シマウマ de 考察

海外駐在5年目突入のリーマンが書くブログ。最近はThe Economistの記事を中心に書いてます。

フックと本質的な価値

問題解決型デザインではないデザイン。スペキュラティブ・デザインの記事を前回書きました。

その記事では、ロンドンを拠点として活動している「Superflux」が紹介されている記事も紹介しています。

Superfluxが行った一つの活動に、自宅のWi-Fiを無料に解放するプロジェクト「Yellow Chair Stories」がありました。

2005年に行われたその活動は、当時では考えられなかったWi-Fiの無料解放を自宅の前で行うということ。10年前のネット環境は、ロンドンでさえも今ほど整備されていたわけではありません。自宅のWi-Fi回線を他者と共有することはその回線自体が遅くことになるので、むしろ敬遠するのが当たり前でした。

そんな時代に行われたのがYellow Chair Storiesプロジェクト。

きっかけは「無料でWi-Fiを使える環境があってもいいんじゃないの?」とういうスペキュラティブ型デザイン思考から行われたものです。

プロジェクトの内容は、家の前に黄色のビビットカラーに塗られた椅子の上に、「Wi-Fi無料解放中」と書かれた看板を置くという至極シンプルなもの。

そのうち、興味本位に椅子に座ってパソコンを利用する人が少しずつ現れるようになり、近隣同士の対話も生まれるようになったと言います。

 

人が継続的に集まる場所とは?

さて、なぜわざわざ改めて今回の投稿をしているかというと、このプロジェクトに携わったアナブ・ジェイン氏の言葉にスペキュラティブ・デザインという考えを知る以外にも学ぶところがあると感じたからです。

「ただ場所を提供するのではなく、人々が求めているものは何かを考え、そのツールを提供することからコミュニティは生まれるものです。このプロジェクトの場合、黄色い椅子が”フック”になってはいるのですが、当時から、無料Wi-Fiの需要はそれなりにあったということですね」

この言葉をもう少し自分の頭に入るように置き換えると以下のようになりました。

・人々は単なる場所に魅力を感じるのではなく、その場所を通じて得られる何かしらの価値に魅力を感じる

・その価値を感じてもらうための工夫が必要。ジェイン氏は”フック”と呼んでいる。悪い言い方をすれば、客寄せパンダ。

・人々が継続的に集まる場所でコミュニティが形成される。対話が生まれる。

よくよく考えてみると、人が集まるところって、そういった工夫がされていることに気がつきます。

たとえば、家の近くにある飲食店の1つは「餃子0円」という”フック”を使っていたます。

観光地の話をすると、観光名所が”フック”になっている。東京で言えば、浅草の浅草寺東京スカイツリーなどでしょうか。

しかしながら、それらは単なる”フック”であり、そのフックにひっかかって集まっただけであり、決してそれらの場所に対して魅力を感じて集まったわけではないのです。

「餃子0円」の飲食店であれば、そのお店の他の料理や、雰囲気、サービスが本質的に顧客が感じる価値が大事になるでしょう。したがって、それらの本質的な欲求を満たさなければ、継続的にやってくる人は少ないでしょう。

東京スカイツリー」の良さを全面的にうち出したとしても、その街自体の雰囲気や、住んでいる人々の雰囲気が観光客のニーズにマッチしていなければ、再度訪問してくる観光客は少ないでしょう。

”フック”のみに固執したり、”フック”を増やす活動をするのではなく、”フック”の先に感じる本質的な価値が何であるかを見極めて、提供することが必要なのではないでしょうか。

そんなことをジェイン氏の言葉から感じ取ることができました。

「問い」を生み出す!スベキュラティブ・デザインとは?

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デザインとは問題解決である。

僕は長らくこの考えを持っていました。もう少し詳しく言うと、デザインとは現状をよりよくするための問題解決をする行為であり、それを実現させるために具体的なものや仕組みを作り上げること。だと思ってました。

具体的な例をあげると、情報を受け手に分かりやすいようにデザインするインフォグラフィックスがあります。

統計情報がある。でもその生データを横流しにするだけでは、伝えたいメッセージが受け手に伝わらないことが多い。そこで情報を”デザイン”することによって、生の情報を与える場合に生じていた問題を解決するのです。それがインフォグラフィックスの役割になります。

建築の話に目を向けると、たとえば、チリの建築家であるアレハンドロ・アラヴェナはデザインの持つ力を利用して、限られたリソースの中で都市の抱える問題を幾度となく解決しています。

しかしながら、必ずしもデザイン=問題解決だけではない。という考えがあることを最近知りました。問題解決ではないデザインとは何か?

「スペキュラティブ・デザイン」です。

 

今の世界に違った視点を提示する

スペキュラティブ・デザインは、問題解決型のように「未来はこうあるべきだ」と提唱するのではなく、「未来ってこうもありえるんじゃない」という憶測を提示し、問いを想像することができるのである。

これからの社会はどうなっていくのかを考え、未来のシナリオをデザインして、いまの世界に違った視点を提示することができるのです。

詳しくは下記WIREDの記事をご覧ください。

wired.jp

この「未来をスペキュライトする」考え方ですが、どこかで聞いたことあるな〜と思って考えてみたら、デザイナーである原研哉氏の考え方に近いものがあることに気づきました。

 

「機前のデザイナー」原研哉氏の考え方

彼は自身のことを「機前のデザイナー」と表現しています。

「機前」とは、コトが成就する前の段階のことを言う意味だそうですが、原氏はデザインの役割とはこのような「機前」の構想を次のように説明しています。

「機前」の構想とは、多くの人と共有できるようなビジョンとして描き出すことである。そしてそのビジョンと構想を多角的に発信し、それを受け止めてくれる人とつながっていくことで、機前で終わらせるのではなく実際のサービスとして確立することができるのだ。

www.projectdesign.jp

やはりスペキュラティブ・デザインと考え方が似ています。そしてこの考え方こそが、付加価値がなかなか生み出せなくなってしまったこの国において、必要なものであると強く感じました。

 

まとめ

考えを整理するためにまとめます。

問題解決型デザインではないデザインがスペキュラティブ・デザイン。今の世界に違った視点、あるいは未来の視点を提示することが役割である。この考え方は、日本のデザイナーである原 研哉の考えている「機前のデザイン」と根本的な部分は同じ。そしてその考え方は、日本で重要となるであろう。

玄関前に見知らぬゴミが捨てられていたら ~ 近所トラブルから当事者意識の重要性を学ぶ

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日常のご近所トラブルから、当事者意識を持つ重要性を改めて感じた、というのが今回の話。会社を良くするためにはもちろん、近所付き合いや、家族内等、あらゆる組織・集まりにおいて、各々が当事者意識を持つことが、社会を良くするためには求められるのである。そんなことを感じた一日だった。

 

玄関前に見知らぬゴミが捨てられていた

今朝のことである。70L用の見知らぬゴミ袋が3つ、玄関の前に置かれているのを発見。

出社前で急いでいたということもあり、不可解に感じながらも通り過ぎ、家から5mくらい離れたゴミ置場へ自宅のゴミを捨てる。そのまま駅へ向かおうとすると、道の脇から近所に住んでいると思わしき老年の男性が、

「そのゴミはちゃんと分別してる?昨日分別してなかったゴミは、家の前に置いておいたから!」

 「えっ??」

ようやく気づいた。要するに、玄関の前にあったゴミは、私が疑われた結果であるということを。

話かけてきたおじいさんは片岡さん(仮)と言う。定年を迎えて10年以上は経ったといったところだろうか。自宅から路地を挟んだ向かいの列にある一軒家に住んでいるらしく、どうやら彼はこの近辺のゴミ収集カゴの管理責任者のようだ。

片岡さんは、昨日、缶もペットボトルが分別されていないゴミ袋が3つ、片岡さんの隣にある宮脇さん(仮)の家の塀前に。無造作に捨ててあったのを見つけたらしい。

宮脇さんを気の毒と思った彼は、この近辺で一番疑わしい存在(ゴミ捨てのマナーを守らないと言う意味で)である私の家の前に、そのゴミを移動させたというのだ。

疑われた理由は想像に難しくない。というのも私は若者4人のシェアハウスに住んでいるからだ。しかし、根拠もなしに、それだけの理由で、人を犯人扱いするのはいかがのものか?一応彼に理由を尋ねると「君たちが一番怪しかったから。宮脇さんも困っていたし」と片岡さん。

そのとき込み上げてきた感情は、まずは何とも言えないやるせなさ、そして、怒り。しかしながら、それらの感情は押し殺し冷静に状況を説明する。

・この家に3年以上住んできたこと。
・その間、ゴミの分別をしてきたこと。家にある分別用のゴミ箱まで彼に見せた。
・この3年間、このような事態がなかったこと。

そんな努力の甲斐もあり、なんとなく我々にかけられている疑いは晴れたのだが、問題は続く。放置されたゴミをどうするのかという問題である。

 

放置されたゴミを誰が片づけるのか?

急いでいた私は言う。「玄関前にあるゴミ袋は、どこか別のところへ移して下さいね。」

しかし「それはできない。宮脇さんが可哀想になるから」と片岡さん。

我々のゴミじゃないので対処してくださいよ。とこちらが伝えると、

「じゃあどうやって対処したらいいのか教えてよ。」と彼は言う。

このやりとりが何回か繰り返される。しかし、出社の時間が迫っていたので、結論が出ないまま、とりあえず話を切り上げて、その場を後にした。

朝の、おそらく1日でもっとも生産性が高められる時間に、無分別で大量のゴミを捨てた犯人に疑われた挙句、その疑いが晴れると今度は対処法を求められるという、あまりに理不尽な経験をした。

だから、片岡さんに対しては「根拠なしに人を疑い、自分を守ることしか考えない。しかも、自分で考えて解を導かない最低な人だ」くらいに思っていた。

その直後は。

でも、一度冷静に今回の出来事を振り返ると、片岡さんにも良い点があること、そして自分にも反省するべき点があったことがわかってきた。 

 

当事者意識がある人とない人の行動は大きく変わる

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まず片岡さんの良い点について触れたい。

まず彼には責任感があった。宮脇さんという他者を救いたい、という想いがあったから、このような行動を移したのである。

対処方法がどうであれ、人のために動いた事実は評価すべきところであると、冷静になった今なら客観的にそう思える。

ただし、対処方法についてはもっとよく考えるべきであった。ここが彼の改善点。彼に必要だったのは、彼の行動が周りにどのような影響を与えるのかを考えることだ。視野を広くし、豊かな想像力を鍛える必要がある。

次に自分の反省点を考える。

まず冷静さを失ったこと。根拠なしに人から疑われた事実に対して、そして自分で引き起こした問題にも関わらず自分で考えようとしない態度に、冷静さを失ってしまった。その結果、余計に被害者意識が高くなり、彼と一緒に解決策を考えてあげることができなかった。

これには当事者意識の欠如も起因していると思っている。

もし「住んでいる町は自分たちで良くしていかないといけない」という意識を持っていれば、今回のゴミ放置問題に対して、片岡さんにもっと協力的になれたはずである。それを考えると、今回の自分はかなり無責任だったなと反省。 

 

玄関前に見知らぬゴミが捨てられていたら?

とういわけで、もし今後、玄関前に見知らぬゴミが捨てられていたら、次のことを行うようにする。

  • どこかの誰かが困っていた可能性があることを想像する。
  • 自分の街は責任を持って綺麗にする、という当事者意識を持つ。
  • それらを考えた上で、自分の手で分別してゴミを捨てる。

決して気持ちいい経験をしたわけではなかったが、悪くない経験だったのではないかと今は思う。特に、当事者意識の重要性を確認できたことは今後の大きな財産になるだろう。そういったこともあるので、今回は当事者意識を持って行動をした、片岡さんを褒めたい。

今度会うことがあれば、笑顔で挨拶しよう。

Airbnbの今後の展開が楽しみ

このブログでも紹介したAirbnbが200億ドル(日本円でいうおよそ2兆円)の資金調達ができそうな段階であるというニュースを目にして凄いなと思ったので。

Airbnbはユニークな宿泊施設を予約・掲載・発見できるソーシャルネットワーキングサービス。

一般の人の住んでいる家の空き部屋に宿泊できるところがユニークな点です。

今やUberと並ぶシェアリング・エコノミーの先陣を切るサービスとなってます。


Airbnb、評価額200億ドルの大型調達ラウンドを準備中 - TechCrunch

 

ちょこっと違和感のある訳文なので、原文も載せておきます↓

Airbnb Is Raising A Monster Round At A $20B Valuation | TechCrunch

 

何が凄いかっていうと、個人的には以下の2点。

 

1. 設立してから時間が経っていないところ(2008年に設立)

一つ目は、設立から間もないのにこれほどまでにサービスが大きくなった点です。

Airbnbの成り立ちについて、分かりやすく面白い動画を見つけたのでシェアリングします。

全部英語ですが、、、


How AirBnB Started - YouTube

 

分かりやすいインフォグラフィックスまでありました。

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思い立ってから行動に移すまでの速さが印象的です!!

 

2. 固定費用の少ないビジネスモデルにも関わらず資金を獲得できそうなところ

このビジネスの強みは、固定費用が少ないところにあります。

宿泊業は、固定費用の負担がかなり大きなネックになっています。具体的には、家賃とサービスを維持するための人件費です。およそ6割くらい。しかし、このAirbnbサービスの凄いところは、それらの大きなコストは当事者、つまりサービスを使う人々に負担してもらえるところなのです。それは本来の宿泊業なら多くのし掛かるであろう固定費の負担が少なく済むのです。むしろ家賃やサービスを維持する人件費はタダの可能性まであります。

Airbnbという会社にかかるコストとしては、おそらく、サイト運営費、販促費、損害賠償費などでしょうか。

そんな彼らが新たに資金を調達できることが凄いところなのです。明らかに、何かにしらに投資をするんでしょうね。
今後Airbnbが新しい展開を巻き起こすんじゃないかと期待してます。

 

日本での広がりについて

190カ国以上の国で累計3,000万人以上に使われているAirbnbサービスですが、
個人的な意見としては、このサービスは日本ではそこまで広く普及しないと考えています。
理由としては、以下の3つを挙げる。

1. 日本人は英語が苦手だから

このサービスの最も多いゲストユーザーとされるのは、日本の場合は、日本国外からの旅行者であると考えています。したがって、ホスト側には英語もしくはそれ以外の言語の対応が求められます。

しかしながら、悲しいことに日本人の大半は英語に対しての苦手意識が強いのです。東京などの都心ではなく、地方に行けばそれはもっと顕著であります。その結果、海外からの旅行者がAirbnbを通して、いわゆる古き良き日本家屋を求めたとしても、その需要に答えられるホスト側の数が圧倒的に少なくなってしまうのです。

2. 日本にはウチとソトの文化があるから

ウチとソト。昔っぽい考えであると思われがちですが、意外と今の若者にもこの考えは多いです。身内や友達には親密に接するが、そうでない人々とは冷たいというよりも無関心な状態を保ちます。電車に乗っていたらそれは顕著に見られますね。

また、家族以外の人といっしょに暮らす経験をしない人も他国と比べて圧倒的に多いと考えてます。そういった人々は、家という”ウチ”なる環境に”ソト”の人を招き入れたくないと思うことが多いと判断できます。そのような理由からホスト側、つまり空き部屋供給者が他国に比べて少なくなると予測しています。

3. Airbnb自体が日本に投資しないから

そもそもAirbnb自体が日本の市場に目を向けていない可能性が高いんです。AirbnbのCTOであるNathan氏は、米国、豪州に続くターゲット地域としてアジアを挙げていました。が、アジアと言ってもシンガポールタイ王国インドネシアといったを国を指しているんです。結果として、日本にそこまで力を注力してサービスを普及させないのではなかろうかと思っています。

 

というわけで、飛ぶ鳥を落とす勢いのAirbnbの今後の展開にかなり期待しています。でもその一方で、日本ではそこまでサービスが普及しないんだろうな〜と思う今日この頃でした。

 

 

これから利益の話をしよう 「ゲストハウス編」

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ゲストハウスを運営したい。

けど、始めたとしてもうまく運営できるか不安。利益は出せるの?そもそも利益構造ってどうなっているの?

というわけで、今回はゲストハウスを立ち上げたときに得られる利益がどれくらいなのかをシミレーションしてみたいと思います。

より具体的な方が考えやすいので、今回は長野にある知人所有の空き家をモデルケースとして、勝手に妄想して利益構造を考えていくことにしました。

 

まずは物件の基本情報。

場所:長野県駅と善光寺の間に位置する所。ほぼ中央通り沿いで立地条件◎

占有面積:98.5㎡

物件種目:2F建て木造建築

 

コンセプトとターゲットの設定。

コンセプト:異文化交流が気軽に楽しめる空間にする 旅行者 x 地元の人

ターゲット顧客:外国旅行者がメイン

 

さてここから収益の話になってきます。
利益計算の仕方はこのようになります。

利益=売上 - 費用

 

売上は客数と客単価の掛け算

まず売上から算出すると、

売上=客数 x 客単価

もうちょっと細かく分解すると、

売上=  (ベッド数 x 稼働率) x 客単価 

となります。

宿泊代オンリーの計算にしたいので、売上構造は上記のようなシンプルなものになります。

客数を考える

お客様が最大で何人泊まれるのか?をはじめに考えます。

1Fはみんながくつろいで集まれる共有スペースも確保したいので、宿泊できる部屋は2Fのみにします。

8畳 x 3部屋あることたします。すると、そのうちの2部屋はドミトリーとして使用。合計で8人の方々泊まれるようにします。

そして残った1部屋は個室にします。

客単価を設定する

ここもあまり難しく考えずに、今回は巷にあるゲストハウスの相場をもとに算出します。

勝手にモデルとさせてもらっている物件がある善光寺付近に、1168 バックパッカーズという素晴らしいゲストハウスがあります。大きさもおおよそ同じくらいなので、そちらの価格帯を参考にさせていただきます。


長野の安宿 1166 バックパッカーズ /長野 ゲストハウス 部屋 rooms

サイトを調べてみると、

ドミトリー 2,600円、個室が1~2人で5,600円、3人だと7,200円になってます。

あくまで妄想ということなので、計算しやすいように端数を修正。

ドミトリー 3,000円、個室で6,000円としちゃいます。

稼働率を調べる

1ヶ月の稼働率については、ドミトリーが60%、個室が50%とします。

都会のように、人で溢れかえる訳ではありませんが、善光寺という秀逸なコンテンツと、3月14日から開通する新幹線のおかげで改善した利便性の良さが長野駅にはあります。だからなんとか頑張れば50 - 60%の稼働率は確保できるんじゃないかなと予想しました。

よって

ひと月の売上は

ドミトリー:8床 x 稼働率(60%) x 3,000円 x 30日 = 432,000円

個室:1部屋 x 稼働率(50%) x 6,000円 x 30日 = 90,000円

合計: 432,000円+ 90,000円 = 522,000円

 

費用は原価と販管費および一般管理費の和

ここからは費用の計算に入ります。

費用 = 原価 + 販管費および一般管理費で表すことにします。

固定費、変動費の概念は今回はもちこみません。 

原価を算出する

一番大きくかかる費用は家賃。

HOME'Sで戸建賃貸の物件情報を見ると、長野駅付近で築40年くらいのものは安くても100,000円くらいはすると推測。よってちょっと多めに見積もって家賃は120,000円。

次に光熱費。ここはざっくりと80,000円と推測しました。

内訳は、水道費 25,000円、電気料金 15,000円、ガス料金 20,000円、通信費 20,000円。

あとは、リネンの取り換え代やらトイレットペーパーや洗剤などの消耗品取り換えで月に10,000円かかるとします。

したがって、原価は家賃120,000円 + 光熱費 80,000円 + 消耗品 10,000円= 210,000円となりました。

つまり、粗利益 312,000円、粗利益60%となるということか。

販管費・一般管理費

今回考えられる販管費は、販促費くらい。

販促活動を、Webサイト構築費用のみであるとすると、サーバ運営費で約5,000円くらいかな。

次に一般管理費、一番かかるのは人件費。メインの管理者を一人置くとして、その人の人件費は月に150,000円くらい。アルバイトの方をヘルプで雇ったら、月70,000円くらいかな。

トータルの費用を算出すると、

原価210,000円 + 販管費及び一般管理費 225,000円 = 435,000円と出ました。

 

最終的に残る利益はいくらになるの?

ここで営業利益が算出できるようななります。

売上 522,000円 - 費用 435,000円 = 87,000円

営業利益は 87,000円、営業利益率 16.7%となるということですね。

営業利益率16.7%っていうのは業界的にはなかなか悪くない数字。(←またこの業界の利益構造もアップしますね。)

しかし、忘れてはいけないのが初期費用。

物件改修費や設備購入費(寝具からそのへんのものすべて)も自分たちの利益から賄わなければいけません。

100㎡未満とそう大きくない物件でも、改修費にはおよそ5,000,000円ほどかかります。設備購入費、つまりベッドや棚、照明器具が仮に1,000,000円かかったとすると、トータルでは6,000,000円。

今回算出した営業利益の80%となる70,000円を初期費用につぎ込むと仮定すると。

返済するのに必要な日数は、

およそ85ヶ月、つまり7年で6,000,000円が返済可能となる。

 

ちなみに初期費用のために支払う70,000円を営業利益から差し引くと

最終的に手元に残る利益は17,000円、利益率は3%となります。

 

ここから税金が関わってくるが、長くなりそうなのでその話は今回は割愛。

 

ん〜なかなか厳しい現実。

初期費用とランニングコストでかかる家賃と人件費を極力抑えることができなければ、利益ぎりぎりの営業体制になってしまいます。もしこのモデルでやる場合は、絶対に潤沢な現預金が必要となるだろうな。

 

結論は、、、

ゲストハウスを運営する場合、収入源が宿泊代のみからだと、かなり厳しい。それを実現するとしたら、初期費用を含めた費用を抑えることが必要になる。ただあまりにも抑えすぎると、来ていただくお客様の満足度を下げてしまう質の低いサービスを提供していまう可能性が増しそうなので、注意が必要である。それよりも宿泊代以外での収益を確保することを考えた方が懸命である。

 

「自分のアタマで考えよう」にあるちきりんの思考プロセスを推測してみた

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

 

2011年に発売されたちきりん女史によって書かれた「自分のアタマで考えよう」を再読しました。得るものがかなり多かったので、忘れないうちに書き残しておきます。

この本はちきりん女史が、「考えるってよく分からないな〜」「何から考えたらええの〜」と悩んでいる人、いわゆる考える初心者に向けて書いた本だそうです。
本書の流れを簡単に説明すると、まず考えるとは何か。という説明から入り、自分の頭で考えることと、知っている知識を頭の中から持ってくることの違いを説明してくれています。
次に、実際にいくつかの考えるための方法を身近な具体例を交えて分かりやすく説明してくれています。
最後に、考える材料となる情報をどう集めるのか、そしてどのようにしてストックしておくのか、といった情報に対する向き合い方を分かりやすく教えてくれています。
 
初心者向けということで、かなり基礎的な部分を、ちきりん女史の持ち味である飲み会で友達が話している口調で書かれています。ものすごく平易に書かれているので一見、浅くゆる〜い本だと感じてしまうかもしれませんが、内容はものすごく濃いので、とても得ることが多い本です。

ちきりんの考え方を推測してみる

この本の1番価値のあるところは、あるテーマに対するちきりん女史の考えのプロセスを辿りやすいところにあります。辿りやすい理由は以下に挙げます。
  1. 考えのプロセスを本当に細かく書かれている
  2. 身近なテーマを取り上げている
  3. 分かりやすい口調である
では少しだけちきりん女史の考えるプロセスを辿ってみましょう。ここでは第2章で取り上げられている少子化問題について、ちきりん女史の考え方を書いていきます。とは言うものの、この部分はあくまで私の推測です。ちきりん女史がどんな風に少子化問題に対して考えを出したのかを私が勝手に推測していくだけです。
 
ちきりん女史はこの問題を考えるにあたって、2段階の考えるアプローチを行ってます。
 
アプローチ1 少子化問題の原因は何か?
もともと少子化問題に対して関心があったちきりん女史。彼女が気になったのは、少子化問題の原因について。ここで彼女なりの仮説を立てます。
 
仮説:少子化問題出生率の低下が一番の原因である。
検証:本当だろうか?
 
ここで事実データを用いて仮説の検証に入ります。まず仮説を検証するために必要であろう出生率のデータを集めます。そこでデータの「なぜ?」つまりデータが示している背景を論理的に考えていきます。具体的な方法は本書に書かれているのでここでは割愛。
すると、検証の結果少子化問題の一番の原因は、出生率の低下ではなく、親世代の人口の減少であるとうことが分かります。(出生率という言い方も正式には合計特殊出生率であることも分かる)
つまりこの時点でちきりん女史は、もし少子化問題の対策をするには、親世代の人口を増やす施策が必要であるという見解を持つことになります。
 
アプローチ2 少子化問題を解決する必要があるのか? 
少子化問題の原因が親世代の人口減少にあることがわかりました。ここから次の段階に入ります。「少子化ってそんなに問題なの?」「解決する必要があるの?」ということに主題が移ります。
ここでふたたび仮説を立てます。
 
仮説:少子化問題は食い止めるべき問題である。なぜならば、このままのペースで少子化が進むと、将来的に人口構成バランスが崩壊するから。その結果、労働者世代だけでは高齢者世代を「お金」「人手」の観点から支えることができなくなる。
検証:ここで事実データを用いて仮説の検証に入ります。
 
仮説を検証するために必要であろう人口構成比率の推移が分かるデータを集めます。検証方法は、この場合だと、データに対して「だからなんなの?」とツッコミを入ることになります。なぜならば、今回は人口比率がいびつになる原因よりも、いびつになった先を知りたいからです。ここでも詳しくは本書を参照。
検証の結果、2050年の人口構成の予測値では、60歳以上比率が40%以上となることがわかりました。
こうなるとやはり、仮説の段階で考えていたことが正しいと言うことができるようになります。
具体的には、「お金」に関しては、稼ぐ人口が少なすぎて、稼がない人を扶養できなくなることと、
「人手」に関しては、高齢者の世話をする人手が足りなくなることが起こることの2つです。
さらに付け加えると、少子化問題はこれら2つの問題だけでなく、産業構造の変化や社会の活気の消失などといったさまざまな問題を引き起こすだろうと予測することもできます。
 
この辺りで、ここまでのちきりん女史が考えてきたことをまとめてみると、
1. 少子化問題の原因は、親世代の人口減少にある。
2. 少子化問題が続くと、人口構造がいびつになり、特に「お金」「人手」の問題を引き起こしてしまう。
したがって、少子化の問題を解決すること、つまり親世代の人口現象を食い止めるが必要である。
となりました。

仮説を立てるということ

こういった具合で、ちきりん女史の考えプロセスを実際に辿ることができました。プロセスを辿るのはこのあたりで終わりしておきますが、このプロセスを辿る行為をすることによって、彼女のモノの考える起点がどうなっているかを垣間見れることができました。
・疑問に対して、まず彼女なりの意見を仮説ベースで立てる。
・仮説を立証するためのデータを収集して分析する。
・疑問(興味)→仮説→仮説の立証(情報収集と分析)の繰り返しです。
他の章でも基本的にはこの考え方に沿っていました。(やってみてください)
 
こうしてまとめてみると、あることに気づきます。
「これって“イシューからはじめよ”で言ってた考え方と似てるな~」てことです。
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

 
この本がうたっているのは、以下のことに集約されます。
1. イシューを考える
2. それからイシューに対して仮説→検証を行う
そうすることで価値のあるアウトプットを生み出すことができるということ。
 
今回、ちきりん著の「自分のアタマで考えよう」の再読を通して、「イシューからはじめよ」との関連性を見つけ出せたのは個人的にはかなり価値のあることでした。さらには、なぜ?だからなんなの?を考える箇所も、年初に読んだ「考える技術・書く技術」ともリンクするところがあったので、その発見も良かった。まあ、どの著者もマッキンゼー出身者だから、同じような考えを提唱しているんだな。ということになるかましれませんが。
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

 
入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法

入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法

 

今回の再読を通して、ちきりん女史の考えるプロセスをクリアにできてかなり良かったなと思います。そして他の書籍とも関連付けて理解を深めることができて良かったです。

 ぜひ、皆様にもこの「著者の考えるプロセスを推測する」こと行い、自分のアタマで考える制度を高めてみてください。 

ちきりん流・思考の11のルールを勝手にグルーピング

最後に、ちきりん流思考11のルールを勝手にグルーピングしてみました。
この方が自分の中の記憶に残りやすいので。
 
イシューを決めて、仮説(決めるプロセス)を立てる
・最初に考えるべき「決めるプロセス」
・判断基準はシンプルが一番
 
論理的に組み立てて、分析する
論理的組み立て
・「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと
・あらゆる可能性を検討しよう
・レベルを揃えて考えよう
 
分析
・縦と横に比べてみよう
・グラフの使い方が「思考の生産性」を左右する
 
情報の集め方、保管の仕方
・情報ではなく「フィルター」が大事
・データはトコトン追い詰めよう
・知識は「思考の棚」に整理しよう
 
最後までお付き合いありがとうございまいした。

キャノン?ニコン?一眼レフカメラを買うときに持っておきたい2つの着目点

「一眼レフカメラの購入を考えているんですけど、キャノン?ニコン?どっちを買えばいいでしょうか?」

という質問をこの前受けました。

 

質問者であるミドリ(仮)は迷っています、どちらのメーカーわ選べばいいのかどうかを。

なぜ彼女は迷っているのか?

それはおそらく何を基準にしてカメラを選べばいいのかが分かっていない”からでしょう。

そうすると、私がミドリに対してしてあげることは、

普段プロやカメラ玄人が一眼レフカメラを購入する際に着目する点を教えてあげるということだと思うのです。

 

というわけで今回はプロやカメラ玄人はどんな点に着目しているのかをみていきましょう?

・メーカー毎の特徴に着目している

・実は自分の五感に頼っている

ざっくり分けてこの2点です。

 

まず大前提として、キャノン・ニコン両メーカーのカメラはどちらも性能は優れています。

現に世界の一眼レフカメラ市場を見ても、そのことは明確です。

全体のおよそ80%をこれら2つのメーカーが占めているのですから。

(2013年度レンズ交換式カメラ世界台数シェア:キャノン44%、ニコン34%、キャノン、ニコンの実績よりシェアを推定)

だからまあどちらを選んだとしても後悔しないと思うんです。

 

ただそれを言ってしまっても、ミドリさんの抱えている問題の解決にはならないので、プロの着目点をいっしょに見ていきましょう。

 

メーカー毎の特徴に着目している

さて、遜色のない性能を携えている両社のカメラなのですが、細かい性能の特徴を見ていくと、実は違いがあるんです。

というのもそもそもの開発思想が違っているからなのです。

その違いが最終消費者に届く製品にもしっかりと反映されているのですね。

 

キャノン:「写真を見る側」を意識

ニコン:「写真を撮る側」を意識

 

「写真を見る側」を意識して作られたキャノンのカメラ

キャノンのカメラは「写真を見る側」のことを意識して製品を開発していると言われています。

実際の目で見たものよりも、”綺麗に”写るようにカメラ自身で色やコントラストを補正しているのです。

白色に強いのが特徴的で、綺麗な純白が繊細に映し出すこともできます。

ブライダルの商材やモデルを撮影する場合には「美しさが表現できるキャノンのカメラ」で撮られてることが圧倒的に多いのがその理由の一つです。

肌感も綺麗に写せるので、ポートレートにも適しています。

シャッタースピードニコンより早いことも有名な話。

スポーツ中継でキャノンのカメラマンをよく見かけるのはこういった理由からなんですね。

 

「写真を撮る側」を意識して作られたニコンのカメラ

一方、ニコンは「写真を撮る側」のことを意識して製品を開発していると言われています。

実際の目で見たものを”正確に”そのままの色味やコントラストで写し出せるように作っていると聞きます。

キャノンとは逆に、黒に強いっていうのが一般的に知れ渡っていて、

実際に髪の毛の黒色や夜景の黒を、より鮮明に写すことができます。

黒に強い特徴が生み出す「凄み」が評価されていることから、アーティスト好みのカメラとも言われています。

また、レンズにもすごくこだわりを持って作ってるところも評価されており、

例えば、背景ぼかしや、風景を撮るってのは、ニコンの方が向いているのもよく聞く話。

 

人物写真をメインに撮ることが多い、撮った写真をそのままSNSでアップしたいって人 →キャノン

風景などメインに撮ることが多い、見たものをそのままの状態で残したいって人 →ニコン

を選ぶと良いかもしれない。

 

 

実は自分の五感に頼っている

しかしながら、前述した違いは本当に”プロ目線”で分かる違いです。

だから、(長々と説明しておいて何であるが)初心者の方がカメラを選ぶときはそこまで考慮に入れて考えなくてもいいと個人的には思っています。

「強いて言うなればこんな特徴があるんだ」ということを頭の中に入れておけばいいレベルの話。

それよりもむしろ大事にしたいのは「いかにフィットするか」「愛着がわくか」という点です。

つまり、五感に頼って選ぶのが大事なのです。

実際にプロの方にもこの五感を大事にしている人も多いと聞きます。

具体的にどのような部分を大事にしているかを見ていきましょう。

 

触ってみたときの感覚

カメラを持った時のグリップ感、シャッターボタンの押し具合。

あとはシャッター音とかもこだわって選ぶ人も意外と多いと聞きます。

長く使うものなので、持った時のフィーリングは非常に大事なんですね。

お店でじっくり触るのもいいし、もし近くに使っている人がいるなら実際に撮らしてもらうのが一番いいでしょう。

 

外観の好み

色とか大きさ、形ですかね。

重さもかなり重要かもしれません。一眼レフはたいがい重いですから。

これも実物を見て選んだほうが絶対にいいと思います。

今だと家電量販店に行けばたくさんのラインナップがあるので、実際に足を運んでみてください。

 

 

あーだこーだ言いましたが、結論を述べますと、

一眼レフカメラ購入の際にキャノンかニコンのどちらを買うか迷っている時には、

両メーカーの性能の違いを一応理解しつつ、最終的には自分の五感を頼りに選んでください。

選ぶ際には実物に一度は触れてみましょう。

 

ミドリの問題が解決したかどうかは置いておいて、

この記事が、一眼レフを購入する際に少しでも役に立つことがあれば幸いです。