスク氏の大いなる夢を聞いて考えたこと

未来を変える男がいるという。

イーロン・マスク氏という南アフリカ共和国出身のアメリカの起業家である。

スティーブ・ジョブズ氏を超える人物とも言われており、2013年には米ニュース雑誌であるTIME誌で2010年「世界でもっとも影響力のある100人」の中で、「人類を未来へ導くエスコート役」として選ばれました。同年には世界最大の英文ビジネス誌であるFortuneのビジネスパーソン・オブ・ イヤーに選出されてます。

彼の何がそんなに凄いのかというと「考えるスケールの大きさ」と「その考えを実行して結果を出し続けているところ」です。

 

人類の未来について考える

大学で物理学を専攻していた彼は、その当時「未来の世界や人類の将来にもっとも影響する問題は何だろう」と考えたそうです。そこから出た答えが”持続可能なエネルギーの問題”だったそうで、その問題を解決するために重要となる分野が”インターネット”、”宇宙”、”クリーンエネルギー”の3分野であると彼は判断しました。

彼はこれら3つの分野に取り組むことになる。

 

3つの分野で結果を出し続ける

”インターネット” = 1999年にPayPal社の前身であるX.com社を設立
”宇宙” = 2002年に宇宙輸送を可能にするロケットを開発するSpace X社を起業。CEOならびにCTO(最高技術責任者)に就任。
”クリーンエネルギー” = 太陽光発電会社Solar Cityを2006年に共同設立し会長に就くと、2008年には電気自動車会社であるテスラモーターズの会長兼CEOに就任した。

 

イーロン・マスク氏の大いなる夢

今や世界的に有名となったTEDカンファレンスにてTEDのキュレーターであるクリス・アンダーソン氏との対談動画があります。
ここではイーロン・マスク氏がの彼の大いなる夢について語っているので是非ご覧ください。


イーロン・マスク 「テスラモーターズ、SpaceX、ソーラーシティの夢」 | Talk Video | TED.com

これを観ると自分の考えがいかに小さいものであったかを感じてしまいます。「新しい仕組みを作りたい」って考えてたとしてもそれは自分本位であることが多いなとか。たとえ「社会の問題を解決したい」って考えたとしても、日本という小さい規模でしか捉えてなかったりするし、時間軸が今現在しか捉えられてなかったりする。

イーロン・マスク氏によってかなり自分は小さく縮こまった考えしかできてなかったなって思ってしまったわけです。しかしこれを機に、これから彼のようにもっともっとデッカい視点で物事を考えるようにするように努めていこう思います。なぜならそのデッカい考えから生み出されたプランは飛び切り素晴らしいものになる可能性を秘めているからです。

そんなわけで、イーロン・マスク氏、そして対談機会を作ったTEDカンファレンスの関係者の方々には深く感謝します。

なぜピラミッド構造を用いることで、わかりやすく伝えることができるのか?

前回、論理的であることの大切さについて論理的に語ってみるを書きましたが、今振り返るとあんまり論理的に書けてなかった。改めて自分の考えを論理的に伝えることって難しいなって実感。

そこでこの年末年始の休みを使って、論理的思考能力が身につくと言われている


Amazon.co.jp: 考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則: バーバラ ミント, Barbara Minto, 山崎 康司, グロービスマネジメントインスティテュート: 本

を読むことにしました。

学びが多かったので、忘れないうちにまとめておきます。

 

学んだことの一つがコレ↓

 

兎にも角にも「考えをピラミッド型に構築する」ってこと。

 

なぜピラミッド構造なのか?

自分の考えをうまいこと伝えられないことがたくさんある。それは仕事に限ったことだけじゃなく、プライベートでもたくさんある。ちゃんと説明できたつもりでも、実はちゃんと伝わっていないことが多い。

その原因は、自分の考えの並べ方が、受け手の頭の中の理解プロセスとうまく噛み合っていないからである。要するに、考えるの構成が相手と共有できていないということである。

だから本書では常に「伝える前にまず自分の考えを整理しましょう、ピラミッド構造を用いて」と言っているのです。

ではなぜピラミッド構造を用いることが良いのか?

 

ピラミッド構造が「人の頭の欲求」を満たしているからです。

 

 

頭の欲求

人の頭の中には「7つ以上の事柄をを関連付けてしまう欲求」と「物事を上から理解しようする欲求」があります。

 

「7つ以上の事柄をを関連付けてしまう欲求」とは、7つ以上のことを覚えないといけないときに生まれます。

人が一度に理解できる事柄には限度があります。アメリカにあるプリンストン大学の心理学者であるジョージ・ミラー氏は「短期記憶の限界は7(±2)個である」とおっしゃったそうな。

それを超えるとどうなるか?

 

関連付けて覚えようとするのです。

 

4つか5つ以上の物事が提示され始めると、頭の中でそれらを覚えておくために、なんらかの(受け手が思う)論理的な分類にしたがって物事をグループ分けしようとするのです。

これが「7つ以上の事柄をを関連付けてしまう欲求」です。

 

「物事を上から理解しようとする欲求」は、そのまんま。文書があるとしたら上から読んで理解しようとしてしまうことです。

 

要約すると、受け手は、当然のごとく上から下に(トップダウンに)考えを理解しようとします。それと同時に無意識のうちに記憶しようとするものをグループ化します。

したがって、それらを伝え手が誘導してあげれば、受け手は無理なく矛盾なく与えられた情報を理解することができるのです。

 

それゆえにピラミッド構造を用いて考えたことは、相手に伝わりやすいのである。

 

すんごいありきたりなんですが、自分の考えを表現するのってすんごい難しいなって改めて思った。でもこれは事業を行うときには絶対必要で、というか普通に生きていくためにも必要なんじゃないかなって思う。
だからこれを機に徹底的に勉強して身につけてやろうって思ってるし、「自分も足りてないわー」って思った人も身に付けるために学ぶべき。

 

論理的であることの大切さについて論理的に語ってみる

ここ2週間ほどで3つの山に直面した。

1つは将来のプロジェクトのために越えるべき山
1つは今の仕事で越えないといけない山
もう1つは、将来のためでもあり、今の仕事のためにもなるので、どうにか越えたい山

それらの山を越えるために、共通で必要となったものは、

「自分の考えや提案を、聞き手に伝わるように伝えること」であり、

これを達成するには「論理的であること」が不可欠となる。ということが分かった。

もともと自分に論理的思考が足りてないことは理解していたつもりだった。
ただ、思ってた以上に足りてなかった。
順序立てて考えようとしても、思考が頭の中でぐるぐる回ってしまうの。

幸い協力してくれた人たちがいたこともあって、これらのうちの2つは何とか乗り越えることができた。
けど、残りのひとつは、時間の都合上おそらく達成は難しいだろう。
無念ではあるが、仕方のないことでもある。実力不足。

 

そもそも論理的になる必要があるときは、複雑なモノゴトを理解するときが多いと考えていた。
でもそれは間違いである。
自分の考えていることを相手に理解してもらいたいときに必要となることのほうがずっと多いのである。

「論理的であること」=モノゴトを理解しやすくなる

ではなく

「論理的であること」=自分の考えていることを相手に理解してもらいやすくする

ということなんだ。

つまり、論理的思考は、自分と相手をつなげる最強のツールのうちのひとつなのである。

今回の山越えで、ようやく頭に刷り込むことができた。気がする。