シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

グローバリゼーションの功罪

10月1月号のThe EconomistのLeader記事ではグローバリゼーションの功罪について述べている。

www.economist.com

この記事では、昨今のグローバリゼーションに対する批判は正しくないと指摘している。なぜならグローバリゼーションは人々により多くの機会を提供してくれるから。一般的に多くの機会がある方が良いとされているので、グローバリゼーションは良ものである。だから、グローバリゼーションそのものを批判するのではなく、そこから生まれるマイナスな部分を解決するように取り組むべきなのだと。

貿易の自由化から世界は数々の恩恵を得てきた。自由貿易が始まった1950年以降地球規模で生活水準は向上し、かつては8%だった貿易の占めるGDPの割合が今では20%までに上昇している。40カ国で実施された研究結果によると、保護貿易を実施した場合、富裕層の購買力は28%失う。一方で、貧困層の購買力は63%失うと言われている。移民が移民ホスト国に与える経済効果も小さくない。イギリスでは2001年から2011年の10年間で34億ドル以上の経済効果を英国に与えたのだ。

グローバリゼーションにも問題はある。自由貿易によって雇用を失う人々も存在するし、移民受け入れによって起こる弊害もある。企業が税率の低い国に流れてしまう脱漏問題が起こっている。だから、これらのマイナスの部分に対して議論を重ねながら解決していくことが重要なのである。雇用の問題に関しては、雇用を奪われた人々を救う政策を考えるべきなのだ。しかしアメリカではGDPの0.1%しかそういった対策に費やしていない。これは富裕国の平均の6分の1の割合となる。移民問題に対しては、うまく政策を行っている国の政策を見習えばいい。たとえばデンマークを見習い、地方自治と連携して対応するのも一つの手段であろう。企業の税金脱漏問題に関しても、政府と企業でどのようにして課税するかを話し合いお互いが納得できる点を見出すべきなのだ。

1840年代から自由貿易支持者は保護貿易は弱者ではなく強者に有利に働くと提唱してきた。彼らは今までも正しかったし、今も、これからも正しいだろう。自由貿易を続けるべきなのだ。

 

トピック:グローバリゼーションについて

問題:グローバリゼーションってお金持ちしか恩恵を受けられないんでしょ?

解決:そんなことはない、むしろ逆。グローバリゼーションは多くの人に恩恵をもたらすので続けるべきである。課題点に対しては政治家は積極的に解決に向けて取り組むべき。

若年層の投票率を上げて、政界のインセンティブを生み出そう

若年層の投票率を上げなければならない。でなければ、長期的な視点に立った政策を政府はいつまでたっても行わないからだ。今のままであれば、高齢者を意識した短期的な政策に終始してしまう。なぜならば政治家は高齢者の票を意識した政策を打ち立てるからだ。 

ここに日本における投票者の数を年齢別に表しているグラフがある。日本の年齢別人口にこれまた年齢別の投票率を掛け合わせて算出したものだ。

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 出所:総務省ホームページより著書作成

見て分かる通り、若年層(20代)の投票人口総数が圧倒的に少ない。比率で言うと、8%しかない。30代を合わせても22%にしかならない。一方、高齢者(70代以上)の投票人口総数は、16%。60代を合わせると40%にまで比率が上がる。こうなってしまうと、選挙で選出されるために、高齢者に支持されるような政策を考えるのは当たり前といえば当たり前だ。そして高齢者が支持するのは、自分たちに利益のあることが聞こえがいいはず。その結果、短期的な政策をメインに掲げることが多くなってしまうのだ。

 

もちろん短期的な政策がすべて悪いわけではないが、あまりにも目先のことを考えることに偏っているに思えてならない。大事なのはバランスだ。ではどうすればいいのか?長期的な視点に立った政策を考えることがインセンティブとなるようにすれば良い。つまり、若年層の影響力を政界への高めればいいのだ。一番手っ取り早いのが、選挙に行くこと。若年層の投票率を高めること。仮に、若年層の投票率が90%になれば、全体での割合が20%にまで上がる。30代の投票率も90%まで上昇するとすれば、20, 30代が占める割合は40%となり、60代以上の割合は31%にまで下がる。仮にこのような投票率分布になると、若年層の今は将来を考えた政策を考えるのも当然だろう。

 

「魅力的な政治家がいない」「どの政党もなんか信用できない」

 

言っていることは分かる。実際に自分も同じようなことを言って、投票に行かなかったこともなくはない。でも魅力的な政治家がいない(もしくは目立たない)のは当然で、それは彼らが高齢者を考えて政策を立てているから、ということも一つの理由である。そしてそうさせてしまっているのは、若年層自身の振る舞いが原因なのだ。卵が先か、鶏が先かということになるが、どっちが先でもいいじゃないか。とりあえず選挙に行きましょう。若年層の投票率を上げましょう。

英語が聞き取れない3つの原因

海外赴任が決まった友達の英語に対する悩みを解消するために、「英語が聞き取れない悩み」を掘り下げて分析してみた。

その友達だけでなく、その他ほとんどの日本人にも参考になると思ったので、ここに載せておく。

英語を聞き取れない原因を分析すると、大きく3つの問題に分解できる。
スピードの問題、発音やリエゾンの問題、理解スピードの問題である。以下で詳しく説明する。

1.スピードの問題

一番分かりやすい問題がこの「英語のスピードが早すぎるから聞き取れない」である。
話すスピードが速すぎて理解できないとう状態。実はスピードが速すぎて聞き取れない問題は比較的簡単に解決できる。

ひたする英語を聞くのだ。今は流行っているかはわからないが、スピードラーニングの類はここの問題の解決するための教材という位置付けとなる。他には海外ドラマをNetflixで視聴しまくるというのも一つの手だ。

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2. 発音やリエゾンの問題

次に直面するのが発音やリエゾンの問題。スピードにはついていけるのに、言葉一つひとつがなぜか聞き取れないという状態だ。これはネイティブが話す英語の発音やリエゾンを正しく理解できていないことが原因で生じている。リエゾンとは単語同士の言葉のつなぎ目を指すが、特にこのリエゾンの音を知らない人が多すぎる。

解決策としては、発音とリエゾンの理解をすることに尽きる。これらの理論・仕組みを説明している教材はたくさんあるので、詳しくはそれらで学んで欲しい。オススメを挙げておく。どちらも「簡単ではない」「繰り返しが必要」と当たり前であるが厳しいことを言っているが、言語学習の本質はそこにあると思うので自分との相性は良かった。

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3. 理解スピードの問題

最後に立ちはだかる壁が、理解スピードの問題。スピードにはついていけるし、一つひとつの単語も鮮明に聞き取れるようになった。それなのに理解できない。これは相手の話すスピードより頭の中で理解するスピードが劣っているから生じるのである。英語の字幕で映画や海外ドラマを見たことがあるだろうか?見たことがない人は試して欲しい。自分が字幕を読むスピードよりも、字幕が切り替わるスピードが速いことがあきらかになるだろう。これが話すスピードよりも理解するスピードが遅い現象である。

これを解決するには、まずは努力して読むスピードを上げることだろう。そのためには、英語での読書を一番オススメする。Netflixで英語字幕版を視聴しまくるのも一つの手段としては良い。

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今回は聞き取りに限定して紹介したが、ここで述べている発音やリエゾンの理解をすることはスピーキングの時にも役に立つ。自分でも正しい発音ができるようになるからだ。初期段階で発音やリエゾンの違いを知っておくことは今後の英語学習に多大なる影響を与えるので、ぜひ2ヶ月間だけは騙されたと思って取り組んでいただきた。

チリ建築家アラヴェナ氏が2016年度プリツカー賞

2016年1月13日、「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞の2016年の受賞者に、チリの建築家アレハンドロ・アラヴェナ氏(48)が選ばれた。低価格で住宅の設計を可能にするクリエイティブなアプローチで、社会問題を解決する取り組みを行ってきたことが評価された。

プリツカー賞のサイト(英語)
Announcement: Ale­jan­dro Ara­ve­na | The Pritzker Architecture Prize 

 

wired.jp


このブログでもアラヴェナ氏の記事を取り上げさせてもらっただけに、自分も勝手に喜んでる。(過去記事は下記参照)

今後のますますの活躍にに期待。

 
過去記事、アレハンドロ・アラヴェナの建築哲学を考察。

shimauma-house.hatenablog.com

 

過去記事、TED Talkにてアラヴェナ氏の講演を解説したもの vol.1

shimauma-house.hatenablog.com

過去記事、TED Talkにてアラヴェナ氏の講演を解説したもの vol.2

shimauma-house.hatenablog.com

過去記事、TED Talkにてアラヴェナ氏の講演を解説したもの vol.3

shimauma-house.hatenablog.com

 

30日間走ってみてわかった3つのこと

MAT CUTTS氏は2011年に行われたTED Talksの講演で、次のようなことを話していた。
「30日間新しいことにチャレンジすれば、次の3つのことが得られる。まず1日1日が貴重だと感じられる。さらに自信もつくので、他のことにもチャレンジしやすい。そして、何か本気でやりたいことがあるならば、30日間あれば何だってできる。小説家にだってなれる。もちろん、30日間継続するってのは、けっこうタフなことだけど、 小さなことであれば、継続できる。それを続けられれば、習慣として身に付けることができる」
3分しかない講演だったが、すごく印象に残っているし、実践的であるなと感じた。

というわけで、CUTTS氏に見習って、ずっとやりたかったこと(ずっとやらなきゃと思っていたこと)「身体を動かすこと=毎日少なくとも20分は走る」に30日間チャレンジしてみた。

今日は、30日間走り続けてみてわかった3つのことをここに書くことにする。

1. 身体(私の場合は腰)の調子が良くなる

体重や体脂肪が減るといったことよりも恩恵を受けたのは、身体の調子が良くなったことだ。仕事は常にデスクワークなので、よく腰が痛くなっていた。しかし走り始めたことをきっかけにすっかり良くなった。これは、走ることによって全身の筋肉が弛緩され、血流が良くなったことが要因だと思う。

2. 生活リズムが整えやすくなる

2015年の7月からアメリカに住むようになったのだが、日本に住んでいた頃の生活と比べると”時差”に適応しなければならない機会が圧倒的に増えた。日本に帰国するときはもちろん、アメリカ国内での移動でさえ時差の影響を受けるからだ。そうなると夜に寝付けない問題によく直面していた。しかしながら、日中のうちに走ることで、身体は疲労を感じることになる。そうなると、ベットに横になると自然に眠りにつけるようになったし、寝つきもよくなったのだ。今では時差の影響をほとんど受けずに生活できるようになった。

3. 自信がつく

ここはCUTTS氏の意見と同じ。ひとつのことを毎日こつこつ続けられたという事実があると、それが自信となって「新しいことも続けられるんじゃないか」と思うようになるのだ。何だってできるし、何にだってなれるのだ。

とは言うものの、毎日同じことを継続して続けるのはかなりタフな行為だ。たとえ10分だけのことでも続けるのは容易ではない。コツがあるとすると、月並みではあるが、「その日中にやるまで寝ない!」といった類のルールをつけることだと思う。

 

CUTTS氏の講演の最後部分が何度見ても心に響く。

好むと好まざるに関わらず、次の30日間は必ずやってくる。だったら、ずっとやりたかったことをやろうよ。君は一体何を待ってるんだい??

 

www.ted.com

なぜ米国は利上げに踏み切ったのか?

米国の金利を上げることになるそうだ。

米国の金利が上がるとなると、米国にはどんな影響を与えるのだろう??

まず、金利が上がることによって、借りる側の人間は今までよりお金を借りなくなる。金利上昇分を多めに払わないといけなくなるからだ。そのため、消費活動は減速すると見られる。
消費活動が減少すると、その分まわりまわって人々の所得も減少することが予測される。誰かの消費は、誰かの所得だからだ。よって、この観点からすると米国経済に対してはプラスには働かないのである。

 

では、なぜ米国経済にプラスに働かないのに金利を上げるのか??

ひとつは、インフレを防ぐため。2015年現在、米国経済は良い兆しを見せている。一時は10%近くあった失業率も今では6%を下回るまで落ちてきている。2008年には-3%付近まで落ちていた経済成長率も現在では安定的に2%後半を維持できている。そうなると心配になるのはインフレ=物価上昇である。経済が成長し続けると、消費も増え、物価も上がる。それが続くとバブルに陥るリスクが高くなる。経済がバブルとなって、はじけてしまうリスクを減らすために、金利を上げるのだ。

もう一つの理由は、今後やってくる不景気に備えるため。景気はよく波に例えられることが多い。上がることもあれば、下がることもあるからだ。現在の米国経済は波の上がり始めているところである。おそらくもうしばらくは波が上がり続けるだろう。しかしながら、波はいずれ峠を超え、次第に下がっていく。その下がっている状態のときの予防措置として、金利政策は重要な役割を占めることになるのだ。まさに今回の逆で、景気が悪いときに、景気を刺激するための手段として、金利下落というカードを持っておきたい。というのが政府の意思だ。

 

というわけで、米国政府は、経済がバブルとなる予防として行い、かつ将来懸念される不景気に備えた「カード」を生み出すために利上げの判断をした。その結果、消費活動は減速することが予測される。ただ、今回の政府が利上げに踏み切れたのは、今回の利上げ幅程度では経済は減速することはないだろうと判断したからである。

米国民の消費活動の推移に着目すると、今回の判断が正しかったかどうかが分かるだろう。

チャップリンは何を思うか?

今この世界で起きていること。チャップリンがもし生きていたら何を思うんだろうか。
きっと悲しむんだろうな。

You have the love of humanity in your hearts.

どうか憎しみに打ち勝ちますように。

 

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